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出典:amazon

2019/03/13
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作者いわく、「今度こそ人の死なないマンガ」……『波よ聞いてくれ』

本タイトル通り、マンガ家「沙村広明」というと、人が死ぬ作品が多いマンガ家です。 実写映画化された「無限の住人」に始まり、「ハルシオンランチ」しかり、「ブラッドハーレーの馬車」しかり。 そんな「沙村広明」が自ら「今度こそ人の死なないマンガ」と言った作品、それが『波よ聞いてくれ』です。

目次

●あらすじ

北海道に住む、25歳の独身女でカレー専門店の店員「鼓田ミナレ」

彼女は最近、彼氏に金をだまし取られたあげく、失恋する。

傷心で泥酔し、彼氏への愚痴を、たまたま同席していた見ず知らずの男性「麻藤兼嗣」へぶちまけていた。

次の日、失恋の気分を入れ替え、カレー専門店へ出社した「鼓田ミナレ」は、自分の愚痴話がラジオから流れているのを聞く。

自身の愚痴話を流された彼女は慌ててラジオ局に向かった。

実は彼女の愚痴を聞いていた「麻藤兼嗣」は、ラジオ局のプロデューサーだった。

「鼓田ミナレ」が持つ、巧みな話術とキャラクターを気に入った「麻藤兼嗣」は、彼女にラジオのMCになるように持ちかける。

●色々と考察

●女のハードボイルド(?)

『波よ聞いてくれ』、タイトルがシブイです。

これは、「鼓田ミナレ」がMCを務める番組名が『波よ聞いてくれ』からきています。

"波"は"電波"を表し、ラジオを聞いてくれというセリフを格好よく表現しています。

しかしタイトルは、ハードボイルド的なイメージを与えられる様に、"語感"を重視して選んだ言葉で、深い意味はありません。

でも、静かな深夜に微かなノイズが混じったラジオの音を思い起こさせる、良いタイトルです。

●実在する「鼓田ミナレ」

主人公「鼓田ミナレ」は、本人はクールに真面目に取り組んでいる筈なのに、周囲に色々と迷惑をかけ続けるトラブルメーカー。

勝手に務めているカレー専門店を仕切って店長にシバかれたり、泥酔して知らない他人の家へ転がり込み、自分から警察を呼んだりと破天荒な生活です。

そんな彼女は、ひょんな事からラジオパーソナリティに大抜擢されますが、この設定には実は「モデル」がいます。
ネットのインタビューで作品担当編集者は、「鼓田ミナレ」のモデルを実名はあげていません。

しかし、モデルは元「ミス・ユニバース・ジャパン」の女性とのこと。
彼女は某番組でゲスト出演した後、局員からスカウトされて帯番組のメインMCにまでなりました。
そんな実際のエピソードが基となって、物語が展開していきます。

ちなみに「鼓田ミナレ」の「ミナレ」は、アイヌ語で「笑う」の動詞。
元々、周囲から笑われる独身女という事から、この名前になっているそうです。

●深夜ラジオ独特の世界

スポンサーも無い小さな番組、その為か本作品中では実験的なラジオドラマが展開します。

SFだったり、ファンタジーだったりと内容もバラバラで、そんな雰囲気が、古いラジオ番組を想い起こさせます。

昔は深夜のラジオ番組は、生ドラマだったり、Hで過激な下ネタなど、様々な試みを放送していました。

ちなみに本作品は、連載開始時にJ-WAVEでラジオドラマとして放送されています。

本作品でも、手探りでラジオ番組を作る過程が、丁寧に描写されます。

それは、同時に作者「沙村広明」自身が本作品をどう展開させようか思案している様子も、感じさせます。

主人公を拾ったプロデューサー「麻藤兼嗣」にも、何やら話せぬ過去がある様子。

そして、他の登場人物達にもそれぞれのドラマが用意され、主人公を軸に展開していきます。

●聖地巡礼ほか(でも場所は東京)

舞台は北海道なのですが、設定が北海道なだけで、舞台背景のモデルは北海道にある訳ではないようです。

「鼓田ミナレ」の働くカレー専門店「VOYAGER」のモデルは、東京・新宿に実在します。

作品を発案した最初に、都会と自然が共存している札幌を舞台にしたいとの思いがあったそうです。

確かに東京のラジオ局だと、今回の様な個人が思い付きでラジオ番組のMCを抜擢するという設定は受け入れがたいかも知れません。

札幌だと、都会的でありながらも、地方としての自由度も感じます。

●まとめ

とにかく主人公「鼓田ミナレ」の残念美人ぶりと、そのセリフのキレっぷりを愛でるコメディ。

登場人物同士の小気味よいセリフの応酬と、ラジオ番組が持つ独特の雰囲気を再現した作品。

アクションとエログロが定番であった、マンガ家「沙村広明」が新たに拓いた新境地です。

参考元

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