1泊2日、予算10,000円で美味しいものとお酒を楽しむ旅「長野県~上田・別所温泉~」


予算10,000円(食費のみ)でその街の「美味しいものとお酒」を楽しもうという旅。富山に続き、今回は長野県の上田へ。初めて上田を訪れたのは2016年の夏。大学時代に面倒をみてくれた先生の出身地が長野で、自分と同じく先生にお世話になった友人たちと飲んでいた時に「行こうか」と勢いで決めたのがきっかけだ。

以来、2回訪れた。適度な大きさの街、優しい人、美味しい蕎麦と日本酒……。あっという間に好きな街になった。今回はそんな長野の上田で、予算10,000円で美味しいものを食べて、地酒を飲んで、ひたすらのんびりする……。そんな旅をしてみたい。

《1日目》昼食「信州蕎麦の草笛 上田お城前店」 くるみ蕎麦 980円

上田までの道のりは東京からJR北陸新幹線で約1時間半。上田といえば、まずはなんといっても大河ドラマでもおなじみの真田家ゆかりの地だ。

中央には日本最長の千曲川(信濃川)が流れ、菅平高原や美ヶ原高原の雄大な自然に囲まれている上田市は、信州の政治と文化の中心として千二百年余の歴史が脈々と流れ続けるまちです。そして、徳川の大軍を二度にわたって退けた智将・真田昌幸公や、大坂の陣での奮闘ぶりから日本一の兵(ひのもといちのつわもの)と称えれた真田幸村公ら真田氏の歴史浪漫が薫るまちでもあります。
上田市の魅力/上田市役所

駅の外壁には真田家の家紋でもある「六文銭」をイメージした照明が設置され、上田駅から真っ直ぐのびるこの坂は「真田坂」と呼ばれている。


昼前に着いたので昼食を。長野といえばまずは蕎麦、と向かったのは「草笛 お城前店」。上田城の近くにあるので観光ついでに寄るのもいい。

今回注文したのはくるみ蕎麦。蕎麦は細く、白い。見た目が美しく、しっかりとコシもある。



器に入った白いくるみのペーストに、つゆを入れて溶く。この特製のつゆが甘くてコクがあり、なんともいえない美味しさで、自分は好きだ。食べたことがない人は一度試してみてほしい。

一人で来られている方や家族連れの人など、広い店内で各々が蕎麦を楽しんでいて、勢いよく蕎麦をすする音が響く。11時開店で、11時30分頃にはあっという間に満席。店を出ると並んで待っている人もいた。すごい人気だ。



《1日目》買い物・亀齢(300ml詰め450円) + 野沢菜油炒め(250円)

美味しいくるみ蕎麦を存分に楽しんだ後は、近くの上田城跡を観光……といきたいところだけれど、時間の都合でそれは明日にして、向かった先は柳町通り


柳町通りは、上田の中でも特に街並みが好きな場所。目的地は日本酒・亀齢(きれい)をつくる「岡崎酒造」。今晩、宿で飲むお酒を探しに寄った。

数量限定という生酒の四合瓶もいいなあと悩んだけれど、自分一人で飲むなら小さいものでいいかと300ml詰めの小さい瓶を買った。それからまた上田駅へ戻って、売店でつまみ用に野沢菜油炒めを買った。


夕食の前に温泉と街散策

その後、上田電鉄で向かったのは「別所温泉」。上田駅から上田電鉄で約30分のところにある(本数は少ないので時間を事前に確認したい)。移動中、外の風景を楽しみながらのんびりと過ごした。


この別所温泉は昨年、先生や友人と旅行した時に泊まり、気に入った。かつては「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」の舞台になり、最近でも時々ドラマなどのロケ地になるらしい。電車を降りると、こんな小さくて可愛らしい駅舎が見える。


駅を出てすぐのこの風景もなんだか長閑(のどか)でいい。


宿は一人で泊まれて値段が手頃な「旅館 つるや」にした。荷物を置いて散策を、と思ったが、その前に外湯(共同浴場)へ行くことにした。別所温泉には150円で入ることができる外湯が「大湯」「大師湯(だいしゆ)」「石湯」と3つある。温泉好きにはたまらない街だ。この中から大湯へ行ってみた。

天気のいい昼間から入る温泉は特別に気持ちがいい。大湯には小さいけれど内湯のほかに露天風呂もある。空は青く、風が心地よい。風呂あがりにフルーツ牛乳を飲んで一休み。


大湯を後にして街へ繰り出す。北向観音へ向かう途中の通りはいかにも温泉街らしい。


別所温泉には神社仏閣がいくつかある。国宝の八角三重塔がある「安楽寺」は特におすすめしたい。


八角三重塔は近くで見るのも迫力があっていいけれど、このくらいの距離がまたいい。全国にここしかないという木造の八角塔は必見。異世界感がある。


自由に時間を使って散策し終えたら夕食……の前に、また温泉。次は石湯に行ってみた。せっかくの一人旅、自由に行動したい。


《1日目》夕食・一軒目「桂」 日本酒・馬刺し・美味だれ焼き鳥5本 2,500円

しばらく宿で休み、夜になった。宿を素泊まりで予約していたので夕食は外で。地元の人からすすめてもらった「」という居酒屋へ行くことにしていた。


店に入ると、カウンターに1席空きがあった。奥にある個室では地元の人だろうか、上司の昇進祝いと思われる会がにぎやかに行われていた。

「注文お願いします」
「ちょっと待ってね」
「わかった~」

そんな店員さんとお客さんの距離感の近いやりとりを聞いていると、なんだか祖父母のいる田舎に帰ってきたような……そんな懐かしさがある。


お酒はもちろん長野のものがいいということで、冷酒を一合注文。佐久市にある千曲錦酒造」の千曲錦をいただいた。透明なグラスでまず一杯。ああ、爽やかで飲みやすい。温泉に入ったあとの日本酒なんて最高って言葉しか出てこない。さらに注いで、もう一杯。


何気ないお通しの漬物がまたいい。


長野に来たら絶対食べたいと思っていた馬刺しが運ばれてきた。赤身の多いものもいいけれど、適度にサシが入った馬刺しが好きで、これはまさに完璧。適度な厚さで、噛むほどにじんわりと脂の旨味が広がる。


にんにく醤油ってなんでこんなに美味しいのだろう……。一人旅だから匂いなど気にせずたっぷりとつけて食べ、それからまたお酒を飲む。


食べれば食べるほどにこの馬刺しが美味しくて、美味しくて。最後は1枚1枚食べるのが名残惜しくなるほど。温泉に入った後に、うまい日本酒を飲んで、うまい馬刺しを食べるってどれだけ幸せなんだ。


馬刺しと一緒に美味だれの焼き鳥(5本)も頼んでいた。「上田に来たら美味だれを食べないと」と、いつも思う。


美味だれを初めて聞いた人もいるかもしれない。「にんにくが効いたうまい特製の醤油だれ」といったところだろうか。この美味だれをかけて食べるのが、上田特有の焼き鳥の食べ方らしい。

食べて飲んで、1時間ほどいただけで相当幸せになった。帰り際に「美味しかったです」と伝えてお店を出ようとしたら

「うれしいわ。宿はどこ?」
「つるやさんです」
「あそこは温泉がいいのよねえ。来てくれてありがとうね」

という言葉が笑顔で返ってきた。そんなやりとりで、よりお店が好きになる。

《1日目》夕食・二軒目「日野出食堂」 馬肉うどん 600円

次に向かったのは「日野出食堂」。上田の名物である馬肉うどんは食べておきたいところ。


たっぷりと馬肉が乗ったうどんは、シンプルだけれど絶妙な歯応えの麺とつゆがめちゃくちゃうまい。甘くうまい馬肉を口に入れて、うどんをすすりつゆを飲む。妙にうまく、止まらなくなる。

肉、うどんを一気に食べ終えたら、丼を持って最後まで汁を飲み干した。


ああ、美味しかった……。ご馳走様でした。


宿に戻り、家から持ってきたお気に入りの酒器(昨年上田で買った)に昼間買った亀齢を入れて、少しずつ飲みながら野沢菜をつまむ。同じことを自宅でやっても普通かもしれないけれど、旅先でやると全てが特別に思える。


ぼーっとテレビを見て、酒を飲み、眠くなったらすぐ寝ればいい。それだけで本当に贅沢だと思える。旅はいいなあ。慎重にお酒を注ぎ、飲み、また野沢菜油炒めを味わう……。

《2日目》昼食 「千本桜」日本酒、田舎そば 1,285円

2日目。別所温泉を後にして、再び上田駅に戻った。せっかく蕎麦がうまい長野に来たのだから、とまた蕎麦を食べることに。向かった先は、昨日蕎麦を食べた草笛のすぐ近くにある「千本桜」。

この旅の最終日ということで昼からお酒を飲むことにした。和田龍酒造」の和田龍は、上田のお酒。フルーティーで飲みやすい。


お通しの野沢菜はさっぱりした味付けでお酒に合う。


注文したのは田舎そば。黒い麺は細くて喉越しがいい。昨日の蕎麦より香りが強く、これもいい。店ごとに違いがあり、それぞれ楽しめるのも長野ならではないかと思う。


つゆは濃い。昨日のくるみのつゆも良かったけれど、こういう正統派なつゆで食べる蕎麦も素晴らしい。ねぎ、わさびをたっぷり絡めて一気に食べ切った。


その後は、上田城周辺をぶらぶら歩いた。特に上田城のお濠の風景が好きだ。


《2日目》おやつ 「富士アイス」じまんやき 80円

上田城跡を歩き周った後は、軽くおやつでも……と向ったのが「富士アイス」。


お店の名前は「富士アイス」だが、アイスではないこのじまんやきが有名だ。80円ととにかく安く、あんこかカスタードを選べる。今回はカスタードを。熱々で濃厚なカスタードが詰まっていた。うまいなあ。


それにしても自転車や車でお店に寄る人が多いこと。地元で愛されていることがわかる。

《2日目》夕食・一軒目「若菜館」 日本酒、うなぎの白焼き(一切れ) 2,690円

その後お土産を探したり、街を散策したりしていたら、夕方になった。今回も時間があっという間に過ぎた1泊2日の旅。東京に帰る前に一杯飲んで帰ろう、と寄ったのが上田駅から近い「鰻 若菜館」というお店。

最後の夜なので贅沢に鰻で日本酒を飲むことにした。店内は広くテーブル席もあるが、自分は入口付近のカウンター席が落ち着く。隣との間隔も広く、じっくりとお酒と料理を味わえる。

旅最後のお酒は、長野県は佐久市にある伴野酒造」の雷電。とろっとしていて香りもふくよか。ある程度の重さがありつつ、後味はすっきり。長野らしいお酒だなあと思った。


かぶのお通しがみずみずしい。


そして、お目当てのうなぎの白焼きがやってきた。蒲焼きも美味しいけれど、つまみなら白焼きが合うと思う。


箸で触れると崩れてしまうくらいに柔らかい。お店の方にすすめられた通りにわさびをちょっと乗せて、醤油をほんの少しつけ、口の中に入れるとあっという間に溶けて消えてしまう。こんなうまい鰻は初めてというくらいだ。


美味しい鰻と長野のお酒を味わえる喜びを存分に噛みしめた。

《2日目》夕食・二軒目「福昇亭」 五目焼そば 小盛 720円

白焼きを食べ終えたところで時計を見たら、新幹線の出発時間までまだ余裕があった。そこで「福昇亭」へ行くことに。19時閉店だから間に合うか心配だったが、なんとか滑り込めた。


ラジオが流れる小さなお店は、ほぼ満席。〆に頼んだのはここの名物である五目焼そばだ。

店員さんから小皿を渡される。この小皿に酢とからしを入れ、からし酢を作るのだ。初めて来た時は何のことだかと思ったけれど、長野では普通のことらしい。それを知ってからは、このからし酢に慣れ、今では家でも作るほどに好きだ。

しばらくして、目の前に五目焼そばがやってきた。


あんの下の麺はかた焼きそばのようにパリパリしているわけではなく、縮れていて水分が少ない独特な食感。これがもう、何ともいえない良さがある。

野菜のうま味たっぷりのあんと一緒に、この独特の麺を味わう。後半は、からし酢を活用して味を変える。


ああ、これだこれ、この味……。小盛にして大正解。〆にちょうどいい量だった。麺と五目あんとからし酢が絡み、あっという間に完食。とっても美味しかった。是非お店を紹介したいのですが、と店員さんに説明すると

「ありがとうございます。大丈夫ですよ。大歓迎です!」

と本当にうれしそうに返ってきた。上田に来てから会った人はみんなこんなふうに自然体でとにかく優しかった。「いい街」「いい店」と思うのはいい人がいるからだ、ということをあらためて思う夜になった。

《2日目》デザート「竹風堂」 きんつば山(一個) 183円

名残惜しいが、新幹線に乗り込み上田を発つ。

車内で「竹風堂」のきんつば山を食べた。もう本当にこれが好きで好きで。竹風堂の本店は上田ではなく小布施だけれど、上田駅前にも支店があるからいつも帰りに買ってしまう。甘すぎずしっとりとした食感。


きんつば山の美味しさを噛みしめ、旅で出会った美味しいものと人に思いを馳せながら電車に揺られて1時間半。あっという間に東京に着いた。上田、やはり好きな街だなあ。また近々行こう。


【今回食事に使った合計金額:9,738円】

※本記事に記載のものは2017年3月27日取材時点の情報です
※予算に含まれるものは食事代(全て税込金額)のみです

著者:Taki (id:s06216to)

Taki (id:s06216to)

1987年、神奈川県横浜生まれ。ブログ「ウォーキングと美味しいもの」では日々見つけた美味しいものや歩いた街について書いてます。

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