為替レートは予測できる!?相場を動かす人物は誰なのか

FX取引、外貨預金、外国株式、外国債券、金、外国投資信託など、外貨を利用する投資は為替レートの影響を大きく受けます。
為替レートの動きによって莫大な利益を得たり、もしくは損失を出したりもします。
為替レートが変動する要因は需要と供給、世界経済の動きなどさまざまです。
要人の発言によって、為替相場が大きく動くケースもあります。

そこで今回は、為替レートに影響を与える人物について説明します。

目次

1.為替レートとは?

為替レートとは、外国為替市場で行われる異なる2つの通貨が交換される際の交換比率のことになります。
分かりやすく説明すると、「1ドル=100円」などと呼ばれるのがこれに該当します。

為替相場は24時間365日動いています。
通貨の取引には通貨の「買手」と「売手」が存在しており、為替レートはこの買手と売手によって決められます。
買手が多い場合はその通貨の価値は高くなり、売り手多い場合は価値は下落します。
「為替レートは2通貨間の力関係を表している」と言われ、その通貨が強ければ通貨高、弱ければ通貨安になります。
通貨の力は主に5つの要因で決まるとされていて、最も影響が大きいと考えられているのが「金利」になります。

金利と為替レート

一般的に、金利が高い通貨や金利を上げる発表を行った国の通貨は価格が上昇します。

わかりやすく説明しましょう。
A通貨とB通貨の2つの通貨を軸に考えていきます。
A国の金利が10%で、B国の金利が1%とします。
A国とB国の金利差は9%になるということになります。
為替レートを利用した投資で考えた場合、B国の通貨を売ってA国の通貨を買うと差額の9%の金利を得られることになります。
A国の通貨を1000万円保有している場合は1年後には1,100万円になり、B国の通貨を1,000万円保有しているとわずか1,010万円にしかなりません。
つまり、どちらの通貨を保有しているかで90万円もの差がでることになります。
当然ですが、A国とB国の通貨ではA国の通貨を保有したい人が増えますよね。
したがって、AとB間の為替レートはA通貨高B通貨安に傾くことになります。
金利のほかに挙げられる要因は、景気の動向、貿易収支、政策金利、国債の利回り政治、社会体制、天災や戦争などがあります。

2.為替レートと投資

為替レートと投資の関係は密接していて、特に外貨投資では非常に重要になってきます。
外貨投資と言えば、FX(外国為替証拠金取引)や外貨預金、外貨MMFや外国債券などがあります。
FXは証拠金を担保として預けると、最大で25倍ものレバレッジをかけることができます。
自己資金が100万円の場合であれば、最大2,500万円もの取引ができるというわけです。
ドル=円ペアで取引を行うと仮定します。
「1ドル=100円」だとすると、100万円で25万ドル購入することができます。
25万ドルの取引を行うと1円の動きで25万円損か得することになります。
このように、為替レートの変動は投資に大きな影響を与えることになります。

外貨預金に関しても、同様のことが言えるでしょう。
「1ドル=100円」のときに1万ドル分=100万円を外貨預金に変えるとします。
外貨を換金する時の為替が「1ドル=110円」の円安になった場合、100万円が110万円になるので、10万円の利益になります。
反対に「1ドル=90円」の10円円高になった場合、100万円が90万円に減るので、10万円の損失になります。
このように、外貨建ての金融商品で資産運用を行う場合は為替レートが非常に重要になってきます。

3.為替レートに影響を与える人物とは?

為替レートが各国の金利や経済や社会情勢などによって変化することは、先ほど説明しました。
実は、要人の発言によっても相場が大きく変動することがあります。
要人とはさまざまな人を指しますが、為替レートにとっての要人とは「中央銀行の関係者」にあたります。
為替レートは、要人たちの金利や景気の発言に対して敏感に反応します。
特に今後の経済の展望や政策金利に対しての発言は、瞬時に為替レートに影響を与えることになります。
影響を与える発言は正式に発表されることに対してもそうですが、何げない一言などでもレート変動は起こりえます。
実際に為替レートに影響を与える人物とは、一体誰なのでしょうか。

【為替レートに大きな影響を与える要人】

  • ・FRB議長
  • ・ECB総裁
  • ・日本銀行総裁
  • ・BOE総裁
  • ・財務大臣

FRB議長

FRBとは「The Federal Bord」の略で、アメリカの中央銀行の最高意思決定機関になります。
日本語では連邦準備理事会とも呼ばれており、7人の理事で構成されています。
この理事のトップがFRB議長になります。
このFRBの動きは世界経済や為替市場に大きな影響を与え、特にFRB議長の発言には大きな注目が集まります。
現在のFRB議長は2018年2月にジェーローム・パウエル氏が就任しました。
元銀行家で弁護士の経歴を持ち、米国のトランプ大統領に指名を受けた人物になります。

ECB総裁

ECBとは「European Central Bank」の略で、欧州中央銀行のことになります。
ECBの役員会は総裁をはじめ計6人で構成されていて、現総裁はイタリア中央銀行総裁であったマリオ・ドラギ氏が就任しています。
ECBは役員会と政策理事会、一般理事会の3つにわかれていて、政策理事会が金融政策を決定するECBの最高意思決定機関になります。
役員会は政策理事で決定された金融政策を実施するためにユーロ圏の中央銀行に指示を出す役割を担っています。

日本銀行総裁

円を軸ペアで取引する場合、日本銀行総裁の発言にも注意が必要です。
現在の日本銀行総裁は黒田東彦氏ですが、過去に異次元緩和を発表した際には、1日で数円~10円ほど為替レートに大きな影響を与えました。

日本銀行では金融政策の決定や実行を行います。
特に政策委員会が開く金融政策決定会合後の発言は為替レートに大きな影響を与えます。

BOE総裁

BOEとは「Bank of England」のことで、イギリスの中央銀行のことになります。
BOEは英国の経済政策支援のサポート役になっています。
政策金利の決定などはMPC(金融政策委員会)が行っていて、ポンドのレートに大きな影響を与えます。
ユーロを離脱した英国ポンドの動きを見るためには、BOEの発表に注目する必要があります。
現在のBOE総裁はマーク・カーニー氏でFSB議長(金融安定理事会)でもあり、以前はカナダ銀行の総裁も務めていました。
ゴールドマン・サックスに勤務経験もあり、BOE初の外国人総裁として期待されています。
上記の要人以外にも、各国の財務大臣や財務長官などの発言でも為替レートが動く場合もあります。

要人の発言注意項目

要人の発言でも、為替レートが動きやすい項目があります。
それは、インフレや為替介入などに関する発言です。
消費者物価指数や米国のPCE、EUのHICPには特に要注意で、インフレ率が2%以下になった場合は金融政策を打ち出してくる可能性があります。
日本では物価目標は2%、アメリカやユーロも2%を目標にしているので、2%以下になった場合は金融緩和が行われる可能性が大きくなります。
「為替介入」とは、日本銀行や中央銀行などが為替市場に介入することです。
ほとんどが事前発表されないため、「覆面介入」とも言われています。
2011年では日銀が円高対策として、10兆円もの円売りをドル買いを行ったこともあります。

4.為替レートに影響するは指標

人物以外にも為替レートに影響を及ぼすものがあります。
それは、経済指標になります。
米国の経済指標には世界中が注目しています。

【為替レートに大きな影響を及ぼす指標分類】

  • ・雇用
  • ・政策金利
  • ・物価
  • ・貿易
  • ・景気

上記に関する経済指標がでたら、為替レートが大きく動く可能性があります。
米国の経済指標の発表が重要視されていて、雇用とは米国の非農業部門雇用者数(NFP)や失業率、雇用統計や景況指数などがこれにあたります。
政策金利では米FOMC政策金利、GDP成長率の発表などでもレートは変化します。
これらの経済発表では結果の数字の大きさも関係していますが、「どれだけ予想値と発表値の差があるか」によって為替レートの変動の大きさが異なってきます。

予想とあまりにも大きく離れた数値の場合は為替レートは大きく変動しますが、予想通りの数値などではあまり変動はありません。
FX取引などで経済指標での為替レートの変動を利用して利益を上げたい場合、予想と反対の動きになることも考慮して、あらかじめ損切注文を入れておくと良いでしょう。

【重要経済指標例】

  • ・米国雇用統計
  • ・GDP発表
  • ・消費者物価指数
  • ・失業率
  • ・ISM製造景況指数
  • ・ADP雇用統計
  • ・新築住宅販売件数
  • ・景気先行指数など

発表の数字が予測よりも良いことを「ポジティブサプライズ」と呼び、その国の通貨は買われる傾向になります。
予測より悪い場合は「ネガティブサプライズ」として通貨が売られる傾向にあります。

5.短期・長期投資で為替レートを予測するには

為替レートを利用する外貨建ての投資で資産運用を行う場合、長期投資なのか短期投資なのかによって、為替レートの予測の立て方を変える方が良いです。
要人発言や経済指標、ニュースや新聞などから予測を立てることを「ファンダメンタルズ分析」と言います。
逆に、チャートなどから分析する方法を「テクニカル分析」や「チャート分析」と言い、短期売買の際に役に立つ分析方法になります。

ファンダメンタルズ分析は長期投資に有効になるため、外国債券や外貨預金、FXでのスワップポイント狙いなど、外貨投資の長期運用に向いています。
テクニカル分析やチャート分析などは、外国株式やFXなど、売買を短期で繰り返して利益を上げる投資向きだと言えます。

為替レートを動かす意外なもの

実は為替レートを動かすものに天災やテロ、戦争なども挙げられます。
これを、「地政学リスク」と言います。
このようなリスクが発生した場合は、リスクを取るのをやめて自国の通貨に換金したり、「安全資産」と呼ばれるものに乗り換えされたりします。
2014年のウクライナとロシアでの紛争では、世界的にリスクを取らない動きが起こり、1日で円=ドルペアの為替レートが2円近くも円高に動いたこともあります。
このように予期せぬ事態が起こると、リスクオフの動きが強まり、スイスフランや円などの「安全資産」と呼ばれる通貨に買いが殺到することもあります。

いかがでしたか。
この記事が皆様の一助になれば幸いです。

著者:hironohikari

前職では大手証券会社のコンサルティング業務に携わり、現在は金融ライター兼トレーダーとして活動しています。皆様のお役に立てる情報を発信していきたいと思います。