貯金が1000万貯まったので家を買ってみたけど150万くらいしか使わなかった話

貯金が1000万貯まったので家を買ってみたけど150万くらいしか使わなかった話

好きなことはお金を使わないこと、嫌いなことはお金を使うこと、生粋のドケチとは私だ、斧田です。こんにちは。ケチすぎて新卒で働き始めてから7年で1000万が貯まりました。貯めるのは簡単です、使わなければいいからです。しかしお金を上手に使うのは難しい。せめて上手でなくても自分が満足するような使い方をしたい、と思ってもこれまたなかなか難しい。面倒くさいからこのままどこまで貯まるか試してみようか、なーんてことを考えていたのでありました。



が。


ロンドン駐在時に私は心を改めました。

家だ。家が欲しい。だって、仕事でロンドンにいるときに東京の住んでもない部屋に家賃を払うのはもったいないから……!*1 そうです、私は生粋のドケチなのです。無駄な出費はしたくない。


ちなみにもともと間取りを見るのが大好き、かつインテリアにもそこそこ興味があったので、ぼんやりといつか家を買うことは考えていました。思えば上京したときは築45年の四畳半、その後築35年の2K、借上社宅のワンルーム、リノベ1LDKと住み替えて、次に住み替えるときは結婚して分譲マンション購入か、はたまた一戸建てか……。


しかし一向に結婚できる気配がないまま、夢はいつまでもぼんやりとした夢だったのです。ただロンドンに住んで私は現実を取り戻しました。このままだと一生今の賃貸に住み続けることになる、と。

ちなみに、ロンドン滞在時の部屋はこんなところでした。

窓が大きく、いつも明るい。台所が広い。壁が厚い。
窓の大きさは気候や文化によるのでどうしようもない面はありますが、日本でも分譲マンションなら壁は厚いし、リノベーションをすれば広い台所も夢ではない。インナーバルコニーにすれば大きな窓を家の中に作ることもできるんじゃないか?

そうだ、家を買うのは夢じゃないんだ……住みたい家に住むのは夢じゃないんだ。

こうして、私は家を買いました。

なお最初からフルリノベをするつもりだったので新築にはまったく目もくれず、リノベーション相談会に参加するところから家選びは始まりました。

種々諸々ありましたが、今はこんなところに住んでいます。


部屋の1/4を占める台所、

インナーバルコニー、明るいベッドルームに、大きなソファ。
壁は自分で色を塗っちゃうし、自転車は玄関に置いてやるんだぜ。

買ってわかったお金の話

さて、ひとしきり家自慢をして私は満足しているのですが、みなさんはお金の話を聞きたいと思うので、ローンの話を中心に、私が家を買ったときのお金の話をしようと思います。




「家を買う」のは人生で一番高い買い物だともいわれますが、あまりにも大きな金額が動くせいか、インターネットでは赤裸々な話があまりないように思います。また、ざっくばらんな話をしてくれる両親や親戚の話は数十年以上前の情報で、あてにならない……。自分にとって有用な情報は見つけにくいですよね。





さらに言うと、「家を買う」と検索すると「家を買うな」「家を買わない100の理由」みたいな記事がヒットしてしまうのも困りものです。



でも、今回家を買った経験から、欲しいなら買ってしまったほうが幸せになれるんじゃないかな、と私は思います。

ローンって「フラット35」が安心なの?

私は銀行にもローンにも縁がないので、「家を買う=フラット35でローンを組む」だ! と思い込んでおりました。


が、調べてみるとそうじゃないらしいんですね。民間融資でローンを組む場合、金利タイプは大きくわけると

・変動金利
・固定金利




があります。さらに銀行によっては頭金の額の違いや返済年数で細かく金利が違います。都市銀か、地銀か、ネット銀行かもローンを選ぶときの重要なポイント。



そして、フラット35は住宅金融支援機構(公的融資)と各銀行(民間融資)が共同で提供する長期固定金利住宅ローンです。





私の場合、特になにがあるわけじゃあないんですが、“変動”というものに恐れを抱いております。なぜなら生粋のケチですから、これからもし景気が良くなって固定金利より変動金利のほうが金利が高くなったらどうする? 長期的に見て損では? 先のことなんてわからないよ! なんてことを考えてしまうわけです。



しかも色々調べていると「変動金利型を銀行が勧めてくるのは銀行がその商品を買わせたいから。実際には損」なんてケチの一番嫌いな言葉まで出てくる始末。





ただ、変動金利のほうが安い場合が多く、商品としては魅力的です。はてさてどれがいいのだろうと住宅ローン診断士に相談してみました。







答えは、フラット35は資産に余裕がない人のためのもの。金利が低いほうがお得なのは間違いないし、変動型から固定金利に変えることはできるけれども、固定金利から変動金利に変えることはできないんですよ、とのことでした。



たしかに計算してみると、金利が数%変わると同じ借入額でも返済額が数百万違います。数百万を貯めるのはそれなりに大変。返済済みの金額が少ない間は変動金利で、その後金利の変動を見つつ上がってきたら固定金利に切り替えるのが賢い借り方なのかもしれません(借り換えという手もあります)。





なお、最近はフラット35も金利が下がってきて約1%の場合もありますから、最初からフラット35を選ぶという手もありかもしれません。



30代前半で独身なのにローン組んじゃうってどうなんでしょうか……

独身なのに……家なんか買っちゃったらますます結婚できないよ……そんな心の声が聞こえるのが30代独身。私の場合は借りるより買ったほうがお金がもったいなくないという動機があるのでそんなに悩みませんでしたが、それでも多少は気になるところです。


でもローンの条件を読むと、完済時の年齢が75歳以下であること(最近は80歳までのところも増えています)という制限がもうけられています。つまり35年ローンを組むなら40歳までに決断しないといけない。





単純な制限だけでなく、仕事の定年はだいたい60~65歳くらい、年金が出るのは(現状ベースの年金制度であれば)65歳から。繰り上げ返済するにしても定年過ぎまでローンが残っているかもしれないのはリスキーに感じられます。30代前半は自分で思っているほど早いタイミングではないのです。

そもそも古い建物は心配……

かつて築35年や45年の物件に住んできた経験から、古い建物はあぶないと身にしみて理解している斧田です。建物は適切にメンテナンスをしないと水漏れしたり、床が抜けたり、傾いてきて窓が開かなくなったり……いくらリノベをするとはいっても古い建物で大丈夫なの? 大丈夫かどうかどうやって見極めるの? 見極められるの? という心配がずっと頭の中にありました。


結論から言えば、古い建物は新耐震基準の工事がされているかどうかが一つの指標です。新耐震基準に合格するための工事は億単位の費用がかかるので、きちんと修繕計画を立てて実行しなければなりません。そのためには



・管理組合がちゃんと仕事をしていること
・修繕積立の滞納・未納を減らす努力がなされていること
・管理費がまちがいなく運用されていること




の3点が必ず満たされていなければならないのです。



長期修繕計画や財務状況などは公開情報なので、中古物件を買う際は必ず調べたほうが良いでしょう。また新耐震基準に適合するための工事というのは外から見て大体わかりますから、されていない建物だと思ったら候補から外したほうがいいかもしれません。





さらに言うと、古い建物は新耐震基準でないとローンが組めなかったり金利が高かったりすることがあります。ローン減税を受けるにもある程度の年数が経った中古物件は「新耐震基準であること」の証明を提出する必要があるので、忘れずに押さえておきたいポイントです。

一人だし40平米くらいでいいかなと思うんですけど……

新婚やファミリーで買う場合はあまり関係ないですが、一人で買う場合、家の広さによってはお得なローンを組めないことがあります。フラット35では30平米以上であることが条件ですし、銀行によっては50平米以下だと金利や諸費用が高くなるという罠があります。中古を購入した場合の住宅ローン減税も50平米以上が対象。でも広くなれば物件価格は高くなる……どうする?

どうやって落とし所を見つけるかは難しい判断ですが、需要は圧倒的にファミリー向けが多いので、後々のことを考えるとわざわざ小さい部屋を買うこともないのかなと私は思います。

現金はどれくらい用意すべき? 頭金とかいつ払うの?

現金は正直、物件の手付金分だけ用意しておけば十分です。仲介手数料やローン手数料は現金で払いたければ払ってもいいですが、ローンに組み込むことも可能です。そして手付金はなんと、1万円でも別に構いません。とはいえ手付金は売主さんに買う意思がありますよという表明なので、1万円だと「この人買う気ないのかな……?」と思われて値引き交渉がうまくいかなくなる可能性もありますが、絶対に駄目というわけではないようです。

一般的にはこの手付金を頭金とすることが多いようです。が、頭金の一部を手付金にして、全額支払いをする際に残りの現金を売主さんにお渡ししても大丈夫です。





要は「ローンの金額をいくらにするか」という話で、借入額が大きくなればなるほど審査に通りにくくなったり、頭金が少ないと金利が上がったりするから頭金は1割くらい用意しましょうってことなんですね。最近は頭金0でも1000万でも金利の変わらない銀行もあるので、そんなに気にすることはないと思います。



私が現金で支払ったのは大体こんなもんです。

仲介手数料 835,920 物件価格で変動します
登記諸費用 267,861 固定資産税評価額・借入額で変動します
耐震基準適合証明書 48,600 ピンキリみたいです。安いところを探そう。築年数によっては不要です
ローン手数料 324,000 銀行や借入額によって違います
火災保険 80,000 8万はわりと安いほう。どのオプションをつけるかによって違います

あとは固定資産税、不動産取得税、引越し費用くらいですかね……やはり仲介手数料が大きな割合を占めていますが、合計は150万程度。



思ったほど資産が減らなかったので、そのぶん家具につぎこめました。

仲介手数料って高くない? 不動産屋はなにをしてくれるの?

家を買った今でも仲介手数料は高いなぁと思ってます。が、都市銀・地銀からローンを借りる場合、面倒な手続きをすべて代行してくれるので大変に楽です。ほかにも耐震基準適合証明書を出す会社を調べてくれたり、火災保険を調べてくれたり、登記の事務所を探してくれたり、書類を揃えてくれたり、とにかくあれこれやってくれます。その費用だと思えば場合によっては安いのかも?



ただし、ネット銀行からローンを借りる場合は、融資を受ける本人が手続きしないといけないので、仲介手数料はほぼ丸損です。

家を買って後悔しなかった?

やっぱり良くなかったとか、分不相応な買い物をしてしまったとか、後悔することがあるのかなと思ってましたが、全然そんなことはありませんでした。リノベーション関係でああしておけば良かったなぁみたいなのは時々ありますが、内装ならあとからいくらでもいじれるので問題ないのです。



なにより自分の家だと思うと愛着が湧いて大事に使います。今まで台所とかあまりきれいにしていませんでしたが、暇があれば冷蔵庫をみがいているし、コンロは毎日ふくし、床にはものを置かなくなったし、掃除もよくするようになったし、いらないものは捨てたし……。





え?



壊れかけた十年ものの掃除機です。新しい掃除機は新居祝いにもらった……がなんとなくもったいなくて捨てられない。



捨 て ろ や !



※記事内に記載されている情報は著者による経験談です。各種条件や制度は変更されている可能性があります。

様々なカメラ沼の住人の中でもフィルム以前に愛を注ぐあまり、湿板写真のための暗室を自宅に作ったカメラバカ。なぜか海外送りにされる頻度が高い。ジャン・ジャック=ルソーに似ていると言われたことがある。

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*1: 定期的に日本に帰ってくることになっていたので、家は引き払わずに渡英した

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