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住民税の扶養控除を簡単解説!控除対象やケース別の計算方法を紹介!

住民税の扶養控除を簡単解説!控除対象やケース別の計算方法を紹介!

税金を支払うのは日本国民の義務ですが、住民税や所得税に関しては一定の条件を満たすことで「扶養控除」が適用されます。

扶養控除とは、子供・配偶者・両親などを扶養している納税者の負担を軽くするための制度であり、一定金額を所得から差し引くことで、支払わなければならない税金を減額することが可能です。

いろいろと努力して節税している人もいると思いますが、扶養控除は多くの人が実践できる節税の方法といえます。

そこで今回は、住民税の扶養控除の仕組みや、扶養控除を利用することで具体的にどれぐらい税金額を減らすことができるかなどについて、説明していきたいと思います。

住民税の扶養控除とは?

まずは、住民税の扶養控除について説明します。

住民税が扶養家族に応じて安くなる仕組み

住民税は所得に一定の税率をかけることで算出されるので、所得が多くなるほど、支払わなければならない住民税が増えることになります。

住民税の扶養控除は、税率をかける前の納税者の所得から、扶養する家族に応じた「扶養控除額」を差し引くことで、税金の計算に用いる課税所得が引き下げられ、税負担が少なくなるという仕組みです。

扶養しなければならない家族が多くなるほど、生活費等も増えることになりますが、その分だけ扶養控除で引かれる金額も大きくなります。

所得税の扶養控除とは異なる

冒頭で少し触れたように、住民税だけでなく所得税でも扶養控除を受けることが可能です。

どちらも、「税金計算前の納税者の所得から扶養控除額を差し引く」ということは同じですが、控除される金額が住民税と所得税では異なります。

所得税のほうが住民税よりも控除される金額が大きいので、扶養控除を受けた後の計算結果で所得税が0円になったとしても、住民税は支払わなければならない可能性があることには、注意しておきましょう。

扶養控除対象となる親族の条件

住民税の扶養控除の対象となるのは、以下の条件をすべて満たしている親族です。

扶養控除対象となる条件

  • 16歳以上の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)
  • 納税者と同一生計である
  • 年間の合計所得金額が38万円以下(給与所得者の場合は年収103万円以下)である

同一生計かどうかは同居・別居で判断するのではなく、生活していくための財源が同じかどうかで判断します。

大学に通うために一人暮らしをしている子供に生活費の仕送りをしているのであれば、一緒に住んでいるわけではなくても同一生計であるとみなされます。

なお、扶養控除額は家族の年齢等に応じて、以下のようになっています。

対象者区分 年齢 住民税控除額
一般の控除対象扶養親族 16歳~18歳、23歳~69歳 33万円
特定扶養親族 19歳~22歳 45万円
老人扶養親族(同居老親等) 70歳以上 45万円
老人扶養親族(その他) 70歳以上 38万円

また、これらの控除とは別に、配偶者控除配偶者特別控除といった扶養控除もあります。

配偶者控除は、控除対象の配偶者がいる場合に受けることができる控除です。

配偶者控除での控除金額は、納税者本人の合計所得金額および控除対象配偶者の年齢に応じて変わりますが、最高で33万円(70歳以上の配偶者の場合は38万円)です。

配偶者特別控除は、控除対象ではない配偶者(配偶者の収入が103万円超~201.6万円未満)がいる場合に受けることができる控除です。

配偶者特別控除での控除金額は、納税者本人の合計所得金額および控除対象配偶者の合計所得金額に応じて変わりますが、最高で33万円です。

扶養控除が反映されるタイミング

住民税の扶養控除を受ける場合は、扶養控除が反映されるタイミングに注意しておかなければなりません。

というのも、住民税の扶養控除が反映されるのは、その年の前年の扶養状況だからです。

つまり、令和2年の住民税の計算は、令和元年に申請された扶養状況をもって計算されることになります。

特に、住民税控除額が切り替わる18歳~19歳や22歳~23歳の子供がいる場合は、扶養状況の計算年度を間違えると支払う税金が変わってしまう可能性が高いので、要注意です。

なお、所得税の扶養控除が反映されるのはその年の扶養状況なので、混同しないようにしましょう。

ケース別!住民税は扶養控除によって具体的にいくら減る?

ではここからは実際に、扶養控除が適用されることで支払わなければならない住民税がどれくらい減るのかを、具体的に計算してみましょう。

ちなみに住民税には、すべての納税者が一律で受けられる「基礎控除」と呼ばれる控除が設けられており、納税者の所得に応じて基礎控除額も変わります。

納税者の所得と住民税の基礎控除額の関係は、以下の表のとおりです。

納税者の合計所得金額 住民税の基礎控除額
2,400万円以下 43万円
2,400万円超2,450万円以下 29万円
2,450万円超2,500万円以下 15万円
2,500万円超 0円

合計所得が2,400万円を越すような人は多くはありませんので、大半の人は43万円の基礎控除を受けられるでしょう。

今回は所得が600万円の人をモデルケースにして考えていきますが、年収600万円の場合でも、基礎控除の額はもちろん43万円です。

特に扶養控除等を受けない場合、年収600万円の人が支払わなければならない住民税の金額は、[600万円(所得金額)-43万円(基礎控除額)]×10%(住民税の税率)=557,000円です。

なお、住民税の税率は自治体によっても変わるので一概に10%とはいえないのですが、多くの自治体で住民税が10%となるので、今回はこの数値で計算をおこなっていきます。

ケース①専業主婦の妻との2人家族

まずは、専業主婦の妻との2人家族の場合を考えていきます。

専業主婦の妻は、扶養控除と配偶者控除のふたつの控除を受けられるので、この場合に支払わなければならない住民税の金額は、[600万円(所得金額)-43万円(基礎控除額)-33万円(扶養控除額)-33万円(配偶者控除額)]×10%(住民税の税率)=491,000円です。

納税者本人の基礎控除しか受けられない場合と比べると、7万円近く住民税が減っていることがわかりますね。

ケース②専業主婦の妻と高校3年生の息子との3人家族

続いては、専業主婦の妻と高校3年生の息子との3人家族の場合です。

高校3年生の息子は「一般の控除対象扶養親族」にあてはまるので、このケースで支払わなければならない住民税の金額は、以下のように計算できます。

[600万円(所得金額)-43万円(基礎控除額)-33万円(妻の扶養控除額)-33万円(配偶者控除額)-33万円(息子の扶養控除額)]×10%(住民税の税率)=458,000円

扶養対象親族が増えて受けられる扶養控除が多くなった分だけ、支払わなければならない住民税がさらに減っていることがわかります。

ケース③専業主婦の妻と高校2年生の息子、72歳の母親との4人家族

最後に、専業主婦の妻と高校2年生の息子、72歳の母親との4人家族のケースを考えていきます。

72歳の母親は「老人扶養親族(同居老親等)」にあてはまるので、住民税控除額が一般の扶養親族よりも少し多くなり、住民税の金額は以下のようになります。

[600万円(所得金額)-43万円(基礎控除額)-33万円(妻の扶養控除額)-33万円(配偶者控除額)-33万円(息子の扶養控除額)-45万円(母親の扶養控除額)]×10%(住民税の税率)=413,000円

最後に、扶養する家族がいない場合とケース①~ケース③の住民税を、表にまとめておきます。

所得600万円の場合の住民税
単身 ケース① ケース② ケース③
557,000円 491,000円 458,000円 413,000円

実際には、医療費控除や住宅ローン控除といった控除もあるので、さらに住民税が減る可能性が高いです。

今回シミュレーションで計算した結果は、ひとつの例だと思っていただくのがいいですが、扶養家族が増えると住民税がどの程度減っていくのかの感覚は、つかんでいただけたのではないかと思います。

住民税の扶養控除まとめ

住民税は、税金のなかでもかなり金額が大きな税金です。

納税は国民の義務であることは間違いありませんが、多くの方にとって、支払わなければならない税金は少ないほうがいいというのが本音であることは、間違いないでしょう。

今回ご説明したように、扶養控除は住民税や所得税の金額を減らせる仕組みなので、納税者にとっては非常にありがたいものです。

配偶者や子供がパート・アルバイトをしている場合などは、年間の収入をうまく調整して、扶養対象から外れないようにしておきたいですね。

不動産広告の営業マンを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中。 クレジットカードやカードローンに関する知識を、公平な視点で分かりやすく伝えることを目指しています。 私生活でもいろいろなクレジットカードを使い分けながら、自分にとって最適な使い方を模索中。毎月貯まっていくポイントを見ながらその使い方を考えるのが、ひそかな楽しみ。 自分の実体験や気付きをもとにした、オリジナリティのある記事をお届けしたいと思っています。

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