NISAと相性のいい投資手法、相性の悪い投資手法

 

投資・資産運用で話題となっているNISAですが、その制度の複雑さから『とりあえず無税でお得』といった考えしか持たずにNISA枠で売買している人は多いのではないでしょうか。

投資は、「投資対象」、「投資期間」、「投資タイミング」の3つの組み合わせから投資手法が作られますが、NISAには相性の悪い投資手法も多くあります。

この記事では、NISAと相性のいい投資手法、NISAと相性の悪い投資手法について解説していきます。

 

f:id:manekai:20170327202646j:plain

NISAで売買すると利益に課税はされないが、損失も通算できない

NISAは覚えることが多くて大変、何度説明を読んでもわからないという方は、NISAとは、『年間120万円の、税金の制度が及ばない租税回避地の枠をもらえる』ものだと考えると理解しやすくなります。

NISA枠で購入した株券は租税回避地で購入したものですから、たとえ株券を売却したとしても、当然株券の売却益に対して課税はされません。同様に配当金に対しても課税されません。

 

重要なのは、『損失が出た時はどうなるか』です。

通常の口座で株券を購入して売却した際、購入価格を下回った場合は損失として、他の株券と利益の相殺をすることが可能です。

更に、その年トータルで損失が出てしまったのであれば、確定申告をすることにより、その年の損失額を翌年に繰り延べること(最大で3年間)が可能です。

これらは、証券税制の上での特例で認められています。

 

しかしながら、NISA枠で損失が発生した場合は、租税回避地での売買の為、当然のごとく証券税制の特例の恩恵を受けることができません。

例えば、NISA枠で購入した株券に100万円の損失が出て、普通枠で購入した株券には50万円の利益が出たという場合では、50万円の利益に対してだけ、20.315%となる101,575円が課税されることになります。

すなわち、年間トータルで大きくマイナスになっているのに、更に税金までとられてしまう、という泣きっ面に蜂の状態になってしまうのです。

 

利益が出た時は天国だが、損が出た時は他の損失との通算ができず地獄となるのが、NISAの特徴と言えます。

 

NISAと相性の悪い投資手法

NISA枠での売買で損失通算が出来ないことは、投資家に大きな影響を及ぼしてしまいます。

例えば、デイトレーダーなどの短期取引を得意としている人の場合、NISA枠の損失通算が出来ないことによって、トータルではプラスになっていても、税金を差し引いた結果、マイナスの運用成績になってしまうことがありうるわけです。

更に、NISAの投資枠は年間120万円しか与えられませんので、デイトレードで行えば、すぐにその年の枠を使い切ってしまうことになるでしょう。

 

では、数か月間位の中期トレードを得意としている人なら、NISA枠を使って売買するのが賢い選択になるのかというと、デイトレードよりはややましになるものの、損失が出た時の通算ができませんので、NISAと相性のいい投資手法とは言えません。

偶々、NISA枠で購入した銘柄が直ぐに材料が出て上がって、利益を確定できて無税に出来たというようなケースも発生しうるでしょうが、運に任せるのは賢い投資家とは言えないでしょう。


更にNISAにはとても大きな弱点があります。

それは、投資判断に大きな狂いを生じる可能性があることです。


例えば、買値から20%下がったらロスカットを行うことを投資ルールにしている人が、NISA枠を使って投資した場合どういった心理に陥るでしょうか。


NISA枠は年間120万円しか枠を与えられません。

その年のなけなしのNISA枠120万円を使って株式を購入して、20%の損失が発生してしまった時、すっぱりと諦め他の銘柄で取り返すという気持ちになるでしょうか。

大半の人は、今年は既にNISA枠を使い切ってしまっているし、NISA枠で購入しているから損失通算は出来ない。ロスカット後に次の銘柄で稼いでも税金がかかってしまうなど思い、「ちょっと惜しい、せめて買値まで戻るまで我慢しよう」「今は一時的に株価が下がっている、買値までに一度戻るのではないか」という感情に支配されるでしょう。

投資をする上で、こういった感情による判断の狂いは非常に危険です。含み損も実現損も投資家にとって代わりありませんから、自分の投資ルールを守りロスカットを行うことが賢い判断となります。

 

自分の投資ルールが崩れるということは、大海原で羅針盤を失うようなもので遭難してしまいます。
ロスカットを迷っている内に損失が30%、40%と膨らみ、嫌になってしまい株価を見ることをやめて塩漬けしていたら、気が付いたときにはIPO銘柄の様に上場当初から10分の1、20分の1の株価になって取り返すことの出来ない損失を抱えてしまうものです。

NISAといえば税金がかからなくなるという意識しかありませんが、損益通算が出来ないことでは大きなデメリットとなります。

自分の得意としている取引手法がNISAと相性が悪いのであれば、NISA枠を使わないというのも判断としては正しいのです。

 

f:id:manekai:20170327203433j:plain

 NISAと相性のいい投資手法

NISAには年間120万円の枠が与えられ、5年間までその枠は継続するといったルールがあります。

5年経ったら枠が消滅して普通枠に移動してしまいますが、5年後には新しい120万円の枠が与えられますので、新しい枠に入れる手続きをとることにより尺取虫のように伸ばすことが出来ます。
毎年120万円の枠が与えられていきますので、1年目に120万円の枠で投資、2年目追加で与えられた120万円の枠で投資・・・・5年目追加で与えられた120万円の枠で投資、6年目は追加で120万円の枠を与えられるが、1年目の枠の期限が切れてしまうので手続きを行い再びNISA枠に入れるといった形で投資を行っていくことにより、最大で600万円のNISA枠での投資を行うことが可能です。


NISAでの投資に相性のいいお勧めの投資手法を3つご紹介します。

 

・安定企業への長期分散投資

NISAは枠と損益通算不可の関係上、何度も売買したり価格変動が激しいIPO銘柄への投資をしたりするよりも、安定企業への長期投資のほうがお得になります。

その間配当される金額も無課税になるため、配当もきちんと出してくれ、かつ価格変動が穏やかな成熟企業への分散投資を行うといいでしょう(伊藤園や大塚製薬などの為替や景気に影響を受けにくいとされる企業がお勧めです)。

 

・手数料の安い株価指数投資信託への長期投資

分散投資と長期投資はNISAとの相性がいいとされています。

最初から投資対象が分散されている株価指数投資信託への投資もお勧めです。

分配金がでる投資信託でしたら普通の株式同様に非課税になります。今の株価は高すぎる、今後下がるのではないかと思われている方はベアファンドをNISA枠で購入する作戦も面白いかもしれません。

 

・毎月少しずつ投資するドルコスト平均法

投資を行う時にいつ買ったらいいかわからないという方も多いのでは無いでしょうか。

そんな方には「ドルコスト平均法」がお勧めです。

ドルコスト平均法とは、金融商品を一度に購入せず、分割して定期的に一定額で購入を行う手法を言います。

NISA枠は年間120万円の枠が与えらますから、120万円÷12=10万円を¥投資していけば、ドルコスト平均法の完成です。購入の日が分散されることにより、適正価格で購入することが可能となります。



投資期間はなるべく長期目線で持つ、銘柄を分散して配当も狙う、投資のタイミングもドルコスト平均法で分けていくといったポートフォリオの作成を行えば、貴方も立派なNISA投資の上級者となることでしょう。

 

f:id:manekai:20170327203833j:plain

NISAと相性が悪いと思うなら無理に使わない判断も大切

NISAは損益通算ができません。枠も有限ですから、回転売買を行えばすぐに枠がなくなってしまい、短期~中期のトレードには不向きであると言えます。

短期~中期のトレードを始めたい、もしくは得意だという方は、NISA枠はお得だから使わないともったいないといった意識を捨てることも一つの考え方です。
一度投資したら5年間以上の長期投資を行うという人は、NISAと相性のいいと言えます。

NISAを上手に使って、無税での恩恵を受け、投資を思いっきり楽しんでください。

筆者:先ず隗より始めよ

現役金融マン。証券アナリストの資格あり。ちょっとマニアックな金融知識やニュースをわかりやすく書いていきます。