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2017/07/03
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小説界と破天荒な女主人公の魅力的世界に迫る『響 ~小説家になる方法~』

芸人の又吉さんが芥川賞を受賞したり、若年層にはライトノベルが流行したりと文学に脚光が当たっています。 今回ご紹介する漫画は、純文学の小説家を取り上げているマンガです。 「小説」という少し変わった世界を扱った本作品、2017年のマンガ大賞を受賞しました。 今回は、その魅力に迫ります。

●あらすじ

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「木蓮」編集部の編集者「花井ふみ(はないふみ)」は、編集部主催の新人賞に投稿された小説の中で、他とは違う才能による1編の小説「お伽の庭」を見出す。
しかし、その投稿小説には投稿者の氏名・住所の記載がなく、「花井 ふみ」は途方に暮れる。

場所は変わって、北瀬戸高校に通う15歳の少女「鮎喰 響(あくい ひびき)」は、同級生にも上級生にも自分を押し通す「唯我独尊」な性格である。
そんな自分勝手な「鮎喰 響」の行動を、幼馴染の「椿 涼太郎(つばき りょうたろう)」は常日頃からサポートしている。

文芸部へ入部しようとした「鮎喰 響」と「椿 涼太郎」は、文芸部の部室を根城にしていた不良達とひと悶着を起こす。
不良のリーダー格の「塩崎 隆也(しおざき たかや)」は、「鮎喰 響」を脅そうと凄む。
それに対して、「鮎喰 響」は彼の指を躊躇なくへし折った。

非常識な少女「鮎喰 響」だが、実は彼女こそ類まれなる文才を持ち、小説「お伽の庭」を執筆した人物だった。

●響の魅力

・イカれた女主人公

とにかく、主人公「鮎喰 響」はイカれています。
第1巻を読了後の感想は、その一言に尽きます。
相手や物事に対して慮らない、自分の主張を押し通して譲歩を知らない。

マンガの主人公とは、読者が憧れや共感を持たせる存在でないといけません。
しかし、本作品での主人公は、そんな存在とは真反対な性格と行動をします。

作者「柳本光晴」は、対談の中で「圧倒的な天才」を描きたいと語っています。
読者が感情移入しやすい主人公を設定し、周囲に才能があるキャラクター達を登場させる。
読者の分身である主人公は、そんな環境で切磋琢磨して才能を開花させ、その行程を物語として読ませる。
そんなオーソドックスなストーリー展開から、大きく逸脱した主人公を描くことを目的としています。

作者「柳本光晴」自身も、元は同人で活動して新人賞などを一度も獲らず、スクウェア・エニックスにスカウトされて商業デビューします。
その後に双葉社、小学館と作品を発表して2017年のマンガ大賞を受賞した天才肌のマンガ家です。
そんな「柳本光晴」自身が色濃く反映された主人公だと言えます。

・才能とは

物語の中で「鮎喰 響」が書いた小説を読んだ人々は、その才能に大きく影響を受け打ちのめされます。
「圧倒的天才」と同時に作品では、才能をテーマに取り上げています。
コンプレックスを原動力に小説を描き続ける者。
才能の限界を感じ、ペンを置く小説家。
自分に無い才能に嫉妬する者。
主人公「鮎喰 響」を中心にして登場人物達の人間ドラマが展開します。

舞台を「文筆業」としたのは、小説は文字であり、絵で表現するマンガでは表現できなかったから。
それだけではなく、登場人物が特徴的であり、演出などで「凄い小説を書く」という説得力を持たせれば、作品として成立すると考えたそうです。
確かにマンガの中には、小説の内容は1行も登場しません。
そんな作者自身の着眼点自体が「才能」と言えます。

・まだ隠された設定

破天荒な主人公にも度肝を抜かれますが、物語の最初から「どんでん返し」が仕掛けられています。

それについては本作品を読んでもらうとして、他にもまだ作品の中で解明されていない「謎」が多々存在します。

「鮎喰 響」の面倒を見ている「椿 涼太郎」の真意や、文芸部部長も何やら不穏な印象があります。
「鮎喰 響」に指をへし折られた「塩崎 隆也」は後に文芸部に入部するのですが、彼の動向も謎が多すぎます。
そんな人々の心情が複雑に絡み合いながら、物語は進行していきます。

それぞれの登場人物達が「鮎喰 響」という刺激に感化され、様々な感情や思惑がドラマチックに展開します。
物語が進むごとにその絡まりは複雑さを増し、いつまで「鮎喰 響」がその絡まりを断ち切って進めるかが物語の見どころです。

●まとめ

マンガ大賞を受賞した時、アシスタントから『先生、マンガは絵じゃないってことが証明されましたね!』と言われた作者「柳本光晴」。

確かに絵のレベルは高いとは言えませんが、それを気にさせない作品です。
しかし、第1巻を読み終えた後、人によっては主人公に対して興味が湧くか、嫌悪するかの両極端な反応になるかもしれません。

「何だこの主人公…」と思っても、少しでも興味が湧いているとそのまま次巻へ手が伸びる。そんな不思議な魅力に溢れた作品です。

参考元

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エンタメモフモフ太郎

written by エンタメモフモフ太郎

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