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そもそもお金ってなんだろう?~お金の正体について真面目に考えてみた!~

そもそもお金ってなんだろう?~お金の正体について真面目に考えてみた!~

皆さま、こんにちは! マクロエコノミストの崔真淑(さいますみ)です。これから3回に分けて、「お金」というものとどう向き合っていけばよいのかお話ししていきたいと思います。今回は「お金の正体」について考えてみます。

なぜ、私たちはお金で悩むのか?

 さて、お金の正体を考える前に質問です。なぜ、私たちはお金についての悩みが尽きないのでしょうか? それは、お金はもちろん、お金を得るきっかけとなる人・物・時間……この世の全ての資源が有限だからです。当たり前でしょ!なんて聞こえてきそうですが、これはとても重要な前提なのです。有限ということは、何かを得れば、必ず何かを失うということだからです。

 例えば、手元に自由に使える50万円というお金があるとします。このお金を損するリスクが小さいからと定期預金に預けます。この時点で、既にいろんな機会を失っています。この50万円を株式投資で運用していれば、値下がりリスクがあるにしても、もしかしたら大儲けしていたかもしれません。

でも、定期預金にしていると、こうした値上がりしていたかもしれない機会を失っています。または、50万円を使って将来の給料UPのために社会人大学院に通えたかもしれないけど、そうした機会も失っているかもしれません……。

逆に、社会人大学院に通ったものの、何も成果が出せず給料UPにも成功できない場合もあります。ならば50万円は定期預金のままにしておいた方がよかったかもしれません。



 お金も時間も無限にあれば、こんな悩みは持たないわけです。しかし、「しかたなく、片方しか選べない……」という場合は多いはず。これを経済学では「トレードオフ」といいます。二者択一に限らず、何かを選べば何かの機会を失うのが、私たちの世界の定めなんですね。



 こんな偉そうなことを書いていますが、もちろん私もお金との付き合い方で、たくさんの失敗を重ねてきました(笑)。この有限なお金をどう配分し、どう付き合えば、私たちの生活がさらに豊かになるかを考えるために、経済学は存在します。

私自身、経済学を学んだことによって、そうした失敗を次に活かせるようになってきていると日々感じています。ここでは、そうした経験も書いていく予定です。

じゃあお金ってそもそも何?

 では、お金ってそもそも何なんでしょうか? なぜ、お金はお金として通用するのでしょうか? 答えは、みんながお金をお金と信じているからです。トンチのような話ですが、本当です。これを経済学では「共同幻想」といいます。

 実は、1万円札の製造原価は約20円しかありません。しかし、私たちは1万円として価値があると信じているから、世の中で1万円として流通しているんですね。ここまで書くと、ある疑問を抱くかもしれません。じゃあ、お金って紙幣じゃなくてもいいんじゃないのと。そう、まさにその通りで、みんなの大好きな(?)ホルモンをお金にするのもありです!

 私の実家は三重県で60年続く焼肉屋なのですが、母の教育方針が何でもホルモンに換算するというものでした。例えば、「あんたの学費はホルモン何人前からできてると思う~?」なんて質問され、学校に行くための費用、日々の洋服代……いろんなものを家庭内通貨ホルモンで換算しながら、お金を稼ぐことの大変さや、お金とは何かを考えさせられる日々を過ごしていました。

 その肝心のお金の役割は3つあります。保存・交換・尺度です。ホルモンでは、保存するのは難しい、交換するにも好き嫌いが影響するかもしれない、尺度にしても同じホルモン一人前でも質にばらつきがあるかもしれません。これは、ホルモンだけに限った話ではありません。お金として流通するのに不便さを感じないものであることが、お金としての条件なのです。歴史の中では、金や銀がお金として流通した時代もありました。しかし、いろんな経緯を経て今の紙幣や硬貨の形に落ち着いたのです。



お金の価値と日本銀行の関係とは?

 でも、約20円の原価しかかかっていない紙幣を、1万円の価値があると信じているって不思議ですよね。この価値を維持するために日々活動しているのが、日本銀行です。もしも自由に誰でも1万円札を印刷できるとなれば、世の中に1万円札があふれて、価値のないものになるでしょう。そこで、1万円札や紙幣を発行できるのは日本銀行のみと法律で定められており、1万円札の価値が大きく変動しないように日本銀行によって発行する紙幣量がコントロールされているのです。紙幣を見ると、日本銀行券と書いてあるのが分かりますよね。

 もしも、日本銀行が一気に大量に1万円札を発行したら何が起きるでしょうか? 1万円札の価値が暴落するかもしれませんよね。明日になったら、手元にある1万円札でパンすら買えないなんてことが起きるかもしれません……。少し大げさな例えですが、これに近いことが今の日本で起きています。

 日本政府が借金をする場合、国債を発行します。これを主に買うのはメガバンクなどの民間銀行です。そして、この民間銀行が保有している国債をとにかく買い、代わりに現金を刷り、それを民間銀行に渡すという政策を続けているのが今の日本銀行です。国が借金するのと同時に、日本銀行がたくさんの紙幣を刷っているということです。もちろん、日本経済を元気にするために、日本銀行はそうした政策を行っているのですが、なかなか結果が出ません。

 景気が上向く兆候がない限り、また日本政府の借金がある限り、日本銀行が行っている政策下では、(少し乱暴な表現ですが)世の中の紙幣の量はドンドン増えていきかねないのです。2015年時点で、日本銀行の国債保有残高が初めて300兆円を超えています。

 もちろん今の日本経済の環境では、そんなにたやすく1万円札の価値が暴落することはありません。しかし、いつかは……と勘繰りたくなってしまいますよね。そう考えると、定期預金で日本円だけを持つことが、上手なお金の付き合い方とは限らなさそうですね。

執筆者のプロフィール
崔真淑
崔真淑

マクロエコノミスト。Good News and Companies代表。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。化粧品会社エイボン・プロダクツ社外取締役。1983年生まれ。神戸大学経済学部、一橋大学大学院(ICS)卒業。大和証券SMBC金融証券研究所(現:大和証券)では株式アナリストとして活動し、最年少女性アナリストとして株式解説者に抜擢される。2012年に独立。経済学を軸にニュース・資本市場解説をメディアや大学等で行う。若年層の経済・金融リテラシー向上をミッションに掲げる。 

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