携帯電話会社ソフトバンクがIPO準備に!2018年の注目大型IPO

2018年2月7日、ソフトバンクグループ(9984)が、携帯電話会社となる子会社のソフトバンクを東京証券取引所に上場する方針を固めた、というニュースが入ってきました。

現在ソフトバンクグループ(9984)は準備会社を設立して、上場の為の様々な検証等を行い、取引所への上場審査の準備を始めた段階ですが、仮に上場審査に通過して上場が実現すれば、2018年注目の大型IPOになる事は間違いありません。

この子会社ソフトバンクの上場、ソフトバンクグループ(9984)の今後の株価を動かす事態になりそうです。

ソフトバンクグループ(9984)は何を狙って携帯電話会社ソフトバンクを上場させるのか、今後の株価の見通しについて解説します。

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1.そもそもソフトバンクグループ(9984)がソフトバンクを上場するってどういう事?

ソフトバンクグループ(9984)がソフトバンクを上場させると聞いても、普段ソフトバンクは携帯電話会社と思っているユーザーにはピンと来ないかもしれません。

普段ソフトバンクと聞くと携帯電話会社のソフトバンクを思い浮かべてしまいますが、ソフトバンクグループ(9984)は携帯電話会社ではありません。

携帯電話事業はほんの一部で、ソフトバンクグループ(9984)は多くのグループ企業を傘下に持つ投資会社になります。

ソフトバンクグループ(9984)には米国での通信事業を手がけるソフトバンクグループインターナショナル、日本国内で通信事業を手がけるソフトバンク株式会社、インターネット事業を手がけるヤフー株式会社、子会社ではないものの関連会社としてアリババ・グループ・ホールディングスと、数多くの企業への出資を行っています。

 

今回のソフトバンクグループ(9984)は、99.9%の株式を保持している子会社ソフトバンクの株式を売却して、投資家からお金を集める戦略をたてている事になります。

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2.何故子会社を上場させるの?

資金調達を行うためには、デッドファイナンスとエクイティファイナンスの2つがあります。

デッドファイナンスとは金融機関からの借入や社債を発行して、投資家から資金を借り入れる、いわゆる借金による資金調達を行う方法です。

借金ですから当然期限が来た場合は返済を行う必要があります。

エクイティファイナンスとはデットファイナンスとは違い、自社の株や関連会社の株式を売却や発行して資金調達を行う事を言います。

エクイティファイナンスで調達した資金は返済する必要はありませんので、返済期限の定めのない資金調達になり、財務基盤の改善が見込まれます。

ただしエクイティファイナンスを行うと、既存の投資家にとっては1株当たりの価値の希薄化に繋がるため、一概にエクイティファイナンスの方が優れているとは言えません

 

ソフトバンクグループ(9984)はこれまでの歴史上、1株当たりの利益成長率を高くすることを目標にしていたので、希薄化が起こるエクイティファイナンスよりデットファイナンスを好んでいました。

そんなソフトバンクグループ(9984)が今回何故、エクイティファイナンスによる資金調達をし始めたのでしょうか。

これは、ソフトバンクグループ(9984)はイスラム圏への投資を目的としたソフトバンク・ビジョン・ファンドに絡んだ非流動負債が増加(2017年度第3四半期は前の期に比べて2.3兆円増)しており、更なるデッドファイナンスでの資金調達は行わない方がいいという判断に至ったためだと思われます。

デットファイナンスが大きくなり過ぎ、ソフトバンクグループ(9984)の社債格下げなどの事態に陥ると、全体の資金調達コストが上昇する悪循環に陥ります。

今回は方針を変えて、子会社となる携帯電話会社の株式を売却することにより、新たな投資元本を確保していく方針をとったのだと思われます。 

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3.上場すれば時価総額10兆円も?!親会社より高くなる!!

ソフトバンクグループ(9984)は携帯電話会社ソフトバンクの上場によって、支配株の2~3割程度を売却することになり、2~3兆円程の資金を確保する目論見があると報道されています。

さらっと報道されていますが、もしこれが成功した場合について考えてみましょう。

支配株の2~3割程度を売却して2~3兆円の資金を調達するという事は、携帯電話会社ソフトバンクの時価総額は10兆円と見積もっている計算になります。

同じ携帯電話会社の最大手となるNTTドコモの時価総額は10.7兆円ですから、それに匹敵するような携帯電話上場会社の誕生になることは勿論ですが、それより注目ししたいのは親会社となるソフトバンクグループ(9984)の時価総額です。

親会社ソフトバンクグループ(9984)の時価総額は2017年2月27日現在、NTTドコモと同じ約10.7兆円で推移しています。

仮に携帯電話会社ソフトバンクが10兆円の時価総額になった場合、ソフトバンクグループ(9984)には売らなかった分の子会社ソフトバンク株が7兆~8兆円残っていることになります。

いうならば、ソフトバンクグループ(9984)の資産の中に、大きな含み益を持つ資産が誕生するわけです。

この資産の含み益はPL/BSから除外されて表示されますが、7兆円~8兆円の資産を持っていて、更に海外の優良企業の株式を多数支配している企業の時価総額が10兆円ですむわけがないという思惑が発生する可能性は十分にあります。

子会社ソフトバンクが上場後に投機的な動きになり大幅上昇を続けると、親会社となるソフトバンクグループ(9984)の株価も引きずられるように上昇していく相場になってもおかしくはないのです。

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4.子会社上場によるマイナスの影響

携帯電話会社ソフトバンクが上場した場合、ソフトバンクグループ(9984)にはプラスの影響以外与えないのかというと、そんなことはありません。

保有株式の2~3割を売却するという事は、ソフトバンクグループ(9984)が受け取っていた携帯電話会社ソフトバンクの利益も2~3割減少してしまうからです。

株価は資産によっても価格決定されますが、株価を形成する要因として高いのは利益です。

ソフトバンクグループ(9984)は子会社ソフトバンクを一部売却する代わりに、それに伴う利益の減少を新たな投資によって補う必要があります。

いうならば、子会社の上場による資産価値の増加と、優良子会社株売却による収益性の減少の綱引き状態になる訳です。

今回のIPO資金を原資として、海外のIT会社の買収を行うと言っていますが、携帯電話事業以上に稼げる投資媒体は、世界のどこにも簡単に転がっていないかもしれません

それでも投資上手なソフトバンクグループ(9984)ですから、投資家がアッと驚くような投資物件を見つけてマイナス要因を杞憂に終わらせてしまうかもしれません。 

 

5.携帯電話会社ソフトバンク上場は2018年に注目のイベント

ソフトバンクグループ(9984)の上場話はまだ確定したわけではありませんが、現在は準備会社を作って着々と準備を進めている段階です。

ソフトバンクグループ(9984))の目論見通りの金額でIPOが成功するかはまだまだわかりませんが、IPOは元々少し高めに値段がプライシングされることが多く、孫正義社長への投資家の期待も大きいので期待できるといえます。

IPO後は投資上手のソフトバンクグループ(9984)のことですから、子会社の株式を分割しながら株価の成長を促していくでしょう。

何にせよ、携帯電話会社ソフトバンクのIPOは2018年注目するべきイベントで今後も進捗を見守っておいた方がいいでしょう。 

 

まとめ

・ソフトバンクグループ(9984)が子会社の携帯電話会社ソフトバンクの上場を検討

・発行済み株式数2~3割で2~3兆円の資金調達を計画中

・成功した場合、10兆円の企業が誕生

・子会社の時価総額が10兆円を超える事により、親会社の時価総額にも波及する可能性が高い

・携帯電話会社ソフトバンクの上場は2018年最も注目すべきイベントの1つ

著者:先ず隗より始めよ

現役金融マン。証券アナリストの資格あり。ちょっとマニアックな金融知識やニュースをわかりやすく書いていきます。