財務省の売却でどうなる日本郵政株

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9月2日発行の日本経済新聞朝刊が「財務省は1日、9月中にも保有する日本郵政株を追加売却する方針を固めた」と報じました。

 

郵政株、9月中にも追加売却 財務省、最大で1.4兆円 :日本経済新聞

 

日本経済新聞の記事によると、IPO以来1年10ヶ月ぶりとなる今回の売り出し規模は最大1兆4千億円に上り、今回の郵政株売却で得た利益を財務省は東日本大震災の復興支援に充てるとのことです。

 

かなり大きな額の売却ということもあり、今後の株価にどのような影響が出るのか気になるところです。1年10ヶ月前のIPOから今回の追加売却までの流れを確認し、今回の大規模売却によって今後どのような値動きが想像されるか検討してみましょう。

 

 

2015年11月4日に郵政グループ3社が巨大規模で同時上場

 

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2014年の年末に日本郵政株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、そして株式会社かんぽ生命保険 の上場が決定したと正式に発表され、日本の投資業界を賑わせました。

 

日本郵政グループ3社の株式上場について - 日本郵政

 

その売り出し規模は3社合計で約1兆4,000億円。東証1部の1日当たり売買代金の5~6割程度に匹敵するレベルということもあり、かなりの注目が集まりました。

 

 

公開価格はいくら?どうやって決められたの?

 

新規公開株を購入したい場合は公募形式で購入しますが、その際の郵政グループ3社の公開価格は日本郵政が1,400円、ゆうちょ銀行が1,450円、かんぽ生命が2,200円となりました。

 

基本的に株式の新規公開価格(IPO価格)の決め方は2種類あり、競争入札方式とブックビルディング方式というものです。近年、後者が主流となっており、日本郵政グループのIPOにおいてもブックビルディング方式が採られたようです。

 

ブックビルディング方式というのは「株式や債券の新規発行や売り出しに際して、引受証券会社が仮の発行条件を提示して投資家の需要を調べた上で公開価格を決定」するものです。

 

株式公開価格の決定 | 日本証券業協会

  

具体的に郵政の場合はどのような流れで決まったかというと、上場する郵政グループ3社の経営陣が上場前の9月〜10月に海外の有力機関投資家に経営戦略に関する説明及びヒアリングを行い、その結果を通して売り出し価格の仮条件が決定し、設定された上限・下限の中で価格が決定されたそうです。

 

迫る日本郵政の上場、売出価格をめぐる深謀 | 週刊東洋経済(ビジネス) | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 

 

 

IPO価格での配当利回りは?

 

株式投資を行う上で気になるのが配当利回り。株価の値上がりももちろん重要ですが、長期での株式保有を検討するのであれば、株式を保有することで会社の利益が還元される配当金がどれだけもらえるかは注目すべきポイントです。郵政グループ3社の公開価格における配当利回りはどうだったのでしょうか?

 

配当利回りを考える際にその会社の配当性向が鍵となります。配当性向という言葉は配当利回りよりも馴染みの少ない言葉かもしれません。

 

配当性向というのはその会社が純利益から配当金をどのくらい支払っているかを表したものです。2015年4月発表の中期経営計画で日本郵政は配当性向50%を目指すとしており、郵政グループ3社それぞれの公開価格から配当利回りを考えると大体2〜3%台が確保できることになっていましたので、長期で保有するには魅力的な株と言えます。

 

日本郵政 配当性向「50%以上」 上場見据え倍増 :日本経済新聞

 

 

上場時の値動きは?

 

さて、割安な公開価格で購入できるため、値上がりが期待できるIPO株ですが、ましてこれほど大規模なものになるとその上場時の売買は盛んに行われるもの。実際に郵政グループ3社が上場した際の値動きはどのようになったのでしょうか?

 

日本郵政(銘柄コード:6178)

日本郵政の初値は公開価格を200円以上上回る1,631円となり、上場日の終値は1,760円となりました。その後は年末までは順調に価格が上昇して2,000円目前まで行きましたが、年明けから利益確定売りもあってか価格が下落し、2月には公開価格を下回りました。それ以降は公開価格以下で推移し一時は1,600円目前まで上昇することもありしたが、最近では1,300円前後となっています。

 

 

ゆうちょ銀行(銘柄コード:7182)

ゆうちょ銀行の初値も公開価格を200円以上上回る1,680円でつけ、その後は大きな値動きはなく、上場初日は1,671円で終わりました。その後12月は1700円台で横ばいとなり、1月に公開価格程度である1400円、2月には1100円台まで大幅に値を下げた時もありましたが基本的にその後は1400円前後で推移しています。

 

かんぽ生命(銘柄コード:7181)

他の2社に比べて公開価格が高かったかんぽ生命は、初値が公開価格を700円以上上回る2,929円となり、上場日は3,430円まで値を上げて取引を終了しました。翌年2月までは緩やかに下降し、その後は2,400円〜2,700円の間に落ち着いていました。2016年の7月には2,000円を下回る局面を迎えましたが、2017年3月には2,800円まで回復。最近では公開価格程度である2300円前後で推移しています。

 

 

財務省の追加売却が株価に与える影響とは?

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このように新規上場からの値動きを見てみると、最初は公開価格から大きく上昇していましたが、現在は落ち着きをみせています。現在の株価での配当利回りは日本郵政とゆうちょ銀行が3%台後半、かんぽ生命が2%台後半となっており、IPO当初から引き続き長期で保有するのに魅力的な配当利回りを保持しています。

 

そういったこともあり、これまでにあまり急激な値動きはなく安定した株価の推移となっています。

 

そんな安定している株である日本郵政の株式を財務省がかなり大きな規模で売却するとなると、日本郵政株だけでなくグループ会社の株式を保有している方にとっては非常に気になるところですよね。果たしてどれほどの影響があるでしょうか。

 

 

売却発表後は反落

9月2日に財務省が郵政株の売却が報じられた最初の取引では、今後の株価への影響を懸念して日本郵政株は反落。郵政だけでなく、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命株も下げています。

 

郵政の業績不振も重なりさらに値下がりする?

郵政はオーストラリアの物流子会社の業績不振で巨額の赤字を計上しています。通期の最終赤字は郵政民営化以降初。そのように業績自体が芳しくない中で多額の株式が売却されるとなると、日本郵政株を所有している投資家が日本郵政株を売りに出す可能性は大いにありうるでしょう。

 

財務省の株式売却で需給が緩み、株価が下がる可能性に加えて投資家の売りが集中するとさらなる株価の下落が懸念されます。

 

 

値下がりしても高い配当利回りから株価は下支えされる!?

今の段階で日本郵政株は3パーセント台の利回りを保持していますが、これが今後の財務省と投資家の売却によって価格が下落した場合には、株価に対しての配当利回りは高まります。基本的に株価が安定している株であるということもあり、株価が下がることで安値感も出てきます。あるいは高利回り株ということで買いが入ってくる可能性があります。

 

そのような流れになると、株価は一時的に下げたとしても、そのお得感と高利回りが株価の下支えとなり、著しく株価が急落するということは免れられるのではないかと考えられます。

 

豪子会社の業績不振については役員報酬のカットや子会社側の人員削減などにより、改善を目指しているところです。その効果がどれほど出てくるのか、またそれ以外の対策が講じられるのか、という業績に関する動向も今後の株価に影響を与えてくるはずです。

 

改善策が講じられて業績が回復すれば、株価売却による一時的な下落があったとしてもその下支えの重要な材料となるでしょう。

 

 

一時的な株価下落の可能性はあるが、売買のタイミングはしっかり見極めよう!

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財務省による日本郵政株売却による株価下落を懸念して、日本郵政だけでなくグループ会社の株式の売却を検討される方も多いと思います。現在の株価よりも安いところで買っているのであれば、利益を確定するという意味でも、売却するのも一つの手でしょう。一旦売却してしまい、実際に株価が下落した際に買い戻すというのも選択肢の一つです。

 

しかし、その一時的な株価の下落に左右されずにしっかり売買のタイミングを計ることも大切です。一旦下落した後にどのような流れになるのか。そのまま下がり続けるのか、それとも反発していくのか。

 

前述したように、株価の下支え要因はいくつかあります。そういった部分をしっかり考慮して日本郵政株だけでなく、グループ会社であるゆうちょ銀行とかんぽ生命株の売買のタイミングを狙ってみてください。

 

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