約2,000本の「インク」を集めたコレクターが語る色の魅力、自分の使命

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初めまして。万年筆のインクを集めている、コレクターのケンケンと申します。2018年10月現在、所持しているインクの数は1,944本。時には海外まで買いつけに行くほど、インクに魅了されています。

パソコンの普及で文字を書く機会が減ったという話をしばしば耳にする一方、一部では手書きの魅力が再燃しつつあるのをご存じでしょうか。デジタル一辺倒の世界に飽きた人たちが、自分の個性を表現するツールとして万年筆などで文字を書き、SNSやブログで紹介するという楽しみ方を見出しているのです。

今日は、ぼくのコレクションを交えながらインクの世界を紹介しつつ、皆さまに“インク沼”の素晴らしさをお伝えしたいと思います。

自分の気持ちをノートにつづる 万年筆のインクにはまったきっかけ

まずは、ぼくがなぜ“インク沼”に足を突っ込むようになったのかをお話しします。

物心がついた時から、ぼくは何かを書くことが好きでした。文学者だった父と読書が好きだった母から影響を受け、子供の頃から文章に触れる機会が多かったので、自分も文章で何かを表現したいと思うようになったのは、自然だったのかもしれません。

小学生の時は、見よう見まねでノートに物語を書いていました。中学に入ってから大学を卒業するまで文芸部に所属していたのも、ただひたすら文章を書きたいと思っていたからです。大学を卒業した後も常にノートを持ち歩き、時間のある時に自分の思っていることを書き付けたり、友人に手紙を書いたりしていました。

4年間のサラリーマン生活を経てライターになったのも、文章を書きたいという欲求が強かったからと言えるでしょう。といっても、当時はほとんどの原稿をパソコンで書いていたので、手書きで文章をつづるのはもっぱらプライベートの場だけでした。

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ゼブラ「サラサ」シリーズ

万年筆と出会うまで、ぼくはボールペンでしか文字を書いていませんでした。特に好きだったのが、ゼブラの「サラサ」というシリーズ。その日どんなことがあったのか、どんなことを感じたのかを、その時の気分で色を変えながら徒然なるままにつづっていました。

この時から万年筆の存在は知っていましたが、扱いが面倒で「高価な筆記具」というイメージが強く、触れることはありませんでした。そんなぼくが万年筆にのめり込むようになったのは、ある人のちょっとしたアドバイスがきっかけだったのです。

それは忘れもしない2010年の春のこと。当時、ぼくにはお付き合いしている男性がいました。彼とは6年間付き合っていたのですが、諸般の都合で別れることになりました。お互い嫌いになって別れるわけではなかったので、とてもつらかったです。

ぼくはそのことをノートに書くことすらできず、ふさぎ込んだ日々を送っていました。その時、ぼくの様子を見るに見かねた書道家の女友達が「万年筆を使って、自分の気持ちを正直にノートに書いてみたら?」と言ってくれたのです。

以前から彼女が万年筆を使っていたのは知っていましたが、それでも当時は全く興味が持てませんでした。でも、そんな彼女が、落ち込んでいるぼくにそこまで薦めてくれるんだったら。万年筆で自分の気持ちを書けば、少しは心が落ち着くんじゃないか。そんな気がしたのでした。

しかし問題は、普段ぼくが使っているボールペンと比べて、万年筆のお値段はやはり高いということ。ただ、だからこそいつもとは違った気分で文章を書けるかもしれないと思い、彼女のアドバイスに従って、日本橋にある丸善の地下文具売り場を訪れたのです。

そこにはさまざまなタイプの万年筆が並んでおり、何を選んで良いのか分からないほどでした。なので、お店の方と相談しながら、自分の予算に合った好みのデザインの万年筆を購入しました。



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パイロット「カヴァリエ」シリーズ

それが、パイロットの「カヴァリエ」というシリーズです。落ち着きのある深い青緑色にうっすらとマーブル模様が入っていて、少し宇宙を思わせるようなデザインにすっかり魅了されました。

しかし、万年筆は単体で文字を書くことができません。そう、インクが必要なのです。そこで初めて、ぼくは万年筆の「インクの世界」を知ることになります。もちろん、その時は自分がここまでインクにはまるとは想像もしていませんでした。

後から思うと、ぼくが万年筆を初めて買った2010年は、いろいろな万年筆のインクが少しずつ出始めていた頃でした。そういう意味では、ぼくが万年筆と出会ったのは運命的と言っても過言ではないでしょう。



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パイロット「iroshizuku<色彩雫>」シリーズ

まず、パイロットから「iroshizuku<色彩雫>」というシリーズのインクが発売されました。日本の美しい自然や景色をモチーフにした色とりどりのインクは、実に魅力的です。



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セーラー万年筆「四季彩」シリーズ(現在は「SHIKIORI<四季織>」に改名)

同じ頃、セーラー万年筆からは「四季彩」(現在は「SHIKIORI<四季織>」に改名)というシリーズで限定のインクが季節ごとに4色ずつ発売されました。

万年筆は、きちんと洗えば別のインクを入れて使うことができます。それを知って、ぼくは「万年筆も面白いじゃないか」と思えるようになったのです。

そして、ぼくが万年筆を手放せなくなった理由がもう一つあります。これまで、ぼくは幼くて稚拙な自分の字があまり好きではありませんでした。ところが、万年筆で書くと、そんなぼくの字も何となくサマになっているように見えたのです。もちろん、字としては決して美しいとは言えないでしょう。でも、万年筆で書いた字は、ぼくらしさというか、ぼくの個性が出ているように感じたのでした。

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それはきっと、万年筆の書き味が、文字のハネ・トメ・ハライといった日本語独特の特徴を毛筆のように強調しているからでしょう。親友の書道家が万年筆を愛用していたのも、そこに理由があったのだと気付いたのです。

これを手に入れないと必ず後悔する 運命の万年筆との出会い

万年筆を使うようになってから、ぼくは世の中にさまざまな万年筆用のインクがあることを知りました。もともと「色」にも興味があったので、インクを集め始めるまでにそれほど時間はかかりませんでした。

しかし、万年筆が1本しかないと、いろいろなインクを同時に使うことはできません。なので、まずは1万円以下の廉価な万年筆を集めながらインクを使い分けることにしたのです。

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ドイツのブランド「ラミー」

比較的リーズナブルな万年筆だと、例えばドイツのブランド「ラミー」が有名です。スタイリッシュで持ちやすく、ボディカラーもたくさん用意されています。

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フランスのブランド「エルバン」

インクの場合、外国のブランドだと、フランス生まれの「エルバン」は色が豊富な上に1個1,000円程度で手に入れることができます。もともと収集癖があったので、あっという間にそろえてしまいました。

こうして徐々に万年筆とインクが増えていきましたが、この時はまだ多少なりとも自制心というものがあったのでペースは抑え気味でした。

ところが、そんなぼくの自制心を崩すような出来事が起こりました。2011年3月11日に発生した、東日本大震災です。これまでにないくらいの揺れを体験し、しばらく余震が続いたこともあり、不安な毎日を過ごしていました。



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オマス「ボローニャ アクア」

その時、ぼくの頭からは、西新宿にある高級文具店のショーウィンドウに飾られていた1本の万年筆のことが離れませんでした。イタリアのオマスが販売する「ボローニャ アクア」という万年筆です。ぼくの好きな美しいターコイズブルーの軸で、海を思わせるようなマーブル模様が描かれています。

しかし、価格は4万円。当時のぼくにとってはあまりにも高く、手に入れるのがためらわれました。まだ万年筆を使い慣れていない時に高価なものを買っても、宝の持ち腐れになると思ったのです。

でも、その万年筆を手に入れないままこの世を去ることになったら、絶対に後悔するに違いない! そう確信したぼくは、清水の舞台から飛び降りるような心持ちで「ボローニャ アクア」を購入したのでした。

この頃はだいたい1万円以下の万年筆を中心に購入しており、たまに奮発して2万円代のものを選んでいたと記憶しています。そんな中で4万円の「ボローニャ アクア」を購入するのは大きな決断でしたが、振り返ってみればこれは大正解でした。オマスはその数年後に廃業し、今では入手困難な万年筆になってしまったのですから。

この万年筆を手に入れたことで、ぼくは本格的に万年筆の世界にはまりました。自分が本当に美しいと思う万年筆は、多少高くても、できるだけ手に入れようと決めたのです。

悩みに悩んで手に入れた万年筆ほど、愛着がわきます。きちんと保管したり手入れをしたりと大事に扱うことで、長く使えるというのもこの時に知りました。

ぼくにとって万年筆は、単に集めて飾るためのものではなく、もっと実用的なものです。文字を書く時に、自分の大好きな色・デザイン・形で構成された万年筆が目に入ると、それだけで文字を書く喜びをひしひしと感じることができます。こうしてぼくは、自分が悦びを感じられるような万年筆を集めるようになりました。

“インク沼”という言葉に背中を押される

とはいえ、万年筆だけでは文字は書けません。なので、自然とインクも一緒に集めるようになるのですが、比較的単価の安いインクの方が多くそろうようになりました。万年筆やインクに目覚めてから2年がたった頃、気が付けばインクは100本以上も集まっていました。

しかし「こんなにたくさんのインクを持ってどうするの?」と自問自答することもあり、せっかくなら何かの形で紹介しようと、当時更新していたブログにインクの見本や感想などを載せることにしたのです。

そのうち「もっと万年筆やインクについて情報を得たい」と思うようになり、本屋さんへ行くことに。そこでぼくは、自分の欲しい情報が満載の雑誌を見つけたのです。

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それが、『趣味の文具箱』という文房具を中心に扱う専門誌。表紙の「インクの悦楽」という文字を見て、手に取らずにはいられませんでした。2014年12月のことでした。

ぼくはこの特集号で「インク沼とは『(インクが)いっぱい集まっちゃって、もう』と頭を抱える様を自虐的に表現する言葉」という文章を読み、急に「これでいいんだ!」と自分のインク収集を肯定できるようになりました。もう、こうなったらとことんインクを集めてやろうじゃないの! という気持ちになったのです。

『趣味の文具箱』で連載を持ち、インク沼の水深が深まる

それからは、これまで以上にインク収集のペースが加速していきました。同時に、もっといろいろな人に見てもらおうと、ブログだけでなくSNSでもおすすめのインクを紹介するようになったのです。

そして2015年春、SNS経由でとある方から連絡をいただきました。声を掛けてくださったのは、ぼくがインクにはまっていくきっかけを与えてくれた『趣味の文具箱』の副編集長。聞けば、ぼくのブログを読んで「特集号で取材をさせてほしい」というのです。ぼくは舞い上がり、準備万端で取材を受けました。

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掲載していただいたのは、特集「愛すべきペン好きの生態」で組まれた「7人のペン好き」(2015年6月発売『趣味の文具箱』34号)です。誌面では、この時点で所持していた300本のインクの見本帖などを紹介しました。

この特集に参加した後、2015年12月発売の36号では、インクに関するコラムを書かせていただくことになりました。さらに2016年3月発売の37号からは、なんと連載を持たせていただけるようになったのです。

連載では、さまざまなブランドのインクを紹介するだけでなく、同系色のインクを比較してみたり、特殊なインク(最近ではラメ入りのインクなどもあるんですよ!)を分析したりしています。

コラムを書くようになってからは、インク収集についても「これは仕事だから、インクを買うのは当たり前のこと」と半ば開き直り的な心境にもなってきました。今は市場に出回っているインクはとにかく片っ端から集めてやろう! という熱い気持ちでインクと向き合っています。

色に込められた物語と思い出 今「ご当地インク」がアツい

インクがブームになって8年くらいたちますが、最近だと、各地の文房具店で売られている「ご当地インク」が特に人気を集めています。中にはコレクターもいらっしゃいますね。

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ナガサワ文具センター「Kobe INK物語」

例えば、兵庫・神戸を中心に展開しているナガサワ文具センターでは、神戸の街がモチーフになっている「Kobe INK物語」というインクを60色以上も出しています。



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丸善「丸善アテナインキ」日本橋シリーズとキングダムノート「源氏物語」シリーズ

東京でも、丸善・日本橋店では日本橋をモチーフにした「丸善アテナインキ」を、西新宿のキングダムノートでは「源氏物語」をテーマにしたインクシリーズを販売しています。

静岡・浜松や東京・表参道にあるブングボックスには、東京メトロの路線カラーを表現した「TOKYO METRO COLOR」など、他では見られないようなオリジナルインクが40色以上も。



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文具館コバヤシのオリジナルインクと文具の杜「杜の四季インク」

静岡の文具館コバヤシのオリジナルシリーズも、個性的で人気です。写真に載せている「静岡茶」は、まさに静岡ならではのお茶をイメージした色。他にも「駿河湾」をイメージしたブルー系の色や、ジューシーでかわいらしいピンク系の「静岡苺」といったインクが出ています。

仙台で展開する文具の杜には、仙台にゆかりのあるオリジナルインク「杜の四季インク」があります。写真のものは、鉛筆のHBをイメージした色をしており、万年筆なのに鉛筆の筆致を味わえるとても不思議なインクで、個人的に大好きです。その他、爽やかな川のせせらぎをイメージした「広瀬川のせせらぎ」や、伝統行事「仙台七夕まつり」の夜を思わせる美しいブルーブラックの「仙台七夕の夜」といった、ネーミングからして情緒あふれるインクが出ています。

ご当地インクの魅力は、基本的に現地へ行かなければ購入できないところにあります。中にはネットで購入できるお店もあるのですが、その土地ならではのインクを手に入れたいと思ったら、なるべく足を運んでお店の人と話をしながら購入するのをお勧めします。そうすることで、その土地に対する愛着も湧きますし、思い出もできます。

ぼくも全国にあるご当地インクのほとんどを所有しているのですが、それぞれに思い出があります。特に、2017年に九州へ行った時にご当地インクを買い集めたことは、これからも忘れることはないでしょう。

シンガーソングライターのユーミンこと松任谷由実さんが大好きなぼくは、ユーミンのツアーでよく各地に遠征しています。2017年は長崎・大阪・神戸・鳥取などに行きました。

長崎のコンサートへ行ったときは、せっかく九州まで足を運ぶのだからと、コンサートの前後1週間に休みを取りました。友人たちが住んでいる長崎と北九州に宿泊して、それぞれの場所を観光したりご当地インクを買ったりする予定だったのです。

しかし、長崎にいた友人の都合が悪くなったため、急きょ予定を変更して1人で散策することにしました。まずは、長崎の石丸文行堂という文具店で、カクテルをイメージしたオリジナルインク「カラーバーインク」シリーズの全70本を大人買いします。

次の日は、特急電車と新幹線で片道4時間をかけて別府まで移動。たまたまTwitterでぼくの行動を知ったインク好きの人が、別府のオリジナルインク「別府ビュー」シリーズ「トワイライト」シリーズを扱っている明石文昭堂という文具店を案内してくれました。

しかし、どうしてもその日のうちに長崎に戻らなくてはならなかったので、観光もそこそこにすぐとんぼ返りすることに。往復8時間をかけて来たにもかかわらず、別府の滞在時間はたった2時間でした。

その後は北九州へ移動したのですが、現地で会うはずだった友人の都合が悪くなり、またしても1日フリーに。それならば、と地図を広げたところ、北九州から鹿児島まで新幹線が走っていることに気付きます。

そこで、しんぷくという現地の文具店に連絡を取ってインクの在庫を確認し、新幹線に飛び乗って鹿児島まで買い付けに行きました。さらに、熊本でご当地インクを扱っている甲玉堂というお店にも立ち寄り、またその日のうちに北九州へ戻ったのです。もちろん、北九州にある文具店のオリジナルインクも全て購入。結局、1週間で100本以上のインクを集める結果になりました。

このことはSNSでつながっているインク好きの人たち(「インク沼の住人」と呼んでいます)の間でも話題になったようで、中には「ケンケンさんは新幹線をタクシーのように使った」とその日の行動を地図にまとめてくれた人も。今でも、この時の話をするたびに多くの人たちに呆れられてしまいます。

しかし、この時ぼくは「せっかく九州に来たんだから!」という想いのみで行動していました。また、実際に店舗へ行って購入することで、その土地に対する想いも深まったので、後悔はしていません。

また、このことをきっかけに、別府の文房具店・明石文昭堂の方や近くに住む文具好きのフォロワーさんとも仲良くなりました。2018年2月にあらためて別府を訪れたときには、現地をいろいろと案内していただけました。あんなふうに九州を駆け回らなければ出会えなかった人々とも交流できますし、こうしてネタとしても披露できるので、これはこれで良い思い出になったかなと思っています。

インク両側にある木製の引き出しには、万年筆を保存。下段の透明なケースには、所持している全てのインクを収納している
この写真に載っているのはコレクションの一部で、部屋には同じようなケースの山がたくさん

こちらは、自分の部屋に設置しているインク置き場です。中央に並んでいるのが、長崎で70本の大人買いをした「カラーバーインク」シリーズ。全70色を収納できる専用ケースに入っています。

海外ブランド、高級な“イカスミ”……広がるインクの世界

こうしてご当地インクを買い集めつつも、最近は日本のインクに限らず、海外のインクにも目を向けるようになりました。日本では買えないようなインクも、インターネットを駆使したり、海外出張へ行く人に頼んだり、時には自分で現地に出向いたりしながらそろえています。日本のインクと比べると、海外のインクは種類が豊富だったり、ボトルの形が変わっていたりするので、ついつい集めたくなるんです。

特に注目しているのは、中国や台湾のインク。パッケージが凝っていたり、インクにラメが入っていたりして、とても魅力的です。ぼくのコレクションの中から、皆さまにもおすすめしたい海外発のインクを紹介します。



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オランダのブランド「P.W.アッカーマン」

日本ではまだ手に入れることができないこちらのインクは、オランダの老舗文房具店であるP.W.アッカーマンのもの。素敵な色が多いというのはもちろん、独特なボトルの形も大きな魅力です。



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中国のインク

こちらは中国のインクです。色は1種類なのですが、オリジナルの色に加えて、金のラメと銀のラメが入った3種類がセットになっています。3つのボトルが缶に入っていて、凝った作りになっています。



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万年筆博士「イカ墨セピアインク ダーク」

そして、ぼくが持っている1,944本のインクの中で最も高価なインクがこちら。鳥取にある高級万年筆店・万年筆博士のオリジナルインク「イカ墨セピアインク ダーク」で、その名の通りイカ墨を使ったインクです。お値段は1本7,560円(税込)。でも、それだけの価値がある絶妙な色です! もったいなくてなかなか使えないでいるのですが(笑)。

色には物語がある 輝く“インク沼”の世界へようこそ

あらためて、ぼくがインクのどういったところに魅力を感じているか分析してみます。

まず、色がたくさんあるということ。同じような色でも、光の当たり方によって微妙に違いがあったり、濃淡の出方が異なっていたりするものが多いのです。 これは万年筆のインクならではと言えるでしょう。

また、ご当地インクなどは、その色の生まれた背景がそれぞれのインクに込められています。インクにまつわる物語を色で読み解くことができるというのも、他の文房具にはない魅力ではないでしょうか。ボトルのデザインやパッケージなども凝っているので、実用的な上に、机に置いているだけでもサマになりますね。

周囲からは「こんなにインクを集めて使い切れるの?」と疑問をぶつけられることも多々あります。確かに、2,000本近くある手元のインクを一生のうちで使い切るのは無理なことでしょう。しかし、ぼくにとってインクは「使い切ること」が目的ではありません。いろいろなインクを「人々に紹介していくこと」が、自分の使命だと思っています。

なので、ぼくが「Happy Ink Days」というブログを立ち上げ、毎日インクを1本ずつ紹介しているのも、使命感によるものなのです。ありがたいことに、インクを買う時はぼくのブログを参考にしているという声もいただいています。中には「世の中にそんなにたくさんのインクがあるの?」と思う人も少なくないようで、質問を受けることもあります。

そうなのです! インクの世界というのは、とても奥が深いのです。昔は黒と青、ブルーブラック、赤ぐらいのインクしかありませんでしたが、今や万年筆のインクの世界は実に多様です。それぞれの色にいろいろな楽しみが詰まっているので、気が付けばあれこれと集めてしまうのであります。

ぜひ皆さんも、素敵なインクの世界に足を踏み入れてみてはいかがですか? ようこそ、輝くインクの世界へ!

著者:ケンケンid:happyinkdays

ケンケン

ご本人公認の山田詠美研究家、文具ライター。何か嫌なことがあっても、文字を書いているだけで気持ちが落ち着いてくるので、ペンと紙は手放せない毎日。最近では占い師デビューも果たし、占いと色を融合した鑑定を目指している。


はてなブログ:HAPPY INK DAYS archives
Twitter:@kenkenbacky

※記事に掲載されている情報は、全て2018年10月時点のものです