NISAを始める前に~口座開設金融機関の選び方~

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2014年から開始された「NISA(少額投資非課税制度)」。

開始から3年が経過し、平成286月末の口座開設数は1,030万口座と、徐々に伸びてきています。

開設当初から、証券会社や信託銀行のコマーシャルなどで目にすることの多かった少額投資非課税制度「NISA」。

 

「実は前々から気になっていた」という方もいるかもしれません。

NISAを始めるにあたっては、金融機関での専用口座の開設が必要になります。

口座は証券会社から銀行・信用金庫と様々な金融機関で開設することができます。

 

それでは、口座を開設する金融機関はどのように選べばいいのでしょうか?

今回は、NISAを始めるにあたって必要なNISAの基礎から、実際に口座を開設する際の金融機関の選び方について見ていきます。

 

1.NISAとは?

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そもそも、少額投資非課税制度NISAとはどのような制度なのでしょか?

通常、株式や投資信託などの金融資産から利益を得た場合、その利益に対して約20%の税金がかかります。

しかし、NISA専用の口座を開設すれば、一定の範囲内で、対象金融資産から得た利益に税金がかかりません。

 

NISAには大きく2つの種類があります。

20歳以上の成人を対象とした通常の「NISA」と、19歳以下の未成年を対象とした「ジュニアNISA」です。

また、20181月からは、新たに「つみたてNISA」が開始されます。

 

(1)NISAの仕組み

  • ①対象者

日本国内に住む20歳以上が対象。

 

  • ②非課税対象

株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益が非課税の対象となります。

 

  • ③非課税投資枠

NISAでは毎年120万円分の金融商品を購入することができ、この金融商品から得た利益を非課税とすることができます。

これを「非課税投資枠」と呼んでいます。

 

この120万円分の金融商品は購入から5年間は、非課税の対象として保有することができます。

毎年120万円ずつ新規購入をしていったとして、最大で600万円を非課税の対象とすることができます。

 

(2)ジュニアNISAの仕組み

  • ①対象者

日本国内に住む0歳~19歳の未成年が対象。

 

  • ②非課税対象

通常のNISA同様、株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益が非課税の対象となります。

 

  • ③非課税投資枠

新規投資額で毎年80万円が非課税投資枠となります。

 

  • ④運用口座の管理者

ジュニアNISAの口座は未成年者の名義であるため、口座は親や祖父母が本人に変わって運用管理を行います。

 

  • ⑤注意点

ジュニアNISAは、子どもの進学などのための将来の資産形成を目的としています。

そのため、18歳まで払い出しができません。

万が一途中で払い出す場合には、過去の利益に対して課税がかかります。

 

【参考】つみたてNISAの仕組み

2018年1月から開始される新しい制度です。

取引ができるのは通常のNISAと同様に20歳以上の大人ですが、2018年以降に開始する通常のNISAとの併用はできません。

 

通常のNISAとつみたてNISAの大きな違いは取引方法にあります。

つみたてNISAはあくまでも「つみたて」を目的としています。

 

取引方法は、定期的に継続した買付である必要があり、投資対象は一定の条件を満たす投資信託などに限定されています。

非課税投資枠は年間40万円で、非課税期間は20年です。

 

 2.NISAのメリット・デメリット

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(1)メリット

利益に税金がかからない

NISAのメリットは、少額の投資に対して5年間税金がかからないことです。

また、NISA専用の口座を開設するため、確定申告などの手続きも必要ありません。

 

例えば、NISAの口座を開設し、120万円で株式を取得したとします。

1年後にこの株式を150万円で売却したとすると、売却益が30万円発生することになります。

これがNISAの口座でなければ、ここに約20%の税金がかかるため、30万円×20%の6万円を税金として納める必要があります。

 

その結果、手元に残る資金は、144万円になってしまいます。

しかしNISAの専用口座であれば、売却益の30万円に対して税金がかからないため、150万円がそのまま手元に残ることになります。

 

 (2)デメリット

①複数の運用口座を持っている場合に、損益通算が出来ない

通常、運用のための口座を複数持っている場合、口座を超えて損益を相殺し、税金の計算をすることができます。

 

例えば、A証券の口座は50万円の利益が出ましたが、B証券の口座では60万円の損失が出たとします。

この場合には、A証券の口座とB証券の口座の損益を通算して、10万円の損失がでているため、利益に対して税金がかかることはありません。

 

しかし、NISAの口座の場合には、他の口座と損益通算することができません。

そのため、A証券の一般口座とNISAの口座を保有していて一般口座で利益が出た場合には、NISAの口座で損失が出ていても、一般口座からの利益に対しては必ず税金を支払わなければなりません。

 

一般口座で50万円の利益が出ていて、NISAの専用口座で60万円の損失が出ているケースを考えてみます。

この場合には、一般口座の50万円の20%である10万円を税金として支払わなければなりません。

 

②非課税期間が終了し課税口座に移行する場合、売却損が出ても課税対象になるケースがある

①のデメリットは、複数の口座を持っている方に限った話でした。

 

しかし、「②非課税期間が終了し課税口座に移行する場合、売却損が出ても課税対象になるケースがある」というデメリットは、NISAの口座を持っていれば誰にでも起こりうることです。

 

NISAの非課税期間が終了した時には、資産を課税がされる一般口座など(以下、課税口座と呼ぶ。)に移行する必要があります。

実は、課税口座に移行する場合には、課税口座に移行するタイミングの時価を、その証券の買い付け価格とみなします。

 

例えば、120万円で購入したC社株の株価がなかなか上がらずに、5年間保有し続けたとします。

これを課税口座に移行することになり、移行のタイミングでは、80万円まで株価が下がっていました。

そして、課税口座に移行してから90万円まで株価が回復しましたが、それ以上は上がる見込みがないので90万円で売却したとします。

 

この場合、株式をNISA専用口座から課税口座に移行したタイミングの株価が、この株式の買付価格とみなされます。

そのため、この株式は80万円で購入したとみなされ、税制上は10万円の売却益があったことになってしまいます。

他に運用をしている資産がなければ、この10万円に対して、20%の税金がかかってしまいます。

 

NISAには「運用益に対する税金がかからない」というメリットがありますが、一方でデメリットもあります。

もちろん株式や投資信託での運用ですので、運用状況によって損失が出ることもあります。

「NISAで投資を始めてみようかな」と考えている方は、メリット・デメリットの両方を理解したうえで、よく検討をしてみて下さい。

 

 3.口座開設金融機関の選び方

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それでは、「NISAを初めてみよう!」と思ったら、最初に何をすればいいのでしょうか。

 

まずは、NISA専用の口座を開設する必要があります。

口座が開設できる金融機関は、何も証券会社だけではありません。

信託銀行や一般の銀行、郵便局や生命保険会社など様々な金融機関で口座を開設することができます。

 

開設できる口座の数は、一人1口座のみです。

複数の金融機関で口座を開設することはできません。

途中で金融機関を変更することもできますが、手間もかかるので金融機関の変更はおすすめしません。

 

それでは、口座を開設する金融機関を選ぶ際には、どのような点に注意したらいいのでしょうか?

 

(1)商品種類

取り扱い商品は各金融機関ごとに大きく異なります。

外国株式の取り扱いの有無や投資信託の数、IPO銘柄の取り扱いなど、金融機関ごとにさまざまな特徴があります。

 

中でも注意が必要なのが「株式の取り扱い」です。

NISAと聞くと、「少額で株式や投資信託に投資する」というイメージがあるため、どこの金融機関でも関係なく株式の購入はできると思われるかもしれません。

 

しかし、株式の購入ができるのは証券会社だけです。

そのため、「株を初めてみたいな。」と思って銀行に口座を開設しても、株の取引きはできません。

また、投資信託の取り扱い銘柄も、一般的には証券会社のほうが豊富に揃っています。

 

NISAを始めるにあたって「(株式も含み)さまざまな銘柄の中から自分で選んで投資をしたい!」という方は、証券会社での口座開設の方がおすすめです。

 

一方で、「あまり銘柄があっても選びきれないし、投資先も投資信託だけでいい。できるなら、なじみの店舗で気軽に相談がしたい」という方は、いつも利用している銀行での口座開設を考えてみてもいいかもしれません。

 

 (2)販売手数料

NISAの口座を開設して実際に株式の売買をしたり、投資信託の購入をしたりすると、その度に手数料が発生します。

投資信託の場合は、「信託報酬・運用管理費」と「買付手数料」が、株式であれば「売買手数料」が発生します。

 

投資信託の「信託報酬・運用管理費」は、投資信託を保有している間、ずっとかかり続けます。

この手数料は、同じ金融機関の口座を利用していても、保有している投資信託の種類によっていくらかかるのかが変わってきます。

そのため、口座開設時というよりは、口座開設後の銘柄選びの際に重要になってきます。

 

投資信託のもう一つの手数料である「買付手数料」ですが、これは投資信託を購入する際にかかる手数料です。

同じ金融機関の口座でも銘柄によって違いますし、同じ銘柄でも金融機関によって違うこともあります。

また、手数料自体が安くなっていなくても、手数料分を金融機関のポイント制度を利用して実質的に割引きしてくれる場合もあります。

そのため、金融機関選びの際のポイントの一つになります。

 

そして、株式を売ったり買ったりする時に発生する「売買手数料」。

一般的には、取引額に応じて手数料が上がっていきます。

しかし、国内株の売買手数料が無料の証券会社があったり、国内・海外株ともに手数料が無料になる証券会社があるなど、金融機関によって大きな違いがあります。

一般的にネット証券の方が売買手数料が安く、店舗のある証券会社の方が手数料が高くなる傾向があります。

 

せっかく運用がうまくいっても、手数料が高いと手元に残る資産が少なくなってしまいます。

そのため、手数料は金融機関選びの重要な要素となります。

一方で、手数料が高い店舗型の証券会社でも、支店での対面の相談ができるというメリットがあります。

 

 (3)対面での運用相談の有無

対面での相談ができるのは、店舗のある証券会社や銀行のメリットです。

店舗型の証券会社では証券マンがアドバイスをしてくれますし、銀行では窓口の投資信託担当者が相談に乗ってくれます。

ただ最近では、ネット証券でも電話で相談窓口を設けているところがあります。

 

「不安だから、対面で相談したい。」という方であれば、店舗のある証券会社や銀行での口座開設が向いているかもしれません。

「初めてだから何かあれば聞きたいけど、なるべく手数料が安い方がいい。」という方であれば、ネット証券で電話相談ができるところを検討してみるのもいいかもしれません。

 

いずれにしても、アドバイスを聞いた上でどうするかを決めるのは、投資家本人です。

投資の最終決定の責任は自分自身にあります。

そのうえで、専門家のアドバイスをどの程度参考にして投資先を決定するのかを考えてみてはどうでしょうか。

 

 (4)口座開設にあたって

ここまで、口座開設にあたって3つのポイントを見てきました。

「ポイントを見ても迷ってしまう」という方もいるかもしれません。

 

そこで、まずは3つのポイントにご自身で優先順位をつけてみて下さい。

優先順位をつけると、必然的に自分に合った金融機関が絞られてきます。

金融機関への信用度など、ご自身の尺度に合わせた選択をしてみましょう。

 

 4.まとめ

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はじめて株式や投資信託での運用をするという方は、最初の一歩である口座の開設で二の足を踏んでしまうかもしれません。

もちろん運用には、必ずリスクがついて回ります。

しかし、リスクをしっかりと承知してNISAのデメリットを理解することで、メリットを最大限に生かすことができます。

 

今回の記事を読んで、「NISAの口座を開設してみようかな」と思った方は、ぜひポイントをおさえて自分に合った金融機関選びをしてみて下さい。

  • (1)NISAのメリット・デメリットを理解する
  • (2)口座開設の時に気を付ける点は、「①商品種類・②販売手数料・③対面での運用相談の有無・銀行では株式の取り扱いがない」
  • (3)金融機関の決定にあたっては、自分の中で3つのポイントに優先順位をつけて決めるのがおすすめ
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