その街の安くて美味しい店は理容室の人に聞けばわかる。約5,000円で楽しむハシゴ酒〜恵比寿編〜


地方へ行き、その場所の美味しいものを探すのが趣味で、このマネ会でもいろいろな街の美味しいものを紹介してきた。そうしているうちに自論だが気付いたことが一つある。

“街の理容室は地元の安くて美味しい店を知っている”

というのも、自分の場合、一人旅をすると時間に余裕ができて髪を切ることが多い。美容室というより、なんとなくほっとできる雰囲気がある“街の理容室”が好きでよく行く。

そんなある日のこと。ふと理容室で「ここらへんで美味しいお店、ありますか?」と聞いてみた。すると教えてもらった店のどれもが、手ごろな値段で美味しいところだった。そういったことが何度かあって、初めて訪れる街では理容室へ行き、髪を切ってもらいながらおすすめの店を聞くようにしている。

その街に根付き商売をしているから詳しいというのもあるだろうし、日々地元客と話すから知ることも多いのだろう。何はともあれ、「理容室の人に聞けばその街の美味しい店がわかる」というのは自分の中で確信に近い。

それは東京でも一緒なのかもしれない、と思った。あの街で聞いたらどんなお店を教えてもらえるのだろう……。そんなことを思いながら、今回は住みたい街として人気が高く、お洒落な店も多い恵比寿へ髪を切りに行って、予算5,000円(食費のみ)ほどで楽しめる安くて美味しい店を聞いてみた。


「恵比寿 理容室」で検索すると数えるほどしか出てこなかったので不安になったが、「ヤマギシ」という老舗のヘアーサロンがあるらしい。ホームページも充実していていい予感がしたので本店へ行くと、満員。そこで「恵比寿ガーデンプレイス」にあるガーデンプレイス店へ行ってみることにした。

そもそもガーデンプレイスに理容室ってあるのだろうか、と思っていたら本当にあった(そりゃそうか)。大都会のオフィスビルの中に赤と青と白のサインポールがあるのはなんだか不思議だ。


無事に入店すると、佐藤さんという方が担当してくれた。丁寧にカットしてもらいながら話は自然と出身地のことに。

佐藤さんは山形の寒河江市(さがえし)の出身だという。自分も仙台に住んでいた時に気に入ってよく山形へ行っていた。「最近は庄内の酒田と鶴岡が好きでよく行くんです」と言うと、温泉や芋煮、肉そばの話で盛り上がった。

山形のグルメ話に花が咲くなか、いよいよ本題に。「恵比寿で安くて好きなお店、ありますか?」と今回の企画の意図を説明しながら、聞いてみた。

「うーーん……」と悩む佐藤さん。すると「一番聞いちゃいけない人に聞いたかな。彼あまり恵比寿探索していないから(笑)」とオーナーの山岸さんがやって来た。では、と山岸さんに聞いてみる。

山岸さん: 恵比寿も意外と下町っぽいところがあって安い店もあるんですよ。そうだなあ……。「たつや」さんとかどうかな? いい意味で激しい焼き鳥屋さん。


……激しい?

山岸さん: たしか朝8時からやっていて、にぎわっているんですよ。皆ホッピーなんかを飲みながら、いい感じ。美味しいお店ですよ。


8時から……すごい。そしてそんな朝から人が集まるなんて美味しいに決まっている気がする。

佐藤さん: そうだ。ラーメンなら「ちょろり」さんが好きです。


と、佐藤さんも急に思い出したのか教えてくれた。醤油と味噌があっていつも悩むのだとか。ちょっと飲みながらラーメンを楽しむことができる店で、「ビール坂」というところにあるという。「たつや」に「ちょろり」さん。よし、焼き鳥の後にラーメンで〆だな。


帰り際に山岸さんからこんなメモをいただいた。ありがたい……。「こづち」も気になるので、次の機会に行ってみよう。


《1軒目》焼き鳥屋「たつや」 2,550円

「たつや」は駅前にあるということで、恵比寿駅まで戻った。1Fと地下で店舗が分かれていて、1Fは満席。皆、常連さんのよう。酒好きの部活みたいで楽しそうだ。でも自分にはまだ早いな……と思いながら地下店へ。こちらはやや早い時間だったせいかまだ余裕があった。


ホッピー(470円)が美味しいと聞いていたので頼んでみることに。ホッピーといえば焼酎の「ナカ」とホッピーの「ソト」が別々に運ばれてきて、というイメージがあったが、このたつやでは混ざった状態できた。

時間は17時。「いただきます」とジョッキを勢いよく傾けて“ごくり”と飲む。あーーうまい。蒸し暑い夏にぴったりで、濃さもちょうどよく水のように飲める。


続いて料理を。一品目に頼んだのが、ガツ刺し。これで380円。最高だな……。ガツとは豚の胃袋で、酸味のあるタレによりさっぱりとした味わいだ。たっぷりかかったネギとの相性も抜群。歯ごたえのあるガツにネギをたくさんのせて、辛子をつけ口の中へ。時間が経つほどにネギにタレが染みてどんどんうまくなる。


串は、まずししとうから。1本180円で2本から注文可とのことだ。熱々でみずみずしいししとうは、ひたすらうまい。意外と辛子との相性もいいな。


そして、シロ(タレ)、ぎんなん(塩)、しいたけ(醤油)それぞれ190円を2本ずつお願いした。この値段でこのボリュームとは、もういい店確定だなと思った。黄色が鮮やかなぎんなんは香ばしく、固めの独特の食感がクセになる。ホッピーが進む、進む。大きなしいたけは、かなりジューシー……。


そして、このシロ。ぷるぷるの食感で噛めば噛むほどにじんわりとうまみが溢れてくる。ずっと噛んでいたくなる、そんな美味しさ。これまた大きく食べ応えがある。


2本ずつなのでこれで充分に満足。お会計はお通し代200円を入れて2,550円。これだけ食べてこの値段。複数人で来ればより安く、いろんな串を楽しめそうだ。

また、この店は料理だけでなく雰囲気もいい。帰宅するバイトに向かって、店の人が串を焼きながら「お疲れぃ」と格好よく言う。常連さんからも「お疲れさん~」と労いの言葉が飛び交う。言い方は違うけれど、どれも優しさが感じられる。

待ち合わせで入ってきた若いお兄さんが「ごめん、アイス持ってるんだけど大丈夫? すぐ食べるからさ」と聞けば、「ははは、いいよ」と笑って、嫌な顔を全くしない。店で働く人が皆楽しそうだった。

《2軒目》ラーメン屋「香湯ラーメン ちょろり」 2,500円

たつやを後にする。ある程度お腹は満足しつつあるし、雨も降ってきたけれど、どうしても教えてもらった「ちょろり」のラーメンで〆たい。というわけで10分~15分ほど歩いて、ビール坂まで。


店は赤ちょうちんが目印。


適度な広さの店内には、雨宿りがてら夕食をとろうと考えたと思われるお客さんが2~3名。いかにも街の中華料理屋さん、という雰囲気が好みだ。歩いたらお腹も空いてきたので、まず瓶ビール(500円)を。

ビール坂を登って汗をかいた後に、クーラーのきいた店内で飲むビール。言葉にならないくらいうまかった。何気ないコップもいいし、テレビがあってだらだらできる雰囲気もいい。入って早々気に入った。


こちらはメニューを見て、気になったメンマ盛り。350円でこの盛り具合。いいなあ。歯ごたえがあり味が濃いメンマっていうのは最高のつまみだ。


と思っていたら、一緒に注文した仔袋(豚の子宮部分)が運ばれてきた。値段は450円。こちらも堪らない。小さく刻まれていて、こりこり、つるつるとした食感がクセになる。仔袋といえば名古屋に本店がある中国台湾料理「味仙」の辛い仔袋が好きだけれど、この甘酸っぱいタレもいい。


メンマと仔袋、それからビール、よし最後の〆でラーメン

……と、半チャーハン。

近くのお客さんから「やっぱチャーハンうまいよな」と聞こえてきたものだから、頼まざるを得ない。明らかに食べ過ぎだけどたまにはこういう日もあっていいんじゃないか、と自分に言い聞かせる。ラーメンは醤油と迷ったすえ、味噌ラーメンをオーダー。

まずは味噌ラーメンから。値段は800円。麺のコシが想像以上にしっかりでのど越しも抜群にいい。スープはザ・味噌味という感じで正統派。ほっとするなあ、こういう味。甘いコーン、もやし、さやえんどうと野菜もたっぷり。濃すぎず優しい味で、飲んだ後の〆に完璧なラーメンだ。


これまた400円と手ごろな価格の半チャーハンはもう見た目でうまいとわかる。香ばしくて適度にパラっとしていて……。噛みしめてかきこみたくなる。中毒性があるというやつだ。ラーメンもこのチャーハンもどこか懐かしい味で、気が付けば止まらなくなっている。この〆はずるいなあ。恵比寿で飲んだ後に寄る人が多いというのにも納得した。


あーーよく食べた。お腹いっぱいになって幸せ。ごちそうさまでした。お店の雰囲気もアットホームで気取らずに訪れることができる。仕事で恵比寿に寄る機会があればまたぜひ行きたいなと思う。

“街の理容室は地元の安くて美味しい店を知っている”

やっぱりそれは東京の恵比寿でも同じだった。ヤマギシの山岸さん、佐藤さん、ありがとうございました。あまり馴染みのなかった恵比寿が、ちょっと好きになった。次は、どこの街で髪を切ろうかな。どんなお店に出会えるのかな。今から楽しみだ。

【今回食事に使った合計金額:5,050円】

※本記事に記載のものは2017年8月5日取材時点の情報です
※予算に含まれるものは食事代(全て税込金額)のみです

著者:Taki (id:s06216to)

Taki (id:s06216to)

1987年、神奈川県横浜生まれ。ブログ「ウォーキングと美味しいもの」では日々見つけた美味しいものや歩いた街について書いてます。