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2017/07/03
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シネフィル必見!『地獄でなぜ悪い』は、愛さずにいられない映画狂の詩。

園子温監督の型破りなギャングコメディ映画『地獄でなぜ悪い』。俳優陣に豪華な顔ぶれを揃えた本格エンターティメント作品としてヴェネツィア国際映画祭において高い評価を得ました。 園子温監督のキャリア初挑戦となる娯楽作品であり、映画ファン、批評家ともに絶賛されたこの映画の魅力に迫ります。

映画愛に満ちた痛快ヤクザコメディ

園子温の仕掛ける初のエンターティメントムービー

『冷たい熱帯魚』、『ヒミズ』などシリアスな世界観で世界的な評価を得る園子温監督。
時勢を反映した社会派監督のイメージの強い彼が初の娯楽作としてメガホンを執ったのが本作『地獄でなぜ悪い』です。

ヴェネツィア映画祭において観客から7分間ものスタンディングオベーションを受けた作品であり、単純な娯楽作を越える「質」を備えた映画といえます。

公開後のファンの評価も非常に高く賞賛の声が至る所から聴こえてきます。
エンターティメントを撮らせても一流であることを見せつけた園子温の才能にさらなる注目が集まりました。

ヤクザが映画製作?破天荒なストーリー

本作では、ヤクザが敵対組織に殴り込み、その場面を映画撮影するという規格外のストーリーが展開されます。

武藤組の組長である武藤大三(國村隼)は、服役中の妻・しづえ(友近)の出所を飾るため、自分の娘・ミツコ(二階堂ふみ)を主演に据えたインディーズ映画の製作を決意します。

映画狂いの自主製作映画チーム「ファック・ボンバーズ」のリーダー平田純(長谷川博己)と、ミツコに心を奪われた通りすがりの好青年・橋本公次(星野源)を監督にむかえ、敵対する池上組への殴り込みを撮影することに。
スタッフはみんなヤクザの組織員、つまりド素人。
そして池上組の組長・池上純(堤真一)はミツコにただならぬ恋心を寄せています。

はたして殴り込みは、映画製作は…?

―そこに待っていたのはまさに地獄絵図でした。

ベテラン実力派キャスト×若手人気キャスト

本作は主演に國村隼、その妻役が友近、ヒロインに二階堂ふみ、敵対するヤクザ勢力の組長が堤真一、映画狂いの青年に長谷川博己、そしてヒロインに恋する気弱な青年役に星野源!

まさに新旧入り乱れての実力派が揃ったキャスト陣。
それぞれが個性的なキャラクターを怪演します。

星野源・二階堂ふみ・長谷川博己の会心の演技

本作で特筆すべきキャストはテーマソング『地獄でなぜ悪い』も担当する星野源がその筆頭に上がります。

マルチな才能で現在大ブレイク中ですが、本作はそんな彼のくも膜下出血での療養から復帰後間もない作品。
この役で星野源は日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。ブレイクの布石となる映画であったことは間違いありません。

さらにヴェネツィア映画祭で歴史的な最優秀新人賞を受賞した『ヒミズ』に続いての園子温作品への出演となった二階堂ふみ。
ドSで我が強いが、見た目がかわいい組長の娘を演じます。
そのコケティッシュな魅力を全開にさせ、周りの男を翻弄します。

そして映画狂の情熱的な役柄がハマりにハマっていたのが長谷川博己。
彼のコミカルで饒舌な演技は必見です!
映画ファンにはたまらない、思わずうんうんとうなずいてしまうような狂信的な映画製作への姿勢は滑稽で愛おしく、物語の象徴的な役柄といえるでしょう。

國村隼・堤真一・友近の存在感

ベテランとして映画をけん引する國村隼。

娘を溺愛する親バカなヤクザの組長を演じます。
若者向けのコミック原作映画や国内の賞を総ナメした『シン・ゴジラ』、これから公開を待つ『忍びの国』『ジョジョの奇妙な冒険』『鋼の錬金術師』など話題作にひっぱりダコの、今一番熱いベテラン俳優のひとりとしてその存在感は絶大です!

そして友近。
自身のネタでもある極道の妻を演じます。
監督自ら「抱くか出演オファーか」と言うほどの熱烈なアプローチを仕掛けたことを公言しています。
本編で友近は血まみれで男を殺戮する一筋縄でいかない役柄を見事に演じていて、笑えます。

さらに堤真一。
説明不要の国内屈指の演技派俳優がここでも魅せます。
その役柄の中でヒロインに恋するかわいい中年としての顔、また同時に極道の長としての漢の顔を自在に操ります。
コロコロと変わるシリアスな表情ととんでもない〈変顔〉が映画のハイライトのひとつといっても過言ではないインパクトを残します!必見。

日本映画界で最も危険な男・園子温とは?

自身の経験を踏まえた映画?『地獄でなぜ悪い』

80年代、ぴあフィルムフェスティバルで入選した『おれが園子温だ!』から始まる彼の華麗なるフィルモグラフィは早くからヨーロッパで注目を集め、いまや内外問わず最も熱い視線を集める注目の映画監督・園子温。

『地獄でなぜ悪い』はそんな監督の実体験を反映した映画といえます。
映画愛に満ちたこの作品のシナリオは、撮影当時からさらに20年前、監督が自主製作映画を撮っていた若かりし頃に作られた脚本です。

長谷川博己演じるシネフィル青年・平田純は、「いい映画を撮って死にたい」という自身の願望を実践する言動を繰り返します。狂人です。
しかし、ここに観客はファンならずとも夢を追う青春時代の青年の純粋さを見て、どこか郷愁を覚えるはずです。

監督は自分も本気でそう思っていたと、後の製作秘話で明かしています。

さらにヤクザの組長の娘に手を出して追い込みをかけられる星野源扮する橋本公次。
この役柄も同じようにヤクザの組長の娘と関係を持ち、窮地に追い込まれたことのある監督自身の経験が反映されています。

映画以外での派手な活動

映画監督として世間に広く認知されている園子温監督ですが、その活動は映像業界にとどまらず、作家、芸人など様々な顔を持ちます。

元々17歳で「ユリイカ」や「現代詩手帖」などの詩誌でその作品が取り上げられ、詩人として注目を浴びます。当時高校生の彼を評して「ジーパンの朔太郎」という異名がつけられるほどでした。

2013年には芸人として水道橋博士と舞台に立ち、コントを披露しました。
けっこう体を張った下ネタで会場を沸かせたようです。
芸人としての活動は賛否が巻き起こりましたが、コメディアンであると同時に世界的な映画監督である「北野武」という存在を意識したものであることは間違いがないようです。

北野武は自身が審査員長の東スポ映画祭で『冷たい熱帯魚』を絶賛。
その後、園子温の芸人としての活動に苦言を呈しましたが、園子温が謝罪。
そして和解したという経緯があります。

園子温作品の特徴

一言で片づけるのは難しいほど多様なジャンルの映画を手がける園子温。
しかしどれも作家性の高い、ひと癖もふた癖もある作品であることは疑いようがありません。

一番の特徴はその過激な暴力描写といえるでしょう。

本作『地獄でなぜ悪い』も極端に残虐なシーンが続きますが、デフォルメされた”映画の暴力”です。どこか滑稽な雰囲気が演出されています。
さらに下ネタやギャグも作品によっては極端に表現されます。『愛のむきだし』のような性描写が濃厚な作品もあります。

社会的なモチーフを扱った作品も多く『冷たい熱帯魚』はその典型です。実際に起こった埼玉の殺人事件を題材にしています。
『ヒミズ』での東日本大震災を踏まえた演出、『自殺サークル』で物議を醸したテーマは当時日本で流行った?集団自殺を正面から捉えています。

かと思えば完全な商業作品である『新宿スワン』など集客メインのエンターティメントも高クオリティで発信します。

ジャンルは多岐にわたりますが、通底しているのが社会の暗部を捉えていること。
かつ毒のあるストーリー。
俗悪ぎりぎりのオルタナティブ路線の作品が多く、インディーズの雰囲気を醸しだします。
全部、濃い味です。

犯罪・エログロ・痛み・人生!鬼才・園子温監督が描く作品の魅力とは | MOVIE SCOOP! https://hikakujoho.com/moviescoop/70545100002353/

今回は、ぶっ飛んでる映画作品を生み出す鬼才・園子温監督の作品の魅力をまとめました。映画監督としてスポットライトが当たるまで、20年以上の歳月がかかった園子温作品を紹介していきます。

まとめ

派手なアクションと笑い、それになにより映画愛に満ちたメタフィクション・ムービー『地獄でなぜ悪い』。

鬼才・園子温初のエンタメ作品であり、そのクオリティは抜群。
登場人物がそれぞれ愛さずにはいられない愛嬌を持ち、それを演じるキャスト陣の演技も最高です。

園子温作品はクセが強く、苦手だという方も少なくはないと思いますが、そんな方ほどぜひ本作を観ていただきたいです。
考えさせられるような深い命題はなく、単純に時間を忘れて楽しめます。
それに暴力描写はキツいですが、笑って見られるレベルではないでしょうか。

観客が監督で映画を選ぶ時代ではなくなったといわれますが、そんな時世のなか、作家性を強く保持した稀有な監督の、最高の映画愛がつまった作品が本作『地獄でなぜ悪い』。
一見の価値ありです。

参考元

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hirai

written by hirai

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