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出典:amazon

2019/04/22
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粋(すい)の文化 廓文章

ダメだけど、かわいくて愛すべき伊左衛門の魅力。先斗町歌舞練場にて、「廓文章2016年12月 當る酉歳 吉例顔見世興行」

目次

吉例顔見世興行といえばまねきあげ

12月の京都、吉例顔見世興行は毎年、南座で行われる歌舞伎の一大興行です。そもそも顔見世は、「この一年はこの役者で公演しますよ」と人々に知らせる興行でした。

歌舞伎は、出雲の阿国が四條河原にて始めた「かぶき踊り」が起源だと言われています。この四條河原にほど近い、京都南座で行われる吉例顔見世興行は、顔見世興行の中で、最も歴史が古いことで知られています。

しかも、「まねきあげ」を見ることができる唯一の公演が、この京都顔見世興行なのです。

「まねきあげ」とは、顔見世興行を行う役者の名前が書かれたヒノキの板を掲げる行事です。美男子を示す二枚目、道化役を示す三枚目というのは、このまねきあげに端を発すると言われています。

例年、この興行は南座で行われるのですが、耐震工事のため2016年は先斗町歌舞練場にて行われました。しかしながら、2016年も例年のように南座には「まねきあげ」が!そこには、「廓文章」に出演される歌舞伎役者の方々のお名前もありました。

柔らかさを好んだ上方の文化

優美な表現が、上方の演技の特徴です。
元禄年間、江戸では、「荒事(あらごと)」と呼ばれる力強く、荒々しい演技が好まれていた一方で、上方(京都・大坂)では真逆の演技が好まれていました。

荒事のヒーローはかっこよく、強く、所謂スーパーマン的な人間です。そして、敵役をバッタバッタとなぎ倒していきます。そのため、観ていてスッキリするようなものがほとんどです。

そんなスーパーマンと比べると、この廓文章のヒーロー役は本当に頼りなく、弱々しいキャラクターです。

お金持ちのお坊ちゃんで線の細い美男子、でも大好きなヒロイン(傾城の夕霧)に入れ込んでしまったので、お家から勘当されてしまい、すっかりお金はありません。それでも魅力的なのがこの話の主人公「伊左衛門」なのです。

まさに、「本当にダメな男性だけど、憎めない、かわいくて胸がときめいてしまう!」「ついつい世話をやきたくなる」のがこの人のすごいところです。このかわいい伊左衛門と、ヒロイン・夕霧の痴話げんかをひたすら見て楽しむのが、この演目の醍醐味です。

人間国宝当代仁左衛門のかわいらしい演技

歌舞伎の公演では、ほとんどの演目で演出家の名前が明らかになっていません。

それは、その演目の(大方)主役を務める役者さん(座頭)が、演出家を兼ねているからです。そのため、同じ演目であっても、どの役者さんが演じるのか、その役者さんがどの家の出身なのかによってかなり表現が異なってきます。

今回の主役・伊左衛門を演じているのは松嶋屋の片岡仁左衛門丈。2015年に重要無形文化財保持者、所謂人間国宝に認定されました。

仁左衛門丈は「声よし、顔よし、姿よし」の三拍子そろった役者と言われています。仁左衛門丈の演じる伊左衛門の特徴としては、とにかく可愛らしさがにじみ出ていることが挙げられます。

これはおそらく、仁左衛門丈のひとつひとつの感情の表現の仕方からくるものなのでしょう。頬を膨らめる、息を吐く、笑う、拗ねる、怒る、そういったひとつひとつの感情が絶妙な間をおいて表現されています。

そのため観客は、彼の一挙手一投足から目が離せず、話にのめりこんでしまいます。息をのんだり、笑ったり、怒ったり、それに合わせて、笑ったり、喜んだりと観客の空気も動きます。

本当は夕霧が好きで好きでたまらないのに、素直になれない男心が嫌というほど表現されています。

じゃらじゃらしたハレの雰囲気

吉田屋は、全体的におめでたい雰囲気です。

舞台は大坂新町の揚屋で、新年を迎える準備をしている人々の様子から始まります。お正月前のめでたい雰囲気、夕霧の豪華な衣装、そしてじゃらじゃらとした二人の痴話げんかが続きます。

物語そのものよりも、華やかな雰囲気とやりとりが見所といえるでしょう。二人の心の動きと共に「廓文章」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

参考元

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