【外国為替】トルコリラが狙い目!?高金利通貨でカンタンに稼ぐには

【外国為替】トルコリラが狙い目!?高金利通貨でカンタンに稼ぐには

マイナス金利を導入している日本では、銀行の定期にしていても、もらえる金利は年間のATM手数料さえも賄えない状況になっています。
一昔前の日本でも金利が5%~7%ほどついた時期もありましたが、今後そのような金利が戻ることは絶望的でしょう。

お金を増やすためには株式や投資信託、債券、金、仮想通貨など、さまざまな投資法があります。
しかし、全て資産がマイナスになる危険性も高いので、リスクを取りたくない人にはおすすめできません。
売買差益を狙う投資法はしたくないけれど、資産運用には興味がある人必見です。
今回は「誰でもできる高金利通貨に投資をする方法」をご説明します。

高金利通貨とは?

世界には170を超える通貨が存在しています。

それぞれの通貨には金利が設定されていて、各国の日銀にあたる中央銀行が決定しています。これを「政策金利」と言います。

この政策金利とは中央銀行が一般の金融機関(銀行に)お金を貸し出す際の金利で高い国だと5%以上、低い国だとマイナス金利を導入しています。

1年未満の貸し出しに適用する金利を「短期金利」、1年以上の貸し出しに適用する金利を「長期金利」と言います。

私達の投資で影響を及ぼす金利は「短期金利」になります。

金利はどのように決まるのか?

日本の金利の決定は金融政策の1つとして行われます。

金融政策と通貨量や金利を適切な水準に保って物価の安定や持続的な経済成長や国際収支の均衡などを目指す政策になります。

金利は、景気が良い場合は高く設定されます。
これ以上の過熱を防ぐために通貨の流れを遅くするためであり、景気が悪い場合は低く設定して景気を刺激するようにしています。

高金利通貨とは

現在、高金利とよばれる通貨は主に3つあります。

・トルコリラ
・南アフリカランド
・メキシコペソ

今回は、この中のトルコリラについてさらに詳しく見ていきましょう。

トルコ共和国とは

トルコリラは、トルコ共和国の通貨になります。

トルコ共和国は日本の約2倍にあたる面積の国土を有しており、首都はアンカラになります。また、人口は約7,891万人(2016年度)で、公用語はトルコ語としています。

国の主な産業はサービス業で、GDPは8,643億米ドル(2016年度)で世界第17位にランキングされています。

主な輸出品は自動車や機械、衣類など、輸入品は機械や鉱物燃料や電気機器などになっています。

トルコ国債の金利は世界水準に比べて格段に高くなっていて、2018年4月現在でトルコリラ2年債では利回りが13.720%、3年債では13.640%となっています。

日本国債の2年債が利回り-0.15%や5年債が-0.13%と比べるとその差は歴然です。

トルコの人口構成の特徴は、「生産年齢」と呼ばれる15歳~60歳の人口比率の高さになっています。
国民総人口の約70%が、この生産年齢にあたります。

このことからも、今後さらに人口が増加し、GDPが増加する見込みがあります。

トルコの個人消費額も2,000年から2016年で約2倍になっていて、消費の需要拡大もますます期待できることになります。

トルコリラの為替レート

現在のトルコリラと円ペアの為替レートは28円~26円ほどになっています。2015年に50円代後半を受けてから、徐々に円高トルコリラ安が進んでいます。

2018年3月23日には、年初来安値26.22円を付けました。

このトルコリラ安が進んだ原因の1つが、米国とトルコがビザ発行業務を停止したことにあります。

これは、2016年のトルコでのクーデーター未遂事件で米国領事館にトルコ職員が逮捕されたことが理由のようです。

米ドル/トルコリラペアはビザ発行の再開で安定した為替レートを維持していまが、円/トルコリラペアでは今後さらにトルコ安が進みそうな気配があります。

しかし、物価の上昇が止まらないトルコでは景気過熱を抑えるためにトルコの中央銀行は利上げを行う可能性があります。

その場合、マイナス金利の円を売って金利の高いトルコリラを買う傾向になるため、トルコ高に転じる可能性もあります。

エルドアン大統領

トルコの為替レートはエルドアン大統領の金融政策に大きく影響されます。

エルドアン大統領とは、正式名は「レジェップ・タイイップ・エルドアン」で、トルコの元・首相になります。

大統領には2014年8月から就任しており、ワンマン大統領としてトルコの政治から経済、金融などを指揮しています。

インフレ対策のために経済構造改革を行ってトルコ経済の成長を成し遂げたり、輸出を拡大させたりするなど、積極的な経済政策を取ることでも知られています。

為替レートやトルコリラの今後は、このエルドアン大統領の動向によるところが大きいです。

特に大統領は利上げ政策に反対のようで、今後利上げに対して圧力をかける見込みがあります。仮に利下げに転じた場合の円/トルコリラのレートでは、ますますトルコリラ安が進む可能性があります。

トルコリラの高金利を利用した投資法

まだまだ問題の多いトルコリラですが、投資の世界ではこの高金利は非常に魅力的になります。

トルコ共和国の政策金利は、2018年3月時点で8%もあります。
日本の政策金利が0.1%になるので、単純に円を売ってトルコリラを持つだけで7.9%もの金利収入を得られることになります。

つまり、手数料は考慮せずに単純計算すると、100万円分のトルコリラを保有しているだけで年間7万9000円、1,000万円であれば79万円もの金利収入が得られることになります。

これを10年間運用したとすると100万円で79万円、1,000万円だとなんと790万円もの金利を得られます。
これはすごいですよね。

【トルコリラの投資法】

トルコリラでの投資でおすすめは以下になります。

・FXでのスワップ金利運用
・トルコリラ債券
・投資信託の通貨コースでトルコリラを選択する

上から順番に、さらに詳しくご説明させて頂きます。

FXでのスワップ金利運用

FX業者の口座があれば、すぐにでも始められます。FX取引は「外国為替証拠金取引」と呼ばれるもので、一定の証拠金を担保としてFX業者に預けると自己資金の最大25倍もの金額を取引することができます。

これを「てこの原理」になぞえて「レバレッジ」と呼びます。
レバレッジを利用すると4万円の取引で最大100万円、100万円で2500万円もの金額をトレードすることができます。

FXのスワップ金利運用とは

FX取引は、異なる2つの国の通貨ペアを為替レートに則って両替することで為替差益を得る投資法です。

その他に、「スワップポイント」と言われる金利収入も得ることができます。2国(2通貨)の金利差を利用するというものです。

例えば、トルコリラと円ペアでは7.9%の金利差があるとします。
先ほどご説明したように円を売って、トルコリラを買うと差額の7.9%の金利収入があります。

これにレバレッジを活用して、少ない自己資金で大きな金利収入を安定的に得ることができます。100万円の自己資金をレバレッジ3倍にしてトルコリラを買った場合、300万円分の金利が得られます。

つまり、7.9×3=23.7万円のスワップ金利になり、単純計算して年利23.7%で運用していることになります。

100万円で年間23.7万円の収益になり、非常に投資効率が良いといえます。

スワップ取引での注意点

買いと売り取引を間違わないようにしましょう。

仮に円を買って、トルコリラを売ってしまうと7.9%の金利を支払うことになり、資金が目減りしてしまいます。相場が急変した場合は「強制決済(ロスカット)」を施行されてしまうことがあるので、レバレッジは低く設定しておくと良いでしょう。

トルコリラ債券

トルコリラ債券「FXでリスクは取りたくないが、トルコリラの高金利は利用したい」という人にはトルコ国債での運用をおすすめします。トルコ国債はトルコ共和国が発行する国債になります。

利率は8.5%~10.6%になっていて、他の国の債券に比べて非常に利率が高くなっています。現在発行されているトルコ国債を紹介していきます。

【トルコ国債】

銘柄 トルコ国債2022満期 トルコ国債2026年満期
発行体 トルコ共和国
信用格付け Moody’s Ba2*
S&P BB+*
償還日 2022年9月14日 2026年2月11日
利率 8.5%トルコリラ建 10.6%トルコリラ建
*Ba2投機的債券に分類され信用リスクがあると見なされている
*BB+投機的債券と見なされBB+は投機的要素は少ない


このようにトルコ国債を保有することで金利収入を得ることもできます。この2銘柄はどちらも10年債になっています。

債券は元本が満期には戻ってくるため、株式やFX取引よりもローリスクで堅実に資産運用を行うことができます。

兼業トレーダーなど、日中仕事をしている会社員などでも気軽に始めることができます。

トルコリラ債券の注意点

トルコリラは流通量が米ドルやユーロなどに比べて少なく、マイナー通貨に分類されるため、為替手数料が高く設定されています。為替手数料は金融機関によって差があるため、なるべく手数料の低い業者を選ぶと良いでしょう。

債券には5つのリスクもあります。

・価格変動のリスク
・為替リスク
・信用リスク
・カントリーリスク
・流動性リスク

債券の価格は日々変動します。途中で売却する際には差損を被ったり、既発債の場合は高値で購入する恐れがあるため、満期まで保有すると償還差損が出てしまうこともあります。

「為替リスク」は、購入したときの為替レートよりも売却や償還の換金時のときに円高に振れていると為替差損が発生します。

逆に、円安に傾いている場合に換金すると為替差益を得ることができます。

「信用リスク」は発行体が破綻や倒産、財政難に陥った時に途中償還や支払いの遅れ、不払いなどが起こるリスクになります。この債券の場合は、トルコ共和国の格付けで確認を定期的に行なうことが大切です。

トルコ共和国の政治や社会的情勢によってはトルコ国債が売却できなかったり、途中で償還されてしまうことがあります。

これを「カントリーリスク」をいいます。
最後は、債券を売りたくても買い手が付かない場合売却できなかったり、購入したくても売り手が見つからないために購入できない「流動性リスク」になります。

特にトルコ国債などのマイナーな国債では、この流動性リスクには注意が必要です。

投資信託の通貨コースでトルコリラを選択する

最後は、一番気軽に始められる投資になります。これは通貨コースが設定されている投資信託を購入して、トルコリラコースを選択するというものです。毎月分配型の投資信託では、この通貨コースが設定されている場合が多くあります。

ブラジルレアルや豪ドル、NZドルや円、トルコリラなどが設定されていて、円以外の国は高金利通貨を用いています。
これは投資信託でも高金利を利用して利益をあげるためです。

通貨ペアコースでは通貨によって運用成績がことなります。
特に毎月分配型では月々の分配金(1万口当たり)が通貨コースによって差があります。

例えば、三菱UFJ国際投信の米国ハイ・イールド債(トルコリラ)では1万口あたり70円の分配金を出しています。

現在、基準価格が3687円になっているので、1万円分で200円ほどを月々もらえることになります。

これが同じ銘柄でも米ドルコースになると、1万口あたり80円になります。
基準価格が8,500円ほどになるので、1万円の投資でも100円程の分配金になるというわけです。

このトルコリラと米ドルコースの分配金の差は、2か国の金利の差になります。トルコリラコースでは8%の金利の恩恵が受けられますが、米国は1.75%になっています。

この差が分配金にあらわれることになります。

ただし、トルコリラはまだまだマイナー通貨で、国の経済も先進国に比べて安定はしていません。そのため、経済状況が悪化した場合の値下がりは大きいものになります。

いかがでしたか。この記事が皆様の一助になれば幸いです。

著者:hironohikari

元大手証券会社で資産運用コンサルティングとして働いていました。現在は投資家兼金融ライターとして活動しています、皆様のお役に立てる記事を配信していきたいと思います。

関連記事