年間150公演以上も足を運ぶ、2.5次元舞台オタのお金と時間の使い方

はじめまして、あまりあ(@amariya)です。インターネットと舞台が好きです。いわゆる2.5次元ミュージカル(「2次元」の作品であるマンガ、ゲーム、アニメなどを原作とし、そのキャラクターなどを「3次元」の存在として役者が演じる作品)に心を持っていかれて以来、週末も平日も年末年始もいそいそと劇場に足を運ぶ日々を送っています。

2.5次元の世界にはじめて触れたのは、忘れもしない2013年8月。真夏日に、なんとなく行ってみたミュージカル『テニスの王子様』、通称テニミュ。

用語解説【1】ミュージカル『テニスの王子様』(テニミュ)
2003年4月から上演され続けている、2.5次元ミュージカルブームの原点。1999年から2008年まで「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)で連載されていたマンガ『テニスの王子様』の物語を2度(1stシーズン・2ndシーズン)にわたって最終回まで描いた。ライブ版「DREAM LIVE」や運動会(2ndシーズンのみ)といった趣向を凝らしたイベントも人気。2014年からは3rdシーズンがスタートし、上海や台湾などでも公演を行っている。卒業制度を取り入れているため、出演決定と同時に卒業する瞬間を想像してはエモーショナルな気持ちにさせられる。主役校の青春学園中等部のみなさんは2017年現在、9代目。

はじめて生で観た2.5次元の金字塔は、とにかく引力がすごかった。これまでDVDの映像で何度も観ていたものが、何も隔てない目の前にある感覚。色とりどりの照明ときらきらした音楽、線画じゃない本物の汗を流しながら本気の目で熱戦を繰り広げるキャストたち、そしてそして幕が下りるときに、ふと役の隙間からのぞかせる素顔。虜になるのは一瞬でした。

それ以来、過去公演のDVDをひたすら観たり、キャストのSNSやブログを見るようになったり、テニミュキャストが出演する他の舞台を観るようになったり……と、新たな世界がどんどん拡張される毎日。

なんとなくの気持ちで足を運んだあの日の1公演からもう4年。気がつけば年間で150公演以上も観るようになってしまうほど、人生の中心に舞台がやってきました。

こんな生活ばかりを送っていると、周りの人からは「スケジュール管理どうしてるの?」「お金なくならないの?」「ちゃんと寝てる?」と、いろいろな表情で心配されます。1年は365日しかないのに、時間もお金も睡眠時間も正直めちゃくちゃ吸い取られまくってる。

でも全部自分が幸せになるためにやってるから苦でもなんでもないし、むしろ今が人生で一番楽しい。今日も幸せだったな〜って思いながら眠る毎日です。

だけど時間もお金も有限だから、与えられたものの中で最大限の幸せを得たい。じゃあどうすればいいのか?と試行錯誤を繰り返して、最近ようやく仕組み化ができてきました。

まだまだ最適化の途中だけど、こういうノウハウってもっと共有されるべきだよなと思ったので、わたしなりのスケジュール管理とお金の使い方を並べていきたいと思います。大切なのは情報・管理・執念です(少年ジャンプ風)

スケジュール編

話題の舞台作品は、人気が集中しすぎて本当にチケットが取りにくい昨今です。心が折れそうになりますが、そこはぐっとこらえて絶対に行くぞという強い意志を持ちましょう。わたしは行くと決めた舞台は絶対に行きたいので、チケットが取れていなくても行く前提でスケジュールを組みます。予定を先に入れて、最後にそこへ体を持っていくパターンです。行きたい舞台の公演期間が発表されたら、ひとまずGoogle カレンダーに地方公演も含めすべて記入します。

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2016年で一番舞台の予定を入れていた12月。全29公演。

「マネ会」で公開されているガリバーさんの記事を読んでツールの使い方もスケジュールの埋まっている感じも似ていてびっくりしました。おたくの行きつく場所は同じなのか……。

スケジュールのかぶりは気にせずまずは、とにかく追加しています。ここでポイントなのは「東京公演」と「地方公演」でラベル分けをすること。わたしは京都在住なので、大阪など関西での公演がまず選択肢に入るのですが、どうしてもスケジュールが合わなかったりもっと観たくなったりしたら、上演場所の中心となる東京公演や、その他の地方公演にも足を運びます。そういうときに他の気になる舞台の上演期間とかぶっていれば、はしごして行くことが可能です。

なので各作品の上演期間をあらかじめ予定に入れておくと、どの舞台をどの日に観るべきか、どの週末に遠征をするべきなのか、といった予定が立てやすくなります。スケジュールを眺めて、行くと決めた日には、絶対にここで行く!!!という念を込めてその舞台の名前を予定に入れましょう。

Google カレンダーは入れた予定の背景色を自分で設定できるので、ここでは「仮予定」専用の色で記入しておきます。舞台にはマチネ(昼公演)とソワレ(夜公演)の概念があるのですが、重要なのは予定を入れる際に「昼」と「夜」もきちんと書いておくこと。マチソワ(昼公演と夜公演の略称)で同じ舞台作品を観ることも珍しくありませんが、そうじゃない場合は「テニミュ:昼」「ペダステ:夜」などと入れておくと、どうはしごするかが把握しやすいです。ペダステというのは、舞台『弱虫ペダル』の通称です。

用語解説【2】舞台『弱虫ペダル』(ペダステ)
2012年2月から上演されている人気シリーズ。2008年から「週刊少年チャンピオン」(秋田書店刊)で連載されているマンガ『弱虫ペダル』が原作。当時としては珍しく、アニメ化よりも先に舞台化された。特徴は自転車のハンドルと役者の肉体を組み合わせて生み出される自転車レース。演出家・西田シャトナーさんが独自に生み出したこの表現技法は、絶対に生で観てほしい。役者が袖でボンベから酸素を吸いながらも作品やキャラクターを作り上げていく様子は手に汗を握る。照明や音楽の使い方も美しい。

もうすっかり行く気分になったところですが、この時点ではまだチケットを持っていません。ですがこの後のチケット販売で目当ての日程のチケットを無事に入手できたら、仮で入れていたスケジュールはほぼ決まったようなもの。「仮予定」の色だったスケジュールを「決定」の色に差し替えます。この瞬間が最高に幸せ!!!!目立つ色でスケジュールを染めましょう。

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これは2016年8月の予定。テニミュの大阪公演初日は出張が入ったので仮予定の青紫色のままになっています。ラベルの灰色が地方公演、赤茶色が東京公演、ピンクは行くことが確定しているものです。「薄ミュライブ」はミュージカル『薄桜鬼』が開催したライブのこと。新撰組がテーマの作品なので、終わった後に京都・三条の居酒屋「池田屋 はなの舞」で打ち上げしました。懐かしい。

このように「仮予定」は行きたい日、「決定」はすでに行くことが決まっている日として一覧で表示されます。こうして分けておくと、すでに舞台の予定を入れていた時間帯に別の舞台のチケットを取ってしまった! なんていうWブッキングも防げます。わたしは「決定」の色をピンクにしているのですが、スケジュールがこの色に染まっていくのを眺めるとなんだか元気になってきます。疲れたときはレッドブルよりGoogle カレンダー。疲れた、でも舞台がある、頑張ろう……と、ピンクに染まるカレンダーを眺めては心に翼を授けるのです。

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ミュージカル『刀剣乱舞』上海公演が行われた劇場・虹橋芸術中心

ときに無茶すぎるスケジュールを組んで強行突破することもあります。直近だと、大阪で舞台を観た後、すぐに中国・上海へ飛んで別の舞台を観て、日本に帰ってきたその足でまた大阪で舞台を観たという弾丸を超えた超音速ツアー。どっちも観に行きたくて悩みに悩み、どちらも最大限に楽しむスケジュールを考えた結果こうなりました。

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2017年1月のスケジュール。12日と13日は大阪で刀ステ、14日と15日は中国・上海で刀ミュ、大阪に帰ってきたその足で16日に刀ステを観て、その次の日もまた刀ステを観てる。命が燃えている6日間。

用語解説【3】舞台『刀剣乱舞』(刀ステ)
2016年5月に初演された、ゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」を原案とする舞台作品。マーベラスが制作を担当。次々と発表されていくキャストの豪華さは逆に怯えてしまうほどだった。今最もチケットが取れない筆頭作品。2017年6月には、最新作の上演も控えている。見応えのある殺陣や深みのある物語が特徴。脚本・演出は末満健一さん。
用語解説【4】ミュージカル『刀剣乱舞』(刀ミュ)
2016年5月から本公演がスタートした、ネルケプランニング制作の作品。マーベラス制作の刀ステと同時に舞台化が発表された。本公演の約半年前に当たる2015年11月にトライアル公演を上演しているので、舞台化は刀ステより刀ミュの方が早い。なんといっても、本編の後にライブをするという2部構成が特徴。海外公演、厳島神社での奉納公演、さいたまスーパーアリーナでのライブ(2017年冬)など、何かと面白いことを展開し続けている。こちらもチケットが取れない筆頭作品。

平日にまるっと舞台の予定を入れたときは、有給休暇を使います。貴重な有給休暇を体調不良のために消費したくないので、健康もきちんと管理しておきましょう。わたしはもともとそんなに体調を崩さないのですが、これは「倒れたら有給休暇がもったいない」の精神なのかもしれない。おたくにとって最も大事なのは健康。お金や時間があっても、そこへ行くための体がへばっていては意味がないからです。好きなものを摂取し続けるために、体は大切にしよう。

お金編

お金のお話です。現実と向き合います。わたしの場合、お給料を貰ったら絶対に使ってはいけない家賃や光熱費などの基本的な出費分は最初からよけておき、後は自由に使っています。とはいえお金が尽きることが一番困るので、使い放題とはいえ限られた中で必死にやりくりします。削れるものは削る、でも欲しいものは買う、の精神です。

わたしが舞台にかけるお金は、大きく分けると「チケット代」「グッズ・DVD・雑誌などの関連費」「遠征費」の3つです。

自分の中でチケットに使うお金は月のお給料の半分まで、と決めています。あくまでも基準だからあまり気にしてなくて、超えそうになったらちょっと意識するかなってくらい。それに遠征費やグッズ関連費なども加えると、多いときは月給の2/3くらい使ってるかもしれない……。でも自分の中では生活費と同等だし、我慢したら心が死ぬから全然悲しくない。

チケット取りはスポーツ

まずは大部分を占めるチケット代について。2.5次元舞台の場合、チケット代は平均して7,000円ほど。舞台を観るにはまずチケットを手に入れないことには始まらないのですが、人気舞台は本当にチケットが取りにくくて、当落日はいつもハラハラハラハラしています。

取れないストレスで悩むのは嫌なので、ファンクラブ会員限定申し込みなど有料でチケットの抽選販売が実施される場合は、迷わずに入会します。こういった公式で用意される「機会」には積極的にお金を注ぎます。年会費が必要になるほど大きなものには入りにくいけど、月額いくらとかの小さな出費で済むものなら入っておいた方が断然良いです。安心をお金で買う感じ。ファンクラブから申し込めばプレイガイドで購入するときにかかる手数料がいらない場合もあるので、プレイガイドで10公演分申し込むならファンクラブに入って年会費を払う方がお得だし最速でチケットを買える! ということも。

こういう情報も知っておくと出費を抑えられる上に申し込みの機会も増えます。最近はチケットを手に入れるまでに乗り越える壁がありすぎて疲弊することもあるけど、無事に観ることができたら報われるはず、と信じて気合いで頑張ってます。もうスポーツだ。

グッズは思い出

次に、グッズやDVD、雑誌など舞台の周辺にかかるお金について。2.5次元舞台は、一般的な舞台に比べるととにかく公演グッズが豊富です。パンフレットやブロマイドはもちろんのこと、ランダム封入の缶バッジやアクリルキーホルダーなどなど盛りだくさん。グッズのラインアップを見ていても、ランダムグッズ(中身が見えないグッズ、ファン同士で交換したりする)といった2次元の文化と、ブロマイドという3次元の文化が混ざりあった2.5次元らしさを感じてとても面白いです。

グッズの価格は舞台によって異なりますが、パンフレットは2,000円、ブロマイドは1組500円前後。最近はライブシーンのある舞台も増えてきたので、そういうときはペンライトが2,500円ほどで販売されます。

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ミュージカル『刀剣乱舞』のペンライト。刀ミュは1部が本編、2部がライブという2部構成で、このペンライトは2部でのみ使用できる。毎回ペンライトのデザインが違う。

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こちらはミュージカル『刀剣乱舞』が2016年冬に実施した大型ライブ「真剣乱舞祭2016」で販売された提灯型のペンライト。提灯の名にふさわしく、ぼう……っと控えめに光る。ぬくもりを感じる。

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ミュージカル『テニスの王子様』のライブ版「Dream Live」に登場したペンライト。2014年に販売された右のものはテニスボール型。それを受けて、2016年にはテニスラケット型が発売された。2年越しにようやくテニスができる。

ランダムグッズはブロマイドの場合1枚200円なのですが、これがサラッと全50種類とかある世界観。ランダムなので50枚まとめて買っても、もちろんすべてそろうわけではありません。気が遠くなる。でも20枚、30枚と束で買う人は多いです。ブロマイドってなんであんなにご祝儀感覚で買っちゃうんだろう。一番安くて手軽に買える思い出アイテムだと思う。

わたしはあまりランダムグッズで冒険しないタイプなんですけど、ブロマイドは別腹って感じでつい束単位で求めてしまいます。最近行った好きな舞台のランダムブロマイドも、事前予約で50枚買ってしまった。でも思い出……思い出だから……。

DVDなどのいわゆる“円盤”もわたしはどんどん買ってしまうタイプ。Blu-ray Discになると普通に1万円くらいするし、舞台の円盤は意外と高い。でも熱に浮かされたまま劇場を出て、目の前に予約ブースがあったら、ふらっと寄っちゃいませんか。

劇場で観てしまったら映像だけではもう満足できないんだけど、世界観を閉じ込めて保存しておく感覚。稽古場の様子や舞台裏を映したバックステージ映像という特典もまた魅力の塊。

おかげで家のあちこちに円盤タワーができています。だいたい月に1本ペースで買ってるけど、たまに2本3本と出るのでそういう時は一気に1万円が消えていく。でもやっぱり思い出だから。

置き場で困るといったら雑誌です。最近は2.5次元舞台専門誌に近い雑誌もいっぱい増えてきました。キャストや制作者のインタビューを読むのがすごく好きなのと、作品考用の資料として残しておくために買ってしまう。こういう舞台俳優系の雑誌はなぜかすごく高くて、2,000円近くすることも珍しくないです。雑誌代だけで月に5,000円以上使うのもよくあること。最近は置き場所がなくなってきたので、読みたい雑誌が取り扱い対象に入っていればdマガジンなどの定額制サービスで読むこともあります。定額制は1ヶ月だけで辞めることもできるし、使い方によっては節約できてとても便利です。

遠征費こそ抑えたい

最後に、地方民には欠かせない遠征費について。遠征費は最も出費を抑えたいと思っている部分。たまに出張と合わせて高品質に移動できることもありますが、わたしの基本パックは夜行バス+カプセルホテルです。結局は寝るだけなので場所は気にしません。バスと宿は行くと決まった瞬間に押さえておいた方がいいです。繁忙期だと瞬殺だし、人気アーティストのライブとかぶるとバスも宿も安くていいところはすぐに埋まってしまいます。前述したように、スケジュールを眺めて行く舞台と遠征する日程を組めたらシュシュッと予約しましょう。

バスで朝早く到着するとどこにも行き場がないのですが、そういうときはネットカフェです。だいたい24時間営業している上に駅チカにあるので便利。シャワーを借りたりお化粧したり身支度を整えたりしつつ、雑誌を読みまくって情報収集します。女性専用フロアを用意しているところもあるので積極的に使います。上海に行ったときは関空にあるネットカフェで朝まで過ごしていたのですが、無料の「KIX-ITMカード」(関西国際空港と伊丹空港で特典が受けられ、ポイントを貯めることができるカード)を作れば半額で利用できてめちゃくちゃ良かったです。

カプセルホテルは狭くて過ごしづらいと思われがちかもしれませんが、最近のカプセルホテルはすごく進化しています。綺麗で清潔。よくあるカプセルタイプではなく、ボックスにロールカーテンというようなおしゃれっぽい作りのところが増えてきました。Wi-Fiも無料で飛んでるし、寝るだけと思えば快適かつ最高。女性専用フロアを完備しているところもあり、とても過ごしやすいです。これで土日でも3,500円前後なのでありがたく活用してる。泊まっている人もさまざまで国際色豊かですが、基本みんな1人客なので静かです。

LCCは安くて短時間で行けるという魅力があるのですが、私の場合は、京都に住んでいるので空港まで行くのにコストがかかってしまい、それほど恩恵を受けることができません。東京で舞台を観た翌日に福岡で舞台を観るというスケジュールを立てたときは、ひさしぶりにLCCを利用しました。空港までの移動費も含めて5,000円ほど。時と場合でうまく利用できると良いですね。

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お給料の半分はチケット代だし、好きなものにはじゃぶじゃぶ使うけど、その分削れるところは限界まで削って帳尻合わせをしているから、普通のOLでもなんとかなってるのかもしれない。ときどき何と戦ってるんだろうって我に返る瞬間もあるけど、なんかもう、全部「だって今しかないから」と思って駆け抜けています。

どんな“生もの”にも言えることだけど、舞台というエンターテインメントはすごく儚い。例え映像として残るとしても、やっぱり劇場で大千秋楽を迎えた瞬間は一つの世界が終わってしまったような寂しさを感じます。リアルタイムに繰り広げられるからこそ起こる奇跡みたいな一瞬とか、はっとするような表情とか、そういう心を鷲掴みにされるものを自分の目で目撃したくて何度も足を運んでしまうのかもしれません。

そのときに「あの時もっと観ていればよかった」という後悔だけは一番したくなくて、心が満足するまで通ってしまう。だって今日のお芝居は一生に一度しかない。

お金はごそっと減った。でもそれ以上に幸せを得ている。わたしはこの生き方が好きだから、これからも自分の幸せをお金で買い続けます。明日はちょうど、ものすごく行きたい舞台のチケット当落日。どうかGoogle カレンダーがピンクで染まりますように。

著者:あまりあ

あまりあ

京都生まれ京都育ち。エモーショナルなものが好き。推しが帝国劇場の真ん中に立つ日を夢見てる。
Twitter:https://twitter.com/amariya

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