子どもの教育費、いくらかかる?どう貯める?

子どもの教育費、いくらかかる?どう貯める?

「子どもの教育費」というと、大学・専門学校などへの進学費用を思い浮かべる方もいるのではないでしょうか?
しかし実際には、就学前の保育園でも思っている以上にお金がかかるものです。
では、どのようなタイミングでいくらのお金がかかるのか、またどのようにお金を貯めればいいのかを見ていきましょう。

子供の教育費、一番かかるのはいつ?

「子どもの教育費」と一口に言っても、保育園~大学まで20年以上あり、お金のかかるタイミングは様々です。
ここでは、子どもにお金がかかる可能性が高い時期をランキング形式で見ていきましょう。

(1)一番教育費がかかるのは、やはり大学

大学の場合には、どこの大学に通うのか、どの学部に行くのか、によって費用が大きく変わってきます。
最も安いイメージのある国立大学の場合、入学金28万2,000円、年間授業料53万5,800円がかかります。
つまり、自宅から国立大学に通った場合でも、四年間で242万5,200円の費用がかかることになります。

また、私立については、通う学部によって費用が大きく異なります。
文部科学省の「平成26年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」によると、私立文系の各種費用の平均が、入学金約24万2,000円、年間授業料約74万6,000円、施設設備費約15万8,000円となっています。
四年間に換算すると、約385万円の費用がかかることになります。

一方、私立理系(歯・医学部を除く)の場合には、平均で入学金約26万2000円、年間授業料約104万8,000円、施設設備費19万円の費用がかかります。四年間で、約520万円です。
また、私立の歯・医学部の場合には、それぞれ私立理系の3倍程度の費用がかかります。

このように、入学金や授業料だけでもかなりの金額がかかることがわかるかと思います。
さらにここに、下宿する場合の費用や交通費などがかかってきます。
例えば、大学の近くで一人暮らしをするので、毎月10万円仕送りをするとなると、年間で120万円、四年間で480万円が必要となります。
ただし、子どもが生まれてから高校を卒業するまでの間には、ある程度の期間があります。
高校卒業後の費用については、事前に時間をかけて準備しておきましょう。

(2)意外とかかるのが就学前の保育園

なんと、大学の次にお金がかかる可能性があるのが保育園です。
近年、何かと話題に上がることが多い保育園ですが、住んでいる地域や保育園の形態、親の年収等によって保育料は大きく異なります。
小学校以降の教育費は、公立の学校は教育費が安く、私立は教育費が高いイメージがあるかと思います。
しかし保育園の場合は、その保育園が認可保育園なのか認可外保育園なのかといった保育園の形態や、住んでいる場所など様々な要因で変化します。

①認可保育園

認可保育園とは国の基準(施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理等)を満たして都道府県が認可した施設です。
市町村が運営する公立の保育園と、社会福祉法人などが運営する私立の保育園がありますが、いずれも公費によって運営されています。
認可保育園の保育料は、住んでいる場所、親の年収、保育時間、子どもの人数によって異なります。
日経新聞が2015年に実施した「自治体の子育て支援制度に関する調査」によれば、世帯年収700万円、子ども1人の家庭の場合の認可保育園での年間保育料の自治体平均は、3歳未満で4万4,284円でした。
しかし、自治体による金額の差が大きく、同じ認可保育園でも一番低い自治体で1万2,400円、一番高い自治体で5万9,900円の保育料がかかるという結果でした。

②認可外保育園

認可外保育園の場合、保育料の決め方は各保育園によって異なります。
厚生労働省の「平成24年 地域児童福祉事業等調査」によると、認可外保育園の保育料の平均は、3歳の子どもの場合3万9,800円となっています。
こうやってみてみると、自治体や年収によっては、認可保育園に通う場合よりも、認可外保育園に通うケースのほうが保育料が安くなることもあります。
また保育園の場合には、認可保育園に入りたくても入れない(場所によっては認可外も入れない)、ということもありますので、「うちはここの地域の保育園に入れるから保育料はそんなにかからないから大丈夫。」とも言い切れないのが現実です。
以上のことから、保育園だけでも、平均で年間50万円程度、小学校に入るまでの間に250万円以上のお金がかかります(0歳から入園した場合)。
これは、子どもが国立大学に進学した場合にかかる入学金や授業料と同程度(もしくはそれ以上)の金額です。

(3)3番目にお金がかかるのが高校

3番目にお金がかかるのが高校です。高校の場合も、公立と私立でかかる費用が異なります。
文部科学省の「平成26年度子供の学習費調査」によると、公立高校に通った場合の授業料や教材費にかかる学校教育費は、平均で年間約24万2,000円です。

一方、私立高校に通った場合の学校教育費は74万円です。高校の場合、公立に通うか私立に通うのかによって、教育費が3倍以上も異なります。
これは、私立高校の場合、授業料が20万円程度かかることや、入学金などの学校納付金が発生するためです。

この他にも、部活動にかかる費用や、別途塾などに通う場合には、さらに費用が掛かります。

(4)幼稚園~中学校はどれくらい費用がかかるの?

(1)~(3)では特にお金がかかる時期をご覧いただきました。
もちろん、保育園に通わず幼稚園に通った場合や、義務教育である小学校や中学校でもお金がかかります。

幼稚園の場合も、自治体や年収の違いによって授業料が異なります。また、公立・私立の違いによっても保育料が変化します。
文部科学省の「平成26年度子供の学習費調査」によると、公立の幼稚園の年間平均教育費(授業料や幼稚園の通園・行事にかかる金額と、給食費を合わせた金額)は、約13万8,000円です。
一方、私立の幼稚園の場合、2.5倍の約35万6,000円が年間平均教育費となっています。

小学校に上がると、公立小学校と私立小学校の教育費の差はさらに大きく開いていきます。
公立小学校で年間を通してかかる学校教育費(教材費や給食費)は約10万円です。
「義務教育なのに、何にそんなにお金がかかるのだろう?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。このうち、約4万円が学校給食費です。
その他には、教材費(本や実習用教材)や通学に使用するランドセル、傘などの購入代が含まれています。
一方私立小学校の年間教育費の平均は、約93万円と公立小学校の9倍にものぼります。この中で大きな割合を占めているのが、平均で46万円かかる授業料と、入学金などの学校納付金23万円です。

そして、公立と私立の差額が一番大きくなるのが中学校です。
公立中学校の場合、学校教育費は約16万円ですが、私立中学校は約102万円にも上ります。
このように、幼稚園から中学校まですべて公立に通った場合には約150万円の費用が、すべて私立に通った場合には970万円の費用が掛かります。

教育費を貯めるポイントは?

さて、これまでは実際にかかる教育費を見てきました。
子どもを大学まで通わせるとかなりの金額がかかることがわかるかと思います。
一般的に、子どもを大学まで通わせると、全部公立だったとしても子ども一人に1,000万円、私学に通わせると2,000万円かかると言われています。
子どもにはなるべくいい教育を受けさせてあげたいけど、ない袖は振れないし・・・という親御さんも多いのではないでしょうか。
また、これから子どもが大きくなっていく若い世代の方にとっては、「今後のお金はどうしたらいいのだろう。」という不安もあるかもしれません。
これまで見てきたように、「保育園~大学まで、すべて公立に通わせればお金はほとんどかからない。」というわけでもありません。
また、子どもにどのような教育を受けさせたいか?といったことは、各ご家庭でそれぞれの考え方があるかと思います。

さらに、保育園や幼稚園については、希望の園に入ることができるのか?といった問題が、高校や大学・専門学校等については、子ども自身がどうしたいのか?といったお金以外のポイントも出てきます。
それでは、このように不確定要素が多い中で、小さいお子さんを持つ親御さんや、これから子どもを持ちたいと希望している方が気を付けるべき、教育費を貯めるポイントは何でしょうか?
ずばりそれは、「お金のかかり方を把握する」こと、そして「とにかく早いうちから貯め始める」ということです。

(1)お金のかかり方を把握する

お金のかかり方については、特に「まとまってかかるお金」なのか「随時かかるお金」なのかを把握することによって、どうやって貯めればいいのか?が自然と見えてきます。
例えば同じ200万円でも、大学入学の際にかかる入学金や授業料は「まとまってかかるお金」です。
入学のタイミングや半年に一度のタイミングで、数十万円という金額を支払う必要があります。そのため前もって準備しておかないと、支払いが厳しくなってしまいます。
一方で「総額で国立大学の授業料と同じ程度かかる」と記載した保育園の保育料は、毎月支払うケースが多いです。
月数万円を随時支払っていくので、何とか毎月のやりくりを上手にして支払うことも可能です。
この時に注意したいのが、毎月の支出に気を取られて、将来のためのお金が準備出来ていなかった、といったことがないようにすることです。
そこでまずは、毎月、将来必要な最低限のお金を、自動引き落としの積み立てや学資保険等で確保したうえで、保育園や幼稚園、小学校にかかる費用をやりくりすることが大切になってきます。
大学にかかる費用は、家から通える国立大学に通った場合でも、四年間で約242万円かかると書きました。
この金額だけ見ると、「積み立てをしながら、家計をやりくりするなんて大変だ。」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、たとえ毎月の積み立て金額が月1万円であったとしても、こどもが生まれてから18年間あれば、約210万円を積み立てることができます。十分足りる金額ではありませんが、4年間で必要な最低限の金額に近い額は貯めておくことができます。
毎月1万円であれば、保険や携帯料金の通信料を見直すだけで捻出できるご家庭も少なくありません。
場合によっては、見直しで数万円を捻出できるご家庭もあるかと思います。
毎月の支払に追われていたら、高校卒業後の費用が準備出来ていなかった、といったことがないように、支出の見直しを行い、必要最低限の金額は積み立てられるようにしておきましょう。

(2)とにかく早いうちから貯め始める

どのような費用を貯めるにしても、最も大切なことは「お金は急には増えない」ということです。
当たり前のことですが、宝くじに当たったりしない限り、突然、今ある5万円が500万円になることはありえません。
しかし、早いうちから計画的に貯めれば、無理なく積み立てをすることができます。
特に、まだお子さんがいないご家庭で将来的に子どもが欲しい、と思っていらっしゃる場合には、まだ子どもがいないうちからお金を貯め始めることをおすすめします。
先ほども書いたように、月1万円であっても、18年あれば210万円を貯めることができます。当然、この期間が長くなればなるほど、貯められる金額も多くなります。
また、お子さんがいない時期や、小学校の間は、支出も比較的少なくて済む期間です(公立小学校の場合)。
この期間に、「必要最低限+α」の+α部分をどれだけ貯めることができるか?によって、積み立ての総額も変わってきます。
将来、子どもがどのような進路に進みたいか?といったことは、親にコントロールできることではありません。
なるべく余裕を持って積み立てをしておくためにも、早いうちから積み立てを始め、余裕のある時期に、必要最低限+αの金額を貯めておくことをおすすめします。

まとめ

子ども一人育てるのに1,000万円かかる、と聞くと、途方もない金額のように聞こえてしまいます。
しかし、早いうちから費用を把握し、ポイントをおさえることで、無理せずに教育費を確保してみましょう。
 
(1)教育費の中で、一番お金がかかるのは大学の費用。
(2)保育園に通う場合も、思った以上に費用がかかる。
(3)月々のやりくりに追われて将来の教育費が貯められなかった、といったことがないように、必要最低限の金額は自動引き落としの積み立てや学資保険で確保する。
(4)「積み立てをする余裕がない」と思った場合でも、保険や通信料を見直すことで積み立て金額を確保することができる場合もある。
(5)なるべく早いうちから積み立てを始め、子どもがいない期間や子どもが小学生のうちに+αのお金を貯めておく。

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