確定申告前にチェック!株式の売却益の税金を安くする方法。

 

 

2017年が終わり、2018年になりました。
昨年の日経平均株価は2万3千円近くで終わり、ホクホクで新年を迎えた投資家も多いのではないでしょうか。
今年の株式の売却益や配当金には当然税金がかかってきます。
配当金に対しての税金について良く理解していないと、余分な税金を払う羽目になり損をしてしまうかもしれません。

 

ここでは株式の配当金が節税できるケースと方法について解説します。

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1.株式で損を出したが配当金を貰っている場合

 

 

 


株の配当金を受け取る時、配当金計算書を確認すると配当金額の20.315%を引かれた状態になっていることに気づくと思います。
これは配当金は信託銀行側で源泉徴収を行って振り込むような法律がある為、このように既に税金が差し引かれた状態で投資家の手元に届きます。
もし仮に通年を通して株式の譲渡損失が出ているのなら、確定申告を行い申告分離課税で譲渡損失と通算することによって税金を取り戻す事が出来ます。

申告分離課税とはどのような制度かと言うと、『他の所得と合算しないで税額を計算し、確定申告により納付する税』のことをいいます。
配当金は既に源泉徴収されているので確定申告を行う義務はありませんが、譲渡損失があるならば、確定申告を行うことによって源泉徴収された配当金の税金を取り戻すことが可能です。10万円の配当金を貰っていたなら、約2万円が戻って来ますから決して小さい額ではないはずです。

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2.売却損が無い場合

 

 


今年は儲かってばかりで、都合よく売却損が出ていない場合は作戦を変えて、総合課税を選択することによって税金が取り戻せないか計算して見ましょう。
総合課税とは申告分離課税とは違って、『納税義務者の各種の所得を一つに合算して課税すること』をいいます。
あなたが収入300万円の会社員で10万円の配当金が上場企業から支払われたのであれば、給与収入に配当収入を加えたトータル310万円をあなたの収入として申告します。

総合課税を選択することにより、どうして配当金でとられた税金を取り戻せるのでしょうか。

答えは税率に変化を及ぼす為です。
配当金が源泉徴収された場合、源泉徴収の税率は高収入の人も、そうでない人も一律20.315%で変わりません。

しかし確定申告を行い、総合課税を選択すると税率は累進課税方式が適用されますので下図のような税率に変わります。


課税される所得金額(平成27年以降)

 所得 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円

 



年収が400万円位の人の課税所得は他の控除を無視しても266万円ですから、税率はおよそ10%のステージが適用されます。

源泉徴収されたままにしておく場合や申告分離課税を選択した場合の税率20.315%よりも、総合課税を選択した方が大きく税率を下げる事が可能と見て取れると思います。

総合課税を選択する事により住民税率にも影響を及ぼしてきますが、住民税率には基礎控除が適用されますので、実質税率は殆どの人が総合課税を選択したほうが低くなります。

基礎控除を考慮して総合課税を選択した時の配当金の実質税率(所得税と住民税に配当控除を加味した税率)は、

課税所得330万円以下の人は7.2%
課税所得330万円超〜695万円以下の人は17.2%
課税所得695万円超~900万円以下の人は20.2%
課税所得900万円超~1000万円以下の人は30.2%
(※平成27度の税制で計算)
になります。

上記の金額は収入ではなく課税所得になりますから、その他の控除の状況にもよりますが課税所得が695万円(収入だとおおよそ905万位)より少ない人は節税のチャンスが出てきます
特に課税所得が330万円以下(収入だとおおよそ497万円位)の人は、源泉徴収された場合と比べ約13%違うのですから、もっと大きな還付金を取り戻すことが出来るでしょう。
逆に課税所得が695万円超の人は節税効果は無く、課税所得が900万円を超える人はもっと税金をとられてしまい総合課税を選択するメリットはありませんので源泉徴収のままにしておくか、申告分離課税を選択するといいでしょう。

(売却益は総合課税には出来ません。)

総合課税を選択する際の注意点として確認が必要なのは配当金を収入に加えてしまうため、見た目が高収入になってしまう点です。
年収が低い為に国からの補助(医療補助等)や子供の保育園の振り分けが優先的に行われている人は、総合課税を選択して配当金が収入に加えられることにより補助を打ち切られたりする可能性がありますので確認しつつ、自身にメリットのある確定申告を行うといいでしょう。

 

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3.損失が繰り越せる

 

 


今年、残念な事に損失を出して、配当金も貰えていないから節税出来ないという人もいるかもしれませんが、証券税制では3年間の繰越損失の計上を認められていますので確定申告を行う事によって損失の繰り越しを行えます。
去年20万円の損失を出し今年20万円の利益を出した場合、今年出た利益に対して税金がかかってきてしまいますが、去年分の損失を確定申告しておけば損失が繰り越され、税金がかからなくなります。
最長で3年間繰越しを行う事が可能ですから、もし今年また利益が出なく損失が出たとしても、来年に向けて再び繰越を行えばいいのです。
損失の繰り越しは大きな節税効果をもたらしますので、面倒くさがらずに必ず行うようにして下さい。



4.NISA口座では節税できない

 

 


税金のかからないNISA口座で売買していて、損失が出たので損益通算できないか考えている人はいないでしょうか。
残念な事にNISAで貰った配当金、NISAで出した譲渡損失(譲渡益)は通常口座で出した損益と通算できません。

例えば、NISA口座で100万円の損失、通常口座では100万円の利益が出た場合、通常口座の利益に対してだけ約2割の税金がかかります。
NISA口座は利益が出ても、配当金が出ても一切無税になりますが、反対に節税などの特別な恩恵を一切受ける事が出来ないのです。
NISA口座は将来の年金を自分で運用する事を目的として作られた、長期投資の制度になっている為、損失を計上した時の使い勝手は極めて悪くなる点に気をつけ、投資前にこの投資はNISAの特徴に合っているのかよく考えてから投資するようにして下さい。

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5.確定申告は税務署に行かなくていい

 

 


確定申告を行えば税金が戻りそうというのはわかったけど、税務署まで行って確定申告はやったことないから煩わしいと多くの人は感じていると思います。
確定申告の時期の税務署は混雑が激しく、平日であっても待ち時間で半日~1日は余裕で潰れてしまいます。
有給休暇を使って確定申告に行ってくたびれて、1万円とちょっとしか返ってこないのなら割に合わない気もしますね。
そんな人にも簡単に使えるお得な知識をご紹介します。
実は確定申告は税務署を訪れなくても、郵送で対応してくれるのです
郵送で行う場合は国税庁のホームページに『確定申告書作成コーナー』という確定申告支援フォームがあり申告書が作成できるので利用してみるといいでしょう。
申告書にマイナンバーや確認書を同封して、信書扱いで自分が住んでいる税務署に送れば完了し、あとは2か月程度すれば還付金のお金が指定した銀行口座に振込まれます。
ワザワザ税務署に行く必要性はなく、ストレスフリーで税金の還付を受ける事が可能になりますので、郵送による確定申告を是非利用してみてください。

証券税率は特別税制が平成25年に終了し、大きく上がっています。
税率が上がったことにより、年収が普通の人なら配当金を総合課税として申告すると還付金を取り戻す事が出来る現象が発生していますが、意外に浸透していません。
毎年億劫で行っていなかった確定申告、今年こそはぜひ行ってみてください。

まとめ
・株式の配当金の税制について解説
・譲渡損が出ていたら、申告分離課税で配当金を取り戻せる
・譲渡損がなくても、総合課税を選択すれば年収によっては取り戻せる
・譲渡損失は最大で3年間の繰越が可能
・確定申告は郵送でも可能、来年こそ確定申告をしよう



著者:先ず隗より始めよ

現役金融マン。証券アナリストの資格あり。ちょっとマニアックな金融知識やニュースをわかりやすく書いていきます。