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確定申告で扶養控除を受けるために必要な要件とは? 扶養控除の種類や注意点を紹介

確定申告で扶養控除を受けるために必要な要件とは? 扶養控除の種類や注意点を紹介

毎年2月になると「確定申告」が話題に上ります。確定申告とは前年1年間の所得にかかる各種税金(所得税や復興特別所得税など)を計算して、期限までに申告書の提出および納付おこなう一連の手続きをいいます。

日本の納税は「申告納税制度」を採用しており、個人の所得税については自分で計算して納税しなくてはなりません。ただし税金を源泉徴収されているサラリーマンは、年末調整による申告で対応します。

この確定申告で重要な項目が「扶養控除」です。扶養とは「他者を養うこと」であり、控除とは「一定の収入から差し引くことができる金額」を指します。つまり扶養控除が増えると税金を計算する元になる「所得」が減り、算出される所得税も少なくなることから、結果として税負担が軽く済みます。

この記事では確定申告における扶養控除の「取り扱い要件」について解説し、さらに扶養控除の種類や注意点も紹介します。

確定申告における扶養控除の要件とは

所得税は1年間の「収入」ではなく、収入から計算された「所得」で算出されます。所得とは収入から「認められた経費」や「各種控除」を差し引いたもので、差し引ける項目が多いほど所得が減り税金も安くなります。

そして納税者が「家族などの他者(扶養親族)」を養っている場合、確定申告書の扶養控除欄に控除金額を記載することで合計所得が少なくなります。つまり納税者にとって扶養親族が多いほど所得が減り、算出する所得税が少なくなる訳です。

ただし確定申告で扶養者と認められるにはいくつかの要件があります。扶養親族は誰でもよいのではなく、法律で定められている人以外は対象外です。扶養親族の要件を確認して間違えないようにしましょう。

扶養親族の要件
  • 納税者と生計を一にしている配偶者を除く親族(6親等内の血族および3親等以内の姻族)
  • 申告前年の12月31日時点で16歳以上であること
  • 年間の所得が38万円(令和2年分以降は48万円)以下であること
  • 青色申告事業専従者でないこと(白色申告専従者でないこと)

それぞれについて詳しく解説していきます。

納税者と生計を一にしている配偶者を除く親族

扶養控除の対象になるには、納税者と「生計を一にしている」ことが最大の要件です。また「配偶者を除く6親等内の血族および3親等以内の姻族」との要件があります。そこで少しわかりにくい血族と姻族を解説します。

1親等血族~6親等血族の該当者(参考)
血族の等級
該当者例
1親等血族 両親
子ども
2親等血族
祖父母

兄弟姉妹
3親等血族 曾祖父母
ひ孫
叔父
叔母
その他
4親等血族 高祖父母
玄孫
いとこ
その他
5親等血族 5世の祖
5世の孫
その他
6親等血族 6世の祖
6世の孫
その他
1親等姻族~3親等姻族の該当者(参考)
姻族の等級 該当者例
1親等姻族 配偶者の父母(直系)
配偶者の連れ子
2親等姻族 配偶者の祖父母(直系)
配偶者の孫(傍系)
配偶者の兄弟姉妹
3親等姻族 配偶者の曾祖父母
配偶者の曾孫(傍系)
配偶者の伯叔父母
配偶者の甥姪
その他

血族では曾祖父母から3代さかのぼる「6世の祖」までが扶養控除の対象です。つまり「自分の親の親の親の親の親の親」なので現実的には存在していないかもしれませんが、法的には認められています。また姻族は婚姻による関係なので、配偶者の父母や祖父母などが対象です。

まず扶養控除を認められるには「6親等内の血族および3親等以内の姻族」のなかで、納税者と生計を一にしてなくてはなりません。また生計を一にしていても「友人」、「知人」は対象外なので注意してください。

確定申告における配偶者は血族でも姻族でもない

扶養控除の適用を受けるには「6親等内の血族および3親等以内の姻族」に含まれる必要がありますが、配偶者はどちらにも該当しません。妻などの配偶者は「専業主婦」など実際に納税者に養われている立場であっても、扶養控除ではなく「配偶者控除」や「配偶者特別控除」が適用されるからです。

配偶者は扶養控除ではなく、専用の配偶者控除が適用されることを覚えてください。

里子や養護委託された老人も対象

本来、定められた親族以外は、たとえ生計を一にしていても扶養控除の対象ではありません。しかし下記の場合にかぎり扶養対象とされます。

扶養親族以外の扶養対象
  • 都道府県知事から養育を委託された児童(里子)
  • 市町村長から養護を委託された老人

つまり何らかの事情で実親が養育できない「里子」や養護を委託された「老人」については、生計を一にすることで扶養控除の対象です。

申告前年の12月31日時点で16歳以上であること

申告の前年12月31日時点で16歳未満の子どもは扶養控除の対象外です。これは15歳以下の子どもは「児童手当」などで手厚く保護されていることから、確定申告では優遇されていないことが理由です。

「小さい子どもは生計を一にして養っている」のは事実ですが、確定申告における優遇措置は認められないことに注意してください。

年間の所得が38万円(令和2年分以降は48万円)以下であること

扶養控除を受けるには対象者の年間所得が合計で「38万円以下」であることが必要です。たとえばパートやアルバイトで給与をもらっているケースでは、給与所得控除(65万円)が適用されるため年間収入が103万円までであれば扶養控除が適用されます。

年間所得38万円+給与所得控除65万円=103万円

また、令和2年分以降の申告からは合計で「48万円以下」と扶養控除の対象が広がります。つまり給与の年間収入が113万円まで扶養控除の対象です。

青色申告事業専従者でないこと(白色申告専従者でないこと)

個人事業者などが節税のために利用する「青色申告」ですが、事業を手伝う家族の報酬を控除できるのが「青色申告事業専従者」です。確定申告年に青色申告事業専従者として一度でも給与を受け取った場合は、扶養控除の対象になりません。

また同じく個人事業者が利用する「白色申告専従者」も扶養控除の対象外なので覚えておきましょう。

扶養控除は区分により控除額が違う

扶養控除の対象になる扶養親族ですが、さらに区分がありそれぞれ控除額に違いがあります。

扶養控除の区分と控除額
区分
控除額
一般の控除対象扶養親族 38万円
特定扶養親族 63万円
老人扶養親族(別居) 48万円
老人扶養親族(同居) 58万円

それでは「特定扶養親族」と「老人扶養親族」について解説します。

大学生の扶養を対象にした特定扶養親族

一般の控除対象扶養親族はこれまで説明した16歳以上の血族、姻族で、控除額が38万円です。さらに一定の条件を満たす場合は、「特定扶養親族」として、25万円増の63万円の扶養控除を受けられます。

特定扶養親族は扶養親族の対象者のなかから、19歳~23歳未満(申告前年の12月31日時点)の人です。この年齢帯は大学(短大、専門学校、高専含む)在学期間中であり、各学校への学費、生活費など仕送りの負担が多いことから扶養控除額を手厚くしています。

老人扶養親族は別居と同居で違いがある

父母や祖父母を養っている場合、年齢により「老人扶養親族」として扶養控除額が増額します。老人扶養親族は控除対象親族の対象者のなかから、70歳以上(申告前年の12月31日時点)の人が対象です

控除額は納税者との居住形態の違いで金額が違い、「別居は48万円」「同居で58万円」です。老人扶養親族に該当する人が治療目的で、医療機関に長期入院していても別居にはなりません。この場合、同居として58万円の扶養控除が適用されますが、老人施設などに入所している場合は別居になり48万円が扶養控除額です。

扶養控除と間違えやすい4種類の控除

確定申告で利用できる控除は14種類もあり、なかには扶養控除と間違えやすい項目もあります。間違えないように概要だけでも覚えておきましょう。

配偶者控除

先ほども少し説明しましたが、配偶者は扶養されていても扶養控除ではなく、「配偶者控除」が適用されます。配偶者控除を適用させるには民法上の婚姻関係が必要で、いわゆる「内縁関係」は対象外です。

配偶者控除の対象になるには扶養控除と同じく年間の所得38万円以下(令和2年分以降48万円)で、かつ納税者の所得が1,000万円以下でなくてはなりません。つまり納税者の年収が高ければ、段階的に配偶者控除が利用できません。控除額は納税者の所得により13万円~38万円の幅があります。また70歳以上の「老人控除対象配偶者」に該当する場合は、16万円~48万円に増加します。

勤労学生控除

たとえば学生であっても、年間のアルバイト収入が103万円をこえると扶養から外れるだけでなく、納税者となり確定申告で税金を払わないとなりません。

しかし年間所得が65万円(令和2年分以降は75万円)以下の場合、「勤労学生控除」が適用されることで、27万円の控除が使えることから130万円までの収入が非課税です。

基礎控除38万円+給与所得控除65万円+勤労学生控除27万円=130万円

勤労学生控除の対象は合計所得が65万円以下(令和2年分以降75万円以下)で、学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校の生徒であることが必要です。

寡婦控除

寡婦とは「夫と死別し、もしくは夫と離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人」で女性が対象の控除です。寡婦のなかで所得金額が500万円以下の人や、扶養親族や生計を一にする子どもがいる場合は「寡婦控除」が適用されます。

寡婦控除は控除額が27万円ですが、いくつかの要件をすべて満たす「特別の寡婦」は35万円まで控除できます。

寡夫控除

寡夫とは「妻と死別し、もしくは妻と離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人」で男性が対象の控除です。寡夫控除を受けるには「合計所得が500万円以下」、「生計を一にする子どもがいること」の要件をすべて満たす必要があります。

寡夫控除は控除額が27万円のみです。寡婦と寡夫で間違えやすいので注意してください。

確定申告書で扶養控除を申告する手順

確定申告は前年1月1日~12月31日までの所得を、毎年2月16日~3月15日までの期間におこないます。(土、日、祝祭日の場合は翌日)

この期間に確定申告書を作成し、税務署へ持参もしくは郵送で提出します。最近ではインターネット上で申告できる「e-Tax」を利用する人も増えています。

扶養控除を確定申告書に記載する方法

確定申告で使用する確定申告書には「確定申告書A」と「確定申告書B」の2種類があります。サラリーマンなどの給与所得者は申告書A、個人事業主やフリーランスは申告書Bを使ってください。また青色、白色申告も申告書Bを選んでください。

まずは自分の扶養親族を確定して控除額の合計を算出します。次にそれぞれの申告書にある「第一表」にある扶養控除欄に扶養控除の合計額を記載してください。さらに申告書の「第ニ表」に扶養控除対象親族の属性と控除額を記載します。

扶養控除親族の記載項目
  • 氏名
  • 続柄(父、母、子など)
  • 生年月日
  • マイナンバー

また16歳未満の子どもがいる場合は、申告書の「住民税に関する項目」に氏名、生年月日などを記入します。

扶養親族が海外にいるときの申告方法と必要書類

子どもが海外の学校に留学していたり、養っている親が海外に住んでいたりする場合は、「国外居住親族」として扶養の事実を証明しなくてはなりません。そこで確定申告時に必要書類として「①親族関係書類」「②送金関係書類」を添付して証明します。

必要書類①親族関係書類

  1. 戸籍の附票の写し
  2. 国又は地方公共団体が発行した書類(婚姻証明書など)およびパスポートの写し
  3. 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類

必要書類②送金関係書類

  1. 金融機関がおこなう為替取引により居住者から国外居住親族に支払いをしたことを明らかにする書類
  2. 国外居住親族がクレジットカードで生活品などの商品等を購入したことを証明するクレジットカード会社発行の明細書など

各々1種類以上の書類提出が必要です。ただし提出書類に不備がある場合は、追加の資料を求められる可能性があります。

まとめ

確定申告の控除のひとつである扶養控除を利用することで、所得を減らし所得税だけでなく住民税も減少させます。ただし適用させるにはいくつかの要件がり、適合しないと控除がつかえません。

また配偶者は扶養されていても扶養控除に該当しないなどの規定もあり、間違えない注意が必要です。扶養控除を利用することで大学生の子どもを持つ納税者の負担をおさえるだけでなく、高齢者や里子などの生活弱者の救済にもなります。

扶養控除対象者がいるにもかかわらず申告していないと、所得が増え税金を多く払ってしまいます。扶養対象者を確認して正しい確定申告をおこなってください。

上場企業のサラリーマンから会社経営を経てファイナンシャルプランナー(FP)に。FPとして個人資産の相談業務をおこなう傍ら、金融系ライターとして銀行コラムや各種金融商品などの記事を多数制作。その他にも年に数回、お金の講演会や各種学校にて高校生、PTAに対して公的奨学金についての講演もおこなっている。また投資家としての面もあり過去にはFXで大損した経験も…その記憶を忘れないように現在では固い投資を心がけている。

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