ティム・バートンが原案・原作をつとめた、ヘンリー・セリック監督作品の「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」を紹介します。この映画は1993年に公開されたものですが、ストップモーション・アニメーションによる撮影方法や、ダニー・エルフマンの音楽、作品中に登場するキャラクターなどが魅力的で、今もなお高い人気を誇っています。
ナイトメアー・ビフォア・クリスマスのあらすじ
年に1度”ハロウィンのお祭り”を人間界へ送り出す不思議な町”ハロウィン・タウン”には、恐ろしいことや、人間をビックリさせることが大好きな住人たちが住んでいます。
そして、ついに”ハロウィン”当日をむかえて、”ハロウィン・タウン”は大盛り上がりしますが、人気者の”カボチャ王"ことジャックだけは憂鬱そうな表情を浮かべています。
ジャックは毎年のように単調に繰り返される”ハロウィン”にうんざりしているのでした。そうして物思いに沈んでいたジャックはある日、森を歩いている途中に不思議な扉のついた木を見つけます。
扉に興味を持ったジャックが開けてみるとそこには、”ハロウィン・タウン”とは全く雰囲気の違う”クリスマス・タウン”の世界が広がっているのでした。
町中が純白の雪に包まれて、家々は美しく飾り付けられて、明るく輝く”クリスマス・タウン”は、ジャックの目にはまばゆく映ります。
”クリスマス・タウン”にすっかり魅了されたジャックは、自分たちが住む”ハロウィン・タウン”でも”クリスマス”を再現しようと町の仲間を集めます。
ストップモーション・アニメーションによる撮影
「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」はストップモーション・アニメーションという特殊な方法で撮影されています。
作品の中で登場するキャラクターに実際の人形を使い、セットもリアルに作ります。そして、人形を一コマずつ動かして静止画を撮影していき、それを連続再生することでまるで本当に動いているかのように見せるのが、ストップモーション・アニメーションです。
ストップモーション・アニメーションは古き名作「キングコング」などの作品の特殊効果としても用いられており、伝統的な特殊撮影技術であるといえます。
現代ではこの技法は、CGが主流になったことや、人形を一コマずつ動かすため撮影に手間がかかることなどから、ほとんど使われることはありません。
しかし、「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」では、人形のまぶたの動きまで再現するなど、細やかに演出がなされ、本物のような生命感をキャラクターに吹き込むことに成功しています。
この映画の繊細な人形たちの動きは素晴らしく、そこが作品の魅力です。
主人公ジャックをはじめとする魅力的なキャラクター
主人公のジャックは、どくろの顔に長い脚というホラーっぽさを感じさせる容姿をしています。実際に彼は人を怖がらせる天才なのですが、自分の住む世界にはない”クリスマス”に憧れるように、人間的な悩みを持つところに親近感を抱かせてくれます。
そして、ジャックのお供としていつもついて回る幽霊犬のゼロは、空を自由に飛び回る姿がユーモラスです。
また、サリーは見た目は青白く、口裂け女のような姿で恐ろしげですが、優しい性格でジャックのことをいつも支えます。その優しさがジャックを救うことになります。
その他にも、悪役としてジャックと対決するウギー・ブギーもどこか愛嬌があって人気キャラです。
このように映画「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」に登場するキャラクターたちは、凝ったデザインと人間味豊かな性格でどれも魅力的なのです。
ダニー・エルフマンの音楽
ティム・バートンの多くの作品で作曲を担当しているのがダニー・エルフマンです。
彼は「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」では作曲だけでなく、ジャックの歌も歌っています。
「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」はゴシック・ホラー的な不気味な世界観が特徴ですが、その中に溢れるユーモアをダニー・エルフマンは音楽で表現しています。
特に映画冒頭で流れる「This Is Halloween」は、これから異世界に連れて行ってくれるというワクワク感を演出してくれ、印象的な楽曲です。
このように映像的な完成度の高さや、魅力的なキャラクターに加えて、音楽面の素晴らしさがこの作品を名作にしています。
参考元
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