物価の変化をいろんな角度から比較してみて分かったこと

物価の変化をいろんな角度から比較してみて分かったこと

こんにちは、らくからちゃです。

前回、「バブル期と現在の家計を比較して見えてきたこと」という記事を書かせていただきました。予想以上に多くの方に読んでいただけたようで、恐悦至極にございます。



Twitterやはてなブックマークでたくさんのコメントをいただきました。中でも多かったのが「物価そのものは、どれだけ変わったんだろう?」というコメント。



長らく我が国は、物価の上がらないデフレ経済状態にありました。私自身、「物価が変わる」ことについてはあまり体感せずに育ってきました。ただ、バブル崩壊から既に20年以上が経過しています。



デフレとは言ったものの、この間に果たして「物価」は、どれくらい変わったのでしょうか? 実際に下がった物価は、一体どれくらい下がったのでしょうか? 逆に物価が上がったものは、まったくないのでしょうか? 物価が劇的に変わったことを実感したことがないので、とっても気になります!

というわけで、今回は「物価の違い」について調べてみたいと思います。総務省統計局が調査している「消費者物価指数」を参考に、数値の変化を追ってみました。


統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI)

消費者物価指数とは?

消費者物価指数は、家計における重要585品目について、毎月その品目の価格を調査した指数です。調査ごとに別々の商品を選んだ結果、価格変動の影響を受けないように銘柄まで指定のうえ、調査されています。例えば、「チョコレート」であれば、

  • 『板チョコレート 50g』
    ・明治ミルクチョコレート
    ・ロッテガーナミルクチョコレート
    ・森永ミルクチョコレート

が対象になるそうです。



それぞれの支出が家計に占めるウェイトを基に計算します。バブルまっただ中の1989年(平成元年)から、直近の2015年(平成27年)までの間に、物価がどの程度変化したのか?を見てみたいと思います。



家計分類の最もおおざっぱなくくりである10大分類ごとに、物価変動の倍率をまとめると、下図のようになりました。ででーん。

10大分類別物価変動率をみてみる

1989年と2015年の大分類別物価変動率

グラフの右に記載している数字は物価変動の倍率です。




1位は、光熱・水道費。より細かい分類で見ても、ガス・水道・電気の順番で物価が増加していました。2位は消耗品やサービスに係る費用をまとめた諸雑費。3位は外食等も含めた食費でした。全体的に見ても、物価が上昇している費目のほうが意外と多いですね。

一方、下落している費目もあります。家具・家事用品に至っては、半額近くまで値段が下がっています。内訳を見てみると、家電製品が大幅に価格を下げています。特に、白物家電は下落幅が大きく、1/10まで指数が下落した商品もあります。

こういった、機能の進歩のある商品は『オーバーラップ法』で指数に品質の変化が反映されます。ざっくりいうと、「その時一番売れている商品」の価格を追いかけていくような調査方法です。



その他にも、教養娯楽の物価が下落していますが、これは「カメラ」の大幅な価格の下落が反映されているためです。最新の調査では、カメラが調査対象として指定されていますが、2002年(調査対象が分かる最も古いもの)の段階では、


小型カメラ、レンズシャッター式、35ミリコンパクトカメラ、〔レンズ〕ズームレンズ広角側焦点距離最短28mm~望遠側焦点距離最長120mm、ズーム倍率3~4、〔重さ〕270g以下

などの機能でした。直近の調査では、

デジタルカメラ,コンパクトカメラ,〔有効画素数〕2,000~2,005万、〔光学ズーム〕8~10倍、〔動画記録〕ハイビジョン、手ぶれ補正機能付き、特殊機能付きは除く
となっていました。

となっていました。

カメラの調査対象がデジタルカメラに切り替わるのは2006年です。機能の進化に伴う価格変動についても、『ヘドニック法』という複雑な方法で計算がされているようです。気になる方は是非調べてみてください。というか、そもそもカメラとデジカメって別のもののような気もするんですけどね……。

技術革新が著しい家電製品の場合は、年次推移でデータを見るのは難しいです。技術革新の影響を最も受けなさそうな(?)食料品について、価格変動を見ていきたいと思います。

安くなった食べ物/高くなった食べ物をみてみる

まず、値上がりした食品のトップ10を見てみると、このようになりました。

値上がりした食品トップ10

全体的に、魚介類の値上がり幅が大きくなっています。日本食ブームのため、世界的に漁業資源が枯渇しつつあるという話はよく耳にしますが、その影響も強く受けた結果かもしれませんね。全体的に野菜類も値上がりしています。その一方、値下がりした食品もあります。




こちらが値下がりした食品のトップ10

値下がりした食品トップ10

全体的に加工食品が目立ちますね。この辺は、技術革新の効果かもしれません。



面白いのが、値上がり率2位に出てきたイワシに対し、値下がり率8位に出てきたタイ。この2つ、何が違うか分かりますか? 正解は、「イワシは養殖ができないが、タイは養殖が可能」ということです。タイは高級魚というイメージがありますが、お求めやすくなっていたんですね。

市場に出回っているタイの8割は養殖だそう。一方、回遊魚であるイワシは養殖ができない。そのため、タイは供給量を増やしやすく、価格を安く保つことができているのでしょうね。

ウイスキーやワインに関しては、バブル期では高級品でしたが、より庶民にも手が届きやすくなった結果でしょうか。

少し気になるのが、「お米」の値段が大幅に下がっている点ですね。その背景をたどってみると、2つの大きな歴史の転換点にたどり着きます。

全体的に加工食品が目立ちますね。この辺は、技術革新の効果かもしれません。

面白いのが、値上がり率2位に出てきたイワシに対し、値下がり率8位に出てきたタイ。この2つ、何が違うか分かりますか? 正解は、「イワシは養殖ができないが、タイは養殖が可能」ということです。タイは高級魚というイメージがありますが、お求めやすくなっていたんですね。

市場に出回っているタイの8割は養殖だそう。一方、回遊魚であるイワシは養殖ができない。そのため、タイは供給量を増やしやすく、価格を安く保つことができているのでしょうね。

ウイスキーやワインに関しては、バブル期では高級品でしたが、より庶民にも手が届きやすくなった結果でしょうか。

少し気になるのが、「お米」の値段が大幅に下がっている点ですね。
その背景をたどってみると、2つの大きな歴史の転換点にたどり着きます。

ひとつは、1993年に発生したお米の大凶作、いわゆる「平成の米騒動」です。当時日本全体で1000万トンの需要があったのに対し、その年の収穫量は800万トンを下回る事態になりました。お米は日本人の主食として、手厚い保護を受けてきたのですが、こうなってしまってはそうは言っていられません。そこで、海外から大量のお米を輸入し、取引も大幅に自由化しました。

そしてもうひとつの転換点、食糧法改正に繋がります。法律が改正される前は、米農家は政府や農協を介してしかお米を売買することができず、価格も自分たちで決めることはできませんでした。それが、改正によって自由に値段をつけられるようになりました。しかし価格保証が無くなったため、米の値段は大きく下落することに。消費者からとってみれば、有り難いことこの上ないのですが、農家の人たちにとっては大変なことですね。

物価を地域差で比較してみる

ところでこういった「物価」って、「地方より東京のほうが高い」とそんな風によく言われますよね。実際にどんな品物がどれくらい高いのでしょうか? 逆に安い品物はないのでしょうか? 地域別の物価の違いも見てみましょう。まずは各都道府県別の概況です。

地域別物価指数(出典:統計局ホームページ/統計Today No.89)

やっぱり、東京・神奈川・埼玉を中心とした首都圏が上位ですね。それぞれ品目別に見てみましょう。「東京都の金額÷平均額」で得られた倍率が高かった品目トップ10は以下の通りです。

平均額からの倍率が高かった品目トップ10

やっぱり生鮮食品が多いですね。東京の近くだと収穫しづらいということもあるのでしょうか。同様に安かった品目ベスト10を見てみましょう。

平均額からの倍率が高かった品目トップ10

圧倒的に保存の効く品物が多いですね。東京は人口も多いので、大規模に販売できるのであれば、市場も広くコストダウンできるのでしょう。


海外と比較してみる

視点を海外にも移してみましょう。それぞれの国ごとの物価について、東京に対する倍率をまとめた資料があります。その中からまずは、肉類関連の平均値上位を取得してみました。

肉類関連の平均値が高い国トップ10

全体的に中東の国々が多いですね。この中に日本をいれると(肉類平均の値を100とした場合なので)オーストラリアと中国・上海の間の、第6位ですね。日本のお肉は高いようです。続いて、安い国を見てみましょう。

肉類関連の平均値が低い国トップ10

ちょっと意外だったのが、インドを中心とする南アジアの国が結構上位に入っていることです。結構このあたりも牧畜が盛んなんですね。この中には入っていませんが、お肉をバクバク食べるイメージのある米国は日本の7割の値段でお肉が食べられるそうです。うらやましい……。

お次は、同じように野菜の値段が高い国の上位ベスト10を見てみましょう。


野菜関連の平均値が高い国トップ10

やはりというか、砂漠地帯は野菜を手に入れるのが難しいのか、上位ですね。でも案外安い。日本の何倍もするかと思っていたのですが、調査対象国中、野菜の高さは日本が一番です。

最後に、家電・自動車の値段が高い国の上位ベスト10です。

耐久消費財の平均値が高い国トップ10

テレビについては、日本よりも高い国が多いですね~。普段あまり意識しませんが、やはり家電大国だからでしょうか?

いろいろな物価比較をしてみて

いろいろな物の価格の変動をみてきました。自由経済体制下の我が国においては、物の値段は日々変動します。ただ日々の変動を見つめていても、あまり大きな変化は感じられないかもしれません。

しかし長い期間で見てみたり、地域で比べてみたりすると、物の値段は、いろんな社会環境の変化を取り入れながら推移しているんだなあ、ということが分かってきました。

デフレデフレと言われてきたけれど、しっかりと物価が上がっていた品目があることには驚きました。

変化のペースが緩やかな場合、その変化になかなか気がつかないことも多くあります。「あれってもっと高いと思ってた!」なんてことも多いような気がします。歴史を紐解いてみると意外に面白そうですね。

たまにはふと立ち止まって、普段何気なく手に取っている物の値段について、見直してみても良いかもしれません。
ではでは、今日はこのへんで。

出典:統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI)
   公益財団法人 国際金融情報センター

三度の飯よりグラフが好き。87年生まれのゆとり系サラリーマン。 経済や会計をメインとした「ゆとりずむ」なるブログを書いおります。お手すきの際にでも是非!

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