衆院選は自民党の圧勝!今後の金融市場はどうなる?!

第48回衆院議院総選挙の選挙結果が出揃いました。

ご存知の通り、自民党は前回と同数の議席数を維持する結果に。

前回も大勝しましたから、政権交代となった前々回に続き、安倍信三自民党総裁の下で行われた衆院議員選挙は3連続で大勝しています。

 

「政権交代を目指す」と大風呂敷を広げていた希望の党は大敗しました。

一方で、立憲民主党は選挙前勢力の3倍以上の議席数を獲得し、一部エリアの比例代表候補者が足りなくなってしまうほどの大躍進を果たしました。

 

第48回衆院議院総選挙の結果を分析するとともに、今後の金融市場について予測していきます。

 

目次

 

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1.文句がつけられない自民党の大勝!

今回の選挙で自民党は公示前の284議席に対して、同じ284議席(改選となる465議席中の約61.08%)を獲得しました。
各メディアが一致団結したようにネガティブキャンペーンを行ったにもかかわらず、文句がつけられないほどの大勝利を収めました。

1960年以降行われた過去20回の衆院議員総選挙の第一党の獲得議席数の割合を振り返ってみると、3回続けて大勝したことの大きさが改めてわかります。

 

回数 実施内閣党首 投票日 第一党 第一党議席数/率
第29回 池田勇人 1960年(昭和35年)11月20日 自由民主党 63.38%
第30回 池田勇人 1963年(昭和38年)11月21日 自由民主党 60.59%
第31回 佐藤栄作 1967年(昭和42年)1月29日 自由民主党 56.99%
第32回 佐藤栄作 1969年(昭和44年)12月27日 自由民主党 59.25%
第33回 田中角栄 1972年(昭和47年)12月10日 自由民主党 55.19%
第34回 三木武夫 1976年(昭和51年)12月5日 自由民主党 48.72%
第35回 大平正芳 1979年(昭和54年)10月7日 自由民主党 48.53%
第36回 大平正芳 1980年(昭和55年)6月22日 自由民主党 55.57%
第37回 中曽根康弘  1983年(昭和58年)12月18日 自由民主党 48.92%
第38回 中曽根康弘  1986年(昭和61年)7月6日 自由民主党 58.59%
第39回 海部俊樹 1990年(平成2年)2月18日 自由民主党 53.71%
第40回 宮澤喜一 1993年(平成5年)7月18日 自由民主党 43.63%
第41回 橋本龍太郎  1996年(平成8年)10月20日 自由民主党 47.80%
第42回 森喜朗  2000年(平成12年)6月25日 自由民主党 48.54%
第43回 小泉純一郎 2003年(平成15年)11月9日 自由民主党 49.37%
第44回 小泉純一郎 2005年(平成17年)9月11日 自由民主党 61.66%
第45回 麻生太郎 2009年(平成21年)8月30日 民主党 64.16%
第46回 野田佳彦 2012年(平成24年)12月16日 自由民主党 61.25%
第47回 安倍晋三 2014年(平成26年)12月14日 自由民主党 61.26%
第48回 安倍晋三 2017年(平成29年)10月22日 自由民主党 61.08%


安倍信三自民党総裁以外の自民党の獲得議席数を見ていくと、見ての通り衆院議員選挙で60%を超える議席数を獲得できているのは、2000年に入ってからは2005年の第44回衆院議員総選挙しかありません(第45回は民主党の勝利)。

 

この時の自民党総裁は小泉純一郎で、小泉劇場による「郵政選挙」と呼ばれていました。

2000年以前の議席獲得率を見ていっても、6割超えは1963年まで遡ります。
連続で60%以上の議席数を獲得したのは、池田勇人総裁となる1960年までさかのぼる事になり、3回連続60%以上の獲得率は安倍信三総裁だけになります。

「野党が弱くて安倍信三の力ではない」と安倍首相を嫌う方は言います。

  • ・日経平均株価は好調
  • ・企業収益も好調
  • ・年金基金は莫大な利益を積み上げ安定化
  • ・インフレ率も暴走していない
  • ・失業率は超低水準の仕事を望めば仕事は見つかる状態
  • ・大学生の就職率は好調

しかし今回の選挙によって、上記のようにしっかりとした経済政策とその結果に対して、良識ある国民が評価する形になりました。

 

「安倍首相は史上最低の総理」と批判する人がいますが、1960年以降就任した首相で実績と結果だけを見ていけば、小泉純一郎元首相や池田勇人元首相を既に越えていて、日本列島改造論の田中角栄氏と並んでいるか、それ以上と言えるかもしれません。

 

次に解散するときは3~4年後とすると、次回の衆院議員選挙で自民党を安倍信三総裁が率いている確率は低く(勇退している可能性が高いため)、今回の選挙が最後になると思われます。

そのため、これ以上の結果を出せる首相は当面出てこないでしょう。

 

少し前まで言われていた「日本の首相は1年程度でコロコロ変わる。大統領制にして4年間続けるべきだ」といった論調がウソのように見える政治情勢になっています。

 

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2.立憲民主党は第二野党に、手放しでは喜べない

今回予想をはるかに超える奮闘をしたのが立憲民主党です。

「希望の党に入れなかった落ちこぼれ組が作った党」との前評判でしたが、蓋を開けてみれば公示前15議席だった議席数は55議席で第一党になりました。

 

3倍以上の議席を獲得したことよりも驚くべきなのは、当選数/立候補者数で出した当選率です。
78人の立候補者数で55人が当選していますから、野党としては驚異の70.51%の当選率になり、一部ブロックでは比例立候補の数が足りずに議席が流れるといった状況も発生しています。

 

勝因として挙げられるのは、「自民党を勝たせすぎると調子に乗るのでブレーキ役が必要ではないか」と考える反自民党派の票を取り込めたことでしょう。

民進党の固定票、支援団体も立憲民主党を支援してくれたことにより、運動員の士気も高く、選挙戦を優位に進めることができました。

次回の選挙では立候補者数の用意もしっかりできると思われますので、今後は反自民党派の票を集めて野党の中心になりそうです。

大躍進の立憲民主党ですが、反省しなければいけない点もあります。

議席数は+40議席数ですが、選挙前勢力からの議席数を整理すると以下のような結果となっています。

  • 自民党  0議席
  • 希望  -7議席
  • 公明  -5議席
  • 共産  -9議席
  • 維新  -3議席
  • 社民   0議席
  • 無所属 -16議席
  • 合計  -40議席


結果からは公明党からは少し削れたものの、自民党から票は削られず、他の野党の勢力を大きく削っているだけです。

自民党に流れる票は全く止められず、政権のブレーキ役を期待している人や「とにかく反自民」と言う人たちが投票先を迷って流れてきただけで、政権交代を狙えるような大きな政党になる可能性は低いと言えます。

今後憲法改正反対を存在意義としていくのでしょうが、無所属議員・共産党と連携しても89議席ですから、憲法改正反対を原動力にできることは限られそうです。

今後は、何でもかんでも反対する社民党のような振る舞いはせずに、具体的な対案を提出して深いレベルで議論を行う政党として国民から理解を得られるようになってもらいたいものです。

 

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3.希望の党は予想をはるかに下回る大惨敗、今後は都政に影響必須?!

小池新党の「希望の党」ですが、予想選挙前から7議席減らした50議席の獲得に終わりってしまいました。

80議席程度は獲得するものと個人的に予測していましたが、排除したつもりだった立憲民主党に与党批判者の票が流れてしまい、言い訳ができないほどの大惨敗となってしまいました。

 

当選率も235人を擁立して50人しか当選していませんから、当選率約21.2%と目も当てられない結果になっています。

立候補者は会社を辞めて、この結果では報われないでしょう。

2014年に行われた前回の選挙で民主党は73議席を獲得していますから、議席数減を考慮しても50議席というのは酷過ぎる結果です。

ブロックごとに見ていくと、さらに状況が鮮明にわかります。

おひざ元とされる東京ブロックの選挙結果では、小選挙区で25区ある中でたったの1議席しか獲得できず、比例復活が3議席です。

これではおひざ元とは言えず、維新の党のような地域政党としての機能も全く果たしていません。

敗因を全体的に見ると、「政策がダメ」や「都政に専念するから指示していたのに、国政に出るなら都民は支持しない」、「排除の言葉は酷い」などのさまざまな声が見受けられます。

 

しかし最大の敗因となってしまったのは、本気で政権交代を目指せると思って立候補者を振り分けてしまった点です。

細かく選挙区の候補者を見ていくと、前職・元議員で名前が比較的知られている議員を前回の選挙区から、自民党で強い地盤を持っている議員の区に国替えしています。

 

風が吹いたら競り勝てる刺客作戦ですが、今回の様に逆風に変わると自民党の選挙基盤が強い区域では返り討ち、基盤が脆弱な区域では競り負けて傷口がもっと大きくなっています

まずは地に足を付けた政党作りを行えばよかったものの、こういった戦略ミスも大きな敗因となってしまいました。

今後の希望の党では、小池代表を降ろす動きが本格化していきます。

小池代表は今のところ身を引くことを一切考えていないようですが、今回の執行部への批判は失言に加えて戦略ミスによるものですから避けようがありません。

特に多額の持参金を用意して、自分の努力では到底及ばない惨敗になった党員の恨みは深いものがあります。

合流組で小選挙区を勝ち上がった議員は小池人気で当選したわけでは無いので、小池代表が辞任しないのであれば離党する流れになるでしょう。

 

「再び解党をするべき」と言っている政治家も現れています。

小池氏が代表に留まり続けるのであれば、離党者が相次いで雲散霧消となる未来は目に見えていますから、解党は有効とも言えるかもしれません,。

敗戦は国政だけにとどまらず、今後小池都知事の都政運営にも影響を及ぼしていきそうです。

1年程度で都知事の任期が終わった猪瀬氏と枡添氏に代わって、待機児童や満員電車などの東京都が抱える問題にしっかりと取り組んで解決してくれそうだと、都民の多くは小池都知事に期待していました。

国政にかまけて都政をないがしろにする現在の小池都知事の支持者はごくごく少数です。

 

今まで反小池派の議員は都議会などで表立って小池都知事を批判すると自分に返ってきて批判できませんでした。

今後は片手間で都政を行っている小池都知事は批判の矢面に立たされることになるので、都知事としての支持率は下がっていき、都政も行き詰っていくでしょう。

都知事としての任期は2020年8月、2020年は東京オリンピックの真っ只中ですから、支持率の低下で色々な都政が滞ってしまわないように、来年に都知事を辞任しなさい」といった動きになるかもしれません。


攻めている方は負けてしまうと、攻め返されて全てを失ってしまうというのはよくある話です。

 

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4.アベノミクスは最終章へ

今回の選挙では、安倍自民党総裁は政権運営が安定的になる260議席を隠れた目標に設定していたと思われます。

予想以上に勝利したことによって、今後のアベノミクスへの障壁はなくなり、アベノミクスは最終章へと向かっていきます。

 

来年は大きなイベントとして、以下の2つが予定されています。

  • ①2018年4月 日銀総裁の任期切れ
  • ②憲法改正の議論開始


①の日銀総裁の任期切れは、アベノミクスの大部分を占める金融政策を取りまとめる重要なイベントですが、今回の選挙結果を受けて方針転換は行われないでしょう。

黒田総裁の再選、もしくは考えが近い人が日銀総裁の就任となります。

金融緩和は継続され、出口について話し合われる可能性は低く、これだけでも株式市場や為替市場にはプラス要因です。

②の憲法改正は、自民党、公明党、希望の党と憲法改正に積極的な党が大半を占めていますが、実際の憲法改正には国民投票を伴いますので、数の論理で強引に進めることはできません。

 

憲法改正は一見すると経済に関係なさそうで、多くの人があまり興味を持ってい無いため、安倍総裁は国民投票で国民を味方につける必要があります。

味方につけるためには、国民生活の向上を図る必要があり、より強く経済を上向きにさせるアクセルをふかすでしょう。

具体的には教育無償化や公共事業の増加、子供がいる世帯への減税、場合によっては福祉金の交付など大きな財政政策を打つことによって民間の所得を増やすなど、経済へのカンフル剤注入を行っていくと思われます

株価もこのアベノミクスの最終章に期待をする動きになっています。

2017年10月24日、日経平均株価は過去最高の連騰記録を更新する16連騰を記録しました。

日本国内の個人投資家はずっと売り越していますが、衆院解散以降、外国人投資家はアベノミクス最終章への期待から大きく買い越しを記録しています。

「来年には日経平均株価30,000円になる」と発言する専門家も出てきていて、「日経平均株価の過去最高値となる38,915.87円を目指す」と言っても違和感がなくなりつつあります。

 

アベノミクス最終章を楽しみに待ちつつ、相場も乗り遅れないようにしましょう。

 

まとめ

  • ・衆院議員選挙を総括
  • ・自民党は予想以上の大勝、選挙結果では安倍総裁は歴代に並ぶ人物が見つからない政治家に
  • ・立憲民主党は健闘、今後は与党のブレーキ役として期待
  • ・希望の党は予想をはるかに上回る大惨敗、今後は小池都知事の責任問題に
  • ・アベノミクスは最終章へ、より大きな財政政策を打つ可能性
  • ・金融市場は好感、日経平均株価は驚異の16連騰。今後も上昇基調は続きそう。

著者:先ず隗より始めよ

現役金融マン。証券アナリストの資格あり。ちょっとマニアックな金融知識やニュースをわかりやすく書いていきます。

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