ローリスクでハイリターン?株式と債券を組み合わせた転換社債とは

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株式投資は「ハイリスク・ハイリターン」、債券投資は「ローリスク・ローリターン」と言われています。

それらの長所だけをとって、「リスクは少なく、リターンを大きく得られる投資法だ」と言われているのが、「転換社債」になります。

 

「転換社債」とは、簡単に言えば「株式」と「債券」を組合わせた証券です。

証券会社で口座を開設すれば、初心者でも簡単に購入することができます。

 

今回は、「株式と債券を組み合わせた転換社債とは?」についてご説明します。

 

目次

 

1.転換社債とは

転換社債とは「転換社債型新株予約権付社債」の略になります。

発行時にあらかじめ一定の条件が設定されていて、その条件をもとに株式に転換できる社債になります。

 

転換社債では、以下のようなメリットがあります。

  • ・株式に転換できるため、通常の社債の利率よりも低めに設定されている
  • ・債券としての価値があるため、価格が通常株価に比べて値崩れしにくい
  • ・通常の債券と同様に経過利息などを得ることができる。

 

転換社債は「債券」になるため、発行の際に以下の条件が決められます。 

【発行の際に設定されている条件】

  • ・額面金額
  • ・利率
  • ・転換価格
  • ・転換株数
  • ・転換請求機関
  • ・利息の支払い日

 

▼額面金額 

転換社債の額面金額は通常10万円、50万円、100万円の3種類があり、日本国内の転換社債の銘柄のほとんどが100万円に設定されています

新規発行の転換社債を購入したい場合は、最低でも100万円以上の自己資金が必要になります。

 

▼利率

株式に転換できる権利がついているため、通常の社債よりも利率は低めに設定されています。

 

▼転換価格

転換価格とは、転換社債を株式に転換する場合に、1株当たりいくらの社債の金額が必要になるかを示すものです。

 

▼転換株数

転換株数は、転換社債を株式に転換した場合にもらえる株数のことです。

額面総額を転換価格で割って計算します。

例えば、転換価格が1,000円で額面金額が100万円の転換社債を株式に転換すると、1,000株もらえることになります。

 

▼転換請求期間

株式に転換することを請求できる期間になります。

通常は、転換社債の発行日の翌月初めごろから償還日の前日まで請求することができます。

 

▼利息の支払い日

転換社債の利息も通常の債券と同様に、あらかじめ決められた日に支払われることになります。

 

2.転換社債の評価額 

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転換社債の価値は、「パリティ」で見ることができます。

パリティとは、株価と転換価格から生まれる額面100円あたりの理論価格になります。

株価÷転換価格×100で計算することができます。

 

例えば、株価が1,200円で転換社債の転換価格が1,000円であるとすると、パリティは120円になります。

これは現在の株価から見てみると、転換社債は120円が妥当であるということを表します。

 

他の例を挙げると、転換価格が1,000円のA社の転換社債を100万円分保有しているとします。

転換請求期間内であれば、1,000株のA社株に転換することができます。

仮に、A社の株価が転換価格と同じ1株=1,000円であれば、100万円が売却金額となります。

 

ただし、市場での株価が1,100円のように転換価格よりも高い場合などは、市場での株価と転換価格が異なります。

そのため、パリティを用いて理論価格を算出する必要があります。 

 

▼パリティ乖離

「パリティ乖離」とは、転換社債の時価とパリティがどれくらいの差があるのかを見るものです。

(転換社債の時価-パリティ)÷パリティ×100で表します。

 

例えば、転換社債の時価が120円でパリティが110円である転換社債のパリティ乖離率は、(120-110)÷110×100=9.090…%になります。

 

一般的に、パリティ乖離が大きいほど株価との連動率が低く、パリティ乖離が小さいほど株価との連動率が高くなります。

 

3.転換社債のメリット・デメリット

転換社債のメリットとデメリットについて見てみましょう。

 

▼メリット

  • ・債券の一種だが、株価が上昇傾向になった場合には株に変換できる
  • ・経過利息が受け取れる
  • ・債券としての価値があるため、相場が急変しても株価ほど値下がりしにくい
  • ・償還まで保有すると額面金額が戻ってくる
  • ・償還差益を得られるケースもある

 

▼デメリット

  • ・通常の普通社債に比べて、金利が低く設定されている
  • ・急な株価高騰の場合でも、直ぐに売買することができない
  • ・最低購入価格が50万円や100万円からと高額である
  • ・償還差損を被るケースもある
  • ・発行する企業が倒産した場合、資金が返金されないリスクがある

 

転換社債の最大のメリットは、「株に転換できるため、株価が急騰した場合は売買差益を得られること」と、「株価が急落した場合でも、債券としての価値があるので急激な値崩れを起こさないこと」になります。

 

ローリスクで堅実に資産運用を行いたい方に向いている投資法と言えます。

 

4.転換社債の税金

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転換社債に関する課税は、「①利息に対する税金②売却益に対する税金③償還差益に関する税金」の3つの種類があります。

 

①利息に対する税金

銀行の預貯金と同じように、利息に対してはその都度20.315%の源泉分離課税されます

また、マル優を受けることもできます。

 

申告分離課税を選択した場合は、株式などの譲渡損失と損益通算することができるため、繰越控除の対象になることもできます

 

②売却益・償還差益に対する税金

年間通算の転換社債の売却益については、原則翌年に確定申告を行うことになります。 

 

源泉徴収ありの特定口座で、上場株式に該当する転換社債を売却した場合は、その1年間の株式などの譲渡損益を損益通算して、利益に対して一律20.315%の税金が源泉徴収されます

そのため、確定申告は不要になります。

 

償還差益に関しても、利益は譲渡所得とみなされ、申告分離課税で20.315%課税されることになります。

 

5.転換社債が向いている人

転換社債が向いている人の特徴を挙げてみました。 

  • ・投資の初心者
  • ・まとまった投資資金がある人
  • ・株式投資よりはリスクが小さい資産運用をしたい人
  • ・株式と債券のメリットだけを享受したい人
  • ・投資期間を中期から長期を予定している人
  • ・投資の機会を逃したくない人

 

まとまった資金をある程度リスクを減らしながら運用したい人や、株式の上昇局面で直ぐに利益を確定したい人などもあてはまります。

 

転換社債は、債券と株式に興味のある人が向いている金融商品だといえます。

 

6.おすすめの転換社債銘柄

おすすめの転換社債銘柄を紹介します。

 

▼朝日印刷株式会社

朝日印刷株式会社は東証2部に上場している会社になります。

印刷や包装資材の製造や販売をメインにしている会社で、本社は富山県にあります。

 

朝日印刷の転換社債は利率が0.1%も付いていることと、転換社債の価格が安いことにあります。パリティも101.23%と低く、株価と連動性が高くなっています。

 

朝日印刷では、主に医療品のパッケージやラベル、ドラックストアなどで扱われているOTC衣料品のパッケージを担当しているため、今後も安定した業績を上げられると思われます。

 

堅実に利金を得ながら、運用したい人におすすめの銘柄になります。

 

▼みちのく銀行

みちのく銀行とは、本店を青森県に置いている銀行になります。

東証に上場していて、設立は大正10年(1921年)と老舗の銀行になります。

 

このみちのく銀行の転換社債の魅力は価格にあります。

2018年3月30日現在の価格は98.50と100以下になっています。 

つまり、償還まで債券のまま保有すると、償還差益を得ることができると言うわけです。

 

株価は1739.0円で転換価格が2,072円となっているため、若干の差があります。

乖離率は16.76%でパリティは83.93となっています。

 

▼昭和産業

小麦粉や植物油などの加工品の製造販売を行っている企業で、本社は東京にあります。

従業員は、連結で2,103人の東証1部上場企業になります。

家庭用商品、業務用商品の食料品を製造販売しているため、今後も安定した運営が期待されます。 

 

ガーデンベーカリーやセントラル製粉株式会社の株を取得し、積極的に事業を展開しています。

株価上昇も見込まれるため、株価に連動して転換社債の価格の高騰も期待できます

 

2018年3月30日現在の価格は104.75円です。

今後も価格が上昇すれば、償還差益や株の譲渡益なども期待できます。

 

7.転換社債の注意点

転換社債の注意点では、売買が成立すると受渡は約定日から起算して4営業日目に行なわれます。

 

約定金額に対して、手数料や手数料に対する税金も発生します。

既発の転換社債を購入する場合は、買い手は売り手に「経過利息」というあらかじめ売り手が保有していた日数分の利息を支払わなければなりません

 

転換社債の価格は、株価や金利の変動と同じように変動しますので、損失のリスクがあります。

 

また、株式への転換請求期間が過ぎれば転換できなくなるので、注意が必要です。

 

いかがでしたか。

この記事が皆様の一助になれば幸いです。

著者:hironohikari

元大手証券会社で資産運用コンサルティングとして働いていました。現在は投資家兼金融ライターとして活動しています、皆様のお役に立てる記事を配信していきたいと思います。

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