キャッシュレス決済は何種類あってどんな違いがある?メリットやデメリットについても紹介

キャッシュレス決済は何種類あってどんな違いがある?メリットやデメリットについても紹介

クレジットカードデビットカード・プリペイドカード・電子マネーQRコード決済といったキャッシュレス決済の利用者が急速に増加しています。

前払い即時払い後払いといった清算方式があり、またサービス形態もさまざまな種類が存在するため、これらの違いについてよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

2019年10月からキャッシュレス・消費者還元事業(キャッシュレス・ポイント還元事業)が実施されています。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてキャッシュレス化が推進されており、キャッシュレス決済の種類の知識は必要不可欠です。

本記事では、キャッシュレス決済種類について徹底解説いたします!

キャッシュレス決済とは?

キャッシュレス決済は、現金を使用せずに会計(清算)をする方法であり、小銭を用意したり数えたりする必要がないため、迅速かつ快適に支払いできます。

2019年10月から開始されたキャッシュレス・消費者還元事業(キャッシュレス・ポイント還元事業)の対象店舗において、キャッシュレス決済をおこなうとポイント還元されてお得です。

なお、キャッシュレス決済は、「清算方法」や「サービス形態」について、それぞれ数種類に分類できます。

キャッシュレス決済の清算方法の種類

キャッシュレス決済は、清算方法(清算時期)に着目すると、以下のような3種類に分類することが可能です。

キャッシュレス決済の清算方法の種類
  1. 前払い(プリペイド)方式
  2. 即時払い(リアルタイムペイ)方式
  3. 後払い(ポストペイ)方式

なお、清算方法選択可能キャッシュレス決済も存在します。自分に適した方式を選びましょう。それぞれの清算方法の特徴について、具体的なサービス名を出しながら説明していきます。

清算方法① 前払い方式

前払い(プリペイド)方式は、銀行口座から送金したり、コンビニエンスストアのATMを操作したりすることによって、事前に残高に入金(チャージ)しておく方式です。

あらかじめ入金(チャージ)した金額の範囲内でしか買いものすることができません。前払い方式に該当するキャッシュレス決済の具体例を挙げると、以下のようになります。

前払い方式のキャッシュレス決済
具体例
プリペイドカード 三井住友VISAプリペイドカード、au WALLETプリペイドカード、dカードプリペイド、おさいふPonta、楽天銀行プリペイドカード ほか
電子マネー 交通系電子マネー(※)、楽天Edy、nanaco、WAON、QUICPay+、iD ほか
QRコード・バーコード決済 LINE Pay、PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAY、メルペイ ほか

電子マネー決済やQRコード・バーコード決済の多くは前払い方式ですが、接触型カード決済の多くは後払い方式です。前払い方式は事前に入金(チャージ)する手間がかかりますが、使い過ぎてしまう心配がありません。

(※)Kitaca、Suica、TOICA、ICOCA、SUGOCA、PASMO、manaca、nimoca、はやかけん ほか

清算方法② 即時払い方式

即時払い(リアルタイムペイ)方式は、店頭で買いものをすると紐付いている銀行口座から即時引き落とされる方式です。即時払い方式に該当するキャッシュレス決済の具体例を挙げると、以下のようになります。

即時払い方式のキャッシュレス決済
具体例
デビットカード 国際ブランド(Visa、Mastercard、JCB)のデビットカード各種、J-Debit、銀聯
電子マネー QUICPay+、iD
QRコード・バーコード決済 Origami Pay ほか

即時払い方式のキャッシュレス決済の代表例は、デビットカードです。

デビットカードには、国際ブランド(Visa、Mastercard、JCB)のほかに、J-Debit(日本の銀行口座のキャッシュカードで支払いをおこなう)や、銀聯(中国の銀行口座のキャッシュカードで支払うをおこなう)が存在します。

電子マネーやQRコード・バーコード決済の一部にも即時払い方式が存在しており、QUICPay+やiD、Origami Payがその一例です。Origami Payは、店頭での購入時に銀行口座から即時引き落としされるように設定できます。

なお、デビットカードを登録できるQRコード・バーコード決済サービスは、実質的に即時払い方式で使用することが可能です。

清算方法③ 後払い方式

後払い(ポストペイ)方式は、商品やサービスを先に受け取り、翌月などに支払いをおこなう清算方法です。

店頭でキャッシュレス決済を用いて支払った時点では決済事業者が一時的に立て替えておき、後日、消費者が決済事業者に支払いをおこなう仕組みとなっています。

事前にチャージする必要がないので便利です。後払い方式に該当するキャッシュレス決済の具体例を挙げると、以下のようになります。

後払い方式のキャッシュレス決済
具体例
クレジットカード 国際ブランド(Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、Discover、銀聯)のクレジットカード各種
電子マネー QUICPay/QUICPay+、iD
QRコード・バーコード決済 メルペイ ほか

クレジットカード決済は、すべて後払い方式となっています。

店頭で支払った時点では決済事業者が商品代金を立て替えており、後日、消費者が決済事業者に対して支払うという仕組みです。

電子マネー決済は、事前にチャージする前払い方式が多数となっていますが、QUICPay+やiDのように複数の清算方法が存在するサービスも存在します。

QRコード・バーコード決済は、事前にチャージする前払い方式を採用しているサービスが多数です。

ただし、メルペイでは、「あと払い」という支払い方法があり、クレジットカードの登録をせずに後払い方式を選択できます。

また、クレジットカードを紐付けることが可能なQRコード・バーコード決済サービスも存在しており、その場合は実質的に後払い方式となります。

キャッシュレス決済のサービス形態の種類

店頭で利用できるキャッシュレス決済は、サービス形態・インターフェースに着目すると、以下のような3種類に分類することが可能です(※)。

キャッシュレス決済のサービス形態の種類
  1. 接触型カード(クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード)
  2. 電子マネー(非接触型ICチップ)
  3. QRコード・バーコード

それぞれのサービス形態の特徴について、具体例を出しながら説明していきます。

(※)オンライン決済も考慮すると4種類に分類可能

サービス形態① 接触型カード

接触型カードは、磁気ストライプ(※)や接触型ICチップが搭載されたプラスチックカードを指し、支払いの際に読み取り端末と接触することが特徴です。

クレジットカード(後払い方式)やデビットカード(即時払い方式)、プリペイドカード(前払い方式)が存在します。

(※)クレジットカードについては、2020年3月末までに磁気ストライプからICチップに完全移行する予定

クレジットカード

クレジットカードは、後払い(ポストペイ)方式の接触型カードです。信用情報機関への照会を伴う厳格な審査に通過しないと保有できません。クレジットカードには、以下に示すような国際ブランドが存在します。

クレジットカードの国際ブランド
  • Visa
  • Mastercard
  • JCB
  • American Express
  • Diners Club
  • Discover
  • 銀聯

Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Clubの5つを総称して5大ブランドと呼ばれますが、最近ではDiscoverや銀聯(UnionPay)を含めて7大ブランドと呼ばれることもあります。

クレジットカードは後払い方式なので使い過ぎに注意しましょう。

デビットカード

デビットカードは、即時払い(リアルタイムペイ)方式の接触型カードです。

銀行が発行しており、キャッシュカードと一体化しています。口座残高の範囲内でしか支払いできません。

なお、発行の際に信用情報機関への照会がおこなわれないため、過去に金融事故を起こすなどしてクレジットカードの審査に通過しない人でも保有可能です。

デビットカードの国際ブランドおよび発行している銀行を挙げると、以下のようになります。

国際ブランドのデビットカードを発行している銀行
発行している銀行
Visa スルガ銀行、住信SBIネット銀行、PayPay銀行、楽天銀行、三井住友銀行 ほか
Mastercard 住信SBIネット銀行、トマト銀行
JCB 楽天銀行、セブン銀行、イオン銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行 ほか

国際ブランド以外にも、J-Debitというシステムがあり、日本国内の銀行の普通預金口座のキャッシュカードをデビットカードとして使用して、支払いすることが可能です。

ただし、すべての銀行のキャッシュカードがJ-Debitに対応しているわけではありません。

また、国際ブランドと比較すると、J-Debitによる支払いに対応している店舗は少ないので注意しましょう。

プリペイドカード

プリペイドカードは、前払い(プリペイド)方式の接触型カードであり、審査がないため、誰でも保有可能です。国際ブランドのプリペイドカードの具体例を挙げると、以下のようになります。

国際ブランドのプリペイドカードの具体例
具体例
Visa
三井住友VISAプリペイドカード、Kyash Visaカード、ソフトバンクカード、ANA VISAプリペイドカード、オリコプリペイドカード ほか
Mastercard au WALLETプリペイドカード、dカードプリペイド、JAL Global WALLET、WebMoneyプリペイドカード、オリコプリペイドカード ほか
JCB おさいふPonta、楽天銀行プリペイドカード、LINE Payカード、ANA JCBプリペイドカード、旅プリカ ほか

プリペイドカードは、事前に入金(チャージ)しなければ使えません。手間がかかりますが、残高の範囲内でしか支払いできないため、使いすぎる心配がなく安心です。

サービス形態② 電子マネー

電子マネーは、非接触型ICチップ(FeliCaチップ)が搭載されたカードや機器(おサイフケータイに対応した携帯電話・スマートフォン、キーホルダーなど)を使用するキャッシュレス決済サービスです。

電子マネーの具体例を挙げると、以下のようになります。

電子マネーの具体例
具体例
前払い(プリペイド)方式 交通系電子マネー、楽天Edy、nanaco、WAON、QUICPay+、iD ほか
即時払い(リアルタイムペイ)方式 QUICPay+、iD
後払い(ポストペイ)方式 QUICPay/QUICPay+、iD

電子マネーは、一部(※)を除いて審査がないため、誰でも利用可能です。殆どの電子マネーは、事前に入金(チャージ)する必要がある前払い(プリペイド)方式となっているため、手間がかかりますが、使い過ぎる心配がありません。

(※)後払い方式のQUICPay/QUICPay+やiDは審査に通過することが必要

サービス形態③ QR・バーコード

コード決済は、QRコードやバーコードを使用するキャッシュレス決済サービスです。スマートフォンタブレット専用読み取り装置を使用してコード提示読み取りをし、支払いがおこなわれます。

支払い流れとして、客側がコードを提示して店側に読み取らせるCPM(Consumer Presented Mode)方式と、店側が提示するコードを客側がカメラで読み取るMPM(Merchant Presented Mode)方式とが存在し、店舗によって異なるので注意しましょう。

現在の日本でよく利用されているコード決済サービスの具体例を挙げると、以下のようになります。

QRコード・バーコード決済サービスの具体例
  • LINE Pay
  • PayPay
  • 楽天ペイ
  • d払い
  • au PAY
  • Origami Pay
  • メルペイ

上記は広く利用されているコード決済です。これら以外にも多数のコード決済サービスが存在します。

たとえば、GMOペイメントゲートウェイが開発した銀行Payというシステム上に構築されたQRコード決済サービス群です。銀行Payのシステム上に構築されたサービス(※)の間では相互利用が可能となっています。

QRコードやバーコードを使用するコード決済は、財布(現金やカード)を持っていなくても、スマートフォンさえ持っていれば快適・便利に買いものをすることができます。

コード決済は、事前に銀行口座から送金したり、コンビニエンスストアのATMを操作したりして、残高に入金(チャージ)しておく前払い方式が多数です。ただし、Origami Payのような即時払い方式やメルペイの「あと払い」のような後払い方式のサービスも存在します。

なお、クレジットカードやデビットカードを登録することが可能なサービスもあり、これらを登録した場合は実質的に後払い方式や即時払い方式で利用可能です。

(※)ゆうちょPay、はまPay、Yoka!Pay ほか

キャッシュレス決済のメリット

キャッシュレス決済には以下のようなメリットがあるので利用しなければ損です!

キャッシュレス決済のメリット
  • ポイント還元
  • 支払いが迅速・簡単
  • 利用履歴の閲覧・管理が可能

2019年10月から国(経済産業省)がキャッシュレス・消費者還元事業を実施しています。

対象となる店舗でキャッシュレス決済を使うと支払金額の2%または5%のポイントが還元され、お得に買いものすることが可能です。

なお、国のキャッシュレス・消費者還元事業とは別に、各決済事業者が独自にポイント還元を実施している場合があります。各決済事業者の公式サイトをチェックしてみましょう。

また、キャッシュレス決済は、小銭を数える必要がないため、迅速かつ簡単に支払いできます。お釣りを受け取ることがないため、財布のなかが小銭だらけになることもありません。

現金による支払いを管理する場合、紙の領収書を保存して家計簿に記入する必要があり、手間がかかります。

キャッシュレス決済であれば、専用サイトやアプリから利用履歴を閲覧することにより、日々の支出の管理も簡単です。

キャッシュレス決済のデメリット

キャッシュレス決済には以下のようなデメリットが存在することに注意しましょう。

キャッシュレス決済のデメリット
  • 加盟店でしか使えない
  • 災害時・端末故障時に使えない

キャッシュレス決済は加盟店でしか使うことができません。とくにQRコード・バーコード決済や交通系以外の電子マネーは、店舗ごとにサービスの使い分けが必要となるのが現在の日本の状況です。

国際ブランドの接触型カード(クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード)による決済や交通系電子マネーであれば、使える店舗が比較的多く存在しますが、それでも現金のようにすべての店舗で使えるわけではありません。

また、大規模災害時にも利用できなくなることがあります。たとえば、2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震では北海道全域が数日間停電したため、通信回線も不通となり、キャッシュレス決済が利用できませんでした。

ほかにも、端末が故障したり、バッテリーが切れたりすると利用できなくなるので、ある程度は現金も手元に用意しておくべきでしょう。

キャッシュレス決済の種類のまとめ

キャッシュレス決済は、現金(紙幣や硬貨)を使用しない支払い方法です。清算方式として前払い(プリペイド)方式・即時払い(リアルタイムペイ)方式・後払い(ポストペイ)方式が存在し、サービス形態として接触型カード・電子マネー・QRコード(またはバーコード)を用いたものが存在します。

2019年10月からキャッシュレス・消費者還元事業が開始されました。還元されるポイントを受け取り、お得に買いものをしたい人にとって、キャッシュレス決済の種類の知識は必要不可欠です。

また、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、政府主導でキャッシュレス化が推進されています。さまざまなキャッシュレス決済の特徴を把握し、自分に適した種類のサービスを利用してください。

本記事がキャッシュレス決済の種類について知りたい方のお役に立つことができれば幸いです。

株式、投資信託、ETF、REIT、FX、仮想通貨、キャッシュレス決済など、金融・マネー全般に関心を持つ。実際に投資をしており、株式やETFなどを長期保有中。PayPay、楽天ペイ、LINE Pay、メルペイ、d払いなどのQRコード決済を毎日のように利用。単にインターネット上で調べるだけではなく、実際に使って確かめるように努めている。マネ会では、主にクレジットカードやキャッシュレス決済についての記事執筆を担当。

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