なぜ個人投資家は負けてしまうのか

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『9割の人が株で勝てない本当の理由』という本をご存じでしょうか?
世間一般でそんな本が出るほど個人投資家の株での成績が悪く、「ほとんどの個人投資家が負けている」というイメージは根強いものとなっております。

GMOクリック証券では投資家の成績が公表されておりますが、半数を大きく上回る投資家の年間損益がマイナスとなっており、公然たる事実としても負けている人数が多いことは明らかとなっています。

それでは、なぜ個人投資家が負けてしまうのでしょうか。br その原因を究明し、勝つために一体どうしたらいいのかを考えていきます。

数学的・システム的に考える負ける理由

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仮に株価が横這いだったとしても負ける投資家がいます。

【手数料】【信用取引】
この2点が失敗の主たる原因です。

まずは手数料について説明しましょう。
10万円の株を買い、それを11万円で売ったと仮定します。
11万円からなかなか10万円まで戻らないので、11万円で買いなおしたところ、10万円に下がったので売ったとします。
この場合、10万円で買った株を最終的には10万円で売っているため、取引での損失は0円となりますが、ここに手数料が発生します。

この例では10万+11万+11万+10万の42万円分の手数料が発生し、SBI証券のスタンダードプランなら648円、アクティブプランであっても429円かかります。
10万円の0.4%と少額に見えますが、毎営業日繰り返すと、年間10万円近い損失になり、元金を失います。

1日で何度も取引をする方であれば、取引において利ザヤを得られなかった場合は半年も持たずに手数料で元金を失います。
これがいわゆる手数料負けにあたります。

信用取引に関しては少し説明が難しいため、わかりやすくするために、設定を取引金額が3倍になり、税金は発生しないとします。

信用取引では、株価が20万円→30万円→20万円になるだけの過程で、元金が0円になってしまう危険性があります。

口座に40万円持っている場合、取引金額が120万円となります。
そこで、20万円の株を6単元(株の購入単位)買い、30万円になったので全て売ります。

そうなると合計120万で買った株が180万で売れるため、60万円の利ザヤを得ることができ、40万円の元手が100万円になります。
取引金額は3倍ですから取引金額は300万円となり、30万円の株が10単元買えるため、10単元買います。

さて、ここで30万円の株が20万円になってしまいました。
そうなりますと1単元あたり10万円の損失×10単元となりますので、100万円の損失となります。

取引金額は300万円ですが、元金は100万円であるため、元金が0円になります。
0円の3倍は0円なので、取引金額も0円になります。

仮に口座に80万円あるところからスタートしても、200万円からスタートしても、同じ取引をした場合0円になります。
そのうえ前述した手数料も発生しますので、実際には20万円になる前にすでに0円になっているでしょう。

情報の優先順位、取捨選択がわからない

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「株を買う」ということは「企業に投資する」ということです。
そのため、株に関する情報は非常に膨大となっております。
時価総額、配当金、浮動株数、PER、PBR、財務諸表等々、基本的な数字に関する情報だけでも膨大にあります。

その上、企業のプレスリリース、決算説明資料、既存事業の将来性、新規事業の将来性及び投資予定金額、取引先の景気、円安・円高による影響、原油価格の影響、大株主の売買傾向など…。
一度調べ出すと情報量が無限にあるように感じられるでしょう。

個人投資家は、そういった数多にある情報の中から取捨選択し、何が大事なのかを見なければなりません。

  • ・PBRが低いので割安株だから「買い」だ。
  • ・株式分割をするので「買い」だ。
  • ・バイオ株で現金よりも今期予想の赤字額の方が大きい、これは増資が来るのでそのあとに買おう。
  • ・この株は配当金は高いが、今期限りの記念配当なので配当狙いは危険だ。

上記のように、さまざまな考えがあります。
そういった中で、一個人が最善の判断を下すということはまず不可能です。

対戦相手がプロだという認識を持つ

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株は買手と売手がいて初めて取引が成立します。
つまり、人対人の取引となるわけです。

そして、株で負け続けている人は取引金額が減り、勝ち続けている人は取引金額が増えていきます。

それだけではなく、証券ディーラーを持ち、株式市場に参入しているところも多くあります。
その中でも、海外企業では「J・P・モルガン」や「ゴールドマン・サックス」等は空売り(株を借りて売り注文を出すこと)で仕掛けることも多くあります。

株はFXと違ってゼロサムゲームとはなりません。
買い注文で利益を出す場合は誰も損をしないケースが多くありますが、空売りで利益を出すためには、多くの場合は買手がその分損をしています。
そして、その損をする相手のほとんどが個人投資家であるわけです。

株では予想だにしない特損や株式分割など、運の要素もあります。
そのため、ディーラーが損をして個人投資家が得をする場面もあります。

そういった関係性は、麻雀のプロと素人との関係に近いと思われます。
運が良ければ勝つこともありますが、何度も何度も繰り返しやっていくうちに徐々に徐々に負け続け、気が付いた時にはもう手遅れになっているでしょう。

期待値は総じてマイナスだと言えます。
そもそも、プロを相手に同じ土俵で勝負をしようということが間違っているわけです。

個人投資家である強みを発揮して生き残る

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では、個人投資家は株をすべきではないのでしょうか?
負ける可能性が高い勝負をしなければならないのでしょうか?

いえ、そういったことはしなくていいでしょう。
個人投資家は、個人投資家にしかない強みを最大限に発揮すればよいのです。

個人投資家とディーラーの違いを考えた場合、最も大きな違いは取引スパンです。
ディーラーは他人のお金を預かって運用しています。
その中から自社の利益も生み出さなければなりません。

つまり、取引における越えなければならないハードルが非常に高いうえに、長期間のスパンで考えることができないのです。
ハードルを越えるために取引をし続けなければならないのです。

個人投資家は自分のお金を運用しています。
ほとんどが余剰資金で運用していることでしょう。

もしも生活費や借金で運用している方がいるようでしたら、まずは余剰資金を作るところから始めないといけません。
余剰資金で運用しているため、年間何%の利益を上げなければならないという必要性はありませんし、取引に制限もありません。

極端にいってしまえば、1年間何の株も買わなかったとしても全く問題がありません。
とある有名な個人投資家が、「現状の新興株はバブルになっている」と言っていました。

そんな状況の中でもディーラーは取引をしなければなりませんが、「バブル状態だと判断されているならば買うのはやめよう」と個人投資家ならできるわけです。

取引金額の低さを最大限に生かす

ディーラーの取引金額は、数千万どころか億単位になるところもあるほどで、非常に大きな金額となっています。
それに対して個人投資家は数十万、数百万がほとんどでしょう。

取引金額が少ないメリットは2つあります。
1つは、これはもはや有名すぎるところではありますが、「株主優待」になります。

一般的に品物としてもらえる株主優待のほとんどは、優待のもらえる最低単元だけ持つことで最大限のコストパフォーマンスを得ます。
逆に、単元数が多くなるほどコストパフォーマンスは悪くなっていきます。
そもそも、ディーラーは株主優待を得ることを目的とはしません。

もう1つは、小型株や不人気株を買っても処分ができないことです。
例えば、フェニックスバイオという株は、4月28日の出来高が3,300株で株価が1,543円のため、28日取引金額は500万円ほどしかありません。

ここで、ディーラーが1,000万円分株を持っていたら、売るだけで200円も300円も株価が下がってしまう可能性があります。
極端な売りを見て他の投資家も「何かあったのでは?」と売りに売りが相次ぎ大暴落するかもしれません。

そのため、本来1回の注文で500万円動かすディーラーであったとしても、小型株や不人気株は50万円ずつ動かさなければならなかったりすることになるので、触れないことがほとんどです。

一方、個人投資家は15万円分だけの取引をすることに何の問題もありませんから、1単元だけ売ることができます。

他にも

以下のように、投資家には色々な差異があります。

  • ・ディーラーはインターネットなどで情報を収集できない環境で取引せざるを得ない
  • ・個人投資家ならば地元企業を実際に見て信頼できるところを買う
  • ・業種を完全に絞って研究し尽くすことが個人投資家ならできる

個人投資家にしかわからないことを最大限の強みとして戦っていくことが、この厳しい株式市場を生き残っていくためには必要なのかもしれません。