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海外への分散投資が理解できれば、鬼に金棒どころじゃないかも

これまで、年齢別のおすすめの資産構成個別株の分析のやり方をお話してきました。今回は視野を広げ、海外への分散投資の必要性について書かせていただきます。なるべく初心者の方にも分かりやすく、かつ投資の基本的(応用可能)な考え方を理解できるような記事を目指しますので、最後までおつきあいください。

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海外投資の対象となる資産の種類

海外への分散投資といっても、そもそもどんなものが投資対象となるのでしょうか。日本にいながらにして投資しやすいものは、以下のような資産があります。

・先進国株式
・新興国株式
・先進国債券(国際機関債、クレジットも含む)
・新興国債券
・海外REIT*1(普通は先進国)

おおむね上記のような資産が、海外金融資産として投資の対象になってきます。この他にも、モーゲージ(MBS)など海外(米国)においては非常にメジャーな金融商品もありますが、日本人投資家であればはじめから無理に投資する必要はないでしょう。

海外株式に投資するならインデックス投資がおすすめ

海外資産へ投資するとして、最初に思い浮かべるのは海外の個別株への投資ではないでしょうか。バフェット*2が率いるバークシャー・ハサウェイ*3だったり、グーグルやアマゾンなど日本にはない魅力的な企業が海外にはたくさんあります。しかし、海外の事情に精通しているなどの特殊な人を除いては、個別株への投資ではなくインデックス投資をおすすめします。インデックス投資とは、日本のTOPIXや日経225のような株式を束ねた指数に投資することで、海外株であれば米国のDAWやSP500、ドイツのDAXなどが一般的です。

前回バリュー投資のお話をしたように、わたしは日本株において、個別株投資も有望だと考えています。それは日本株式の主要プレーヤーである外国人投資家よりも、一部の銘柄については日本人の方が明らかに優位性があると考えているからです。こうした傾向は、主に小売業などに顕著でしょう。日本株での個別株投資の場合、自分の優位性を生かして投資することができれば、インデックスを上回るパフォーマンスをあげることも不可能ではありません。

一方、海外株については一般的な日本人が優位性を持つのは難しいでしょう。誰でも知っているようなグーグルなどの超一流企業に投資するくらいしか方法はなさそうですし、情報源は一般的なニュースや日本の証券会社のアナリストレポートくらい。これでは厳しい戦いが想像されます。

海外株に関して言えば、無理に個別株投資をする(インデックスを超えることを目指す)より、インデックスに投資して海外株というアセットクラス*4が持つ特性の享受を目指すべきと考えます。

海外投資のやり方

海外への投資というと、ハードルが高く聞こえる方は多いかもしれませんが、海外へ投資するのに必要な手続きは、日本株に投資する場合とほとんど変わりません。一般的な日本の証券会社があれば十分です。海外株のインデックスに投資するには手数料、分散投資などの観点からETFで投資するのが一般的です。ETFとは上場している投資信託を指します。

東証にも米国株に投資できるETFが上場しており、国内ETFでも海外投資をできるので、日本株に投資するのと同じような感覚で投資できます。よりマニアックな国や市場に投資したければ海外(に上場している)ETFに投資することもできます。

ネット証券の最大手であるSBI証券では、300銘柄弱の海外株ETFを取り扱っており、楽天証券、マネックス証券なども多数の海外ETFを取り扱っています。なお、ここで挙げたネット証券は、海外の個別株も大量(数千銘柄という単位)に売買できます。

海外投資のメリット

①海外の高いリターンを取り込める

海外投資は一般に日本国内の投資よりも高いリターンが見込めます。アベノミクス相場で急上昇した日経平均株価も、まだバブル期どころかITバブル期を超えることもできていません。一方米国では、先進国としては特異な例ですが、足元のトランプ相場で最高値を更新しています。新興国ではかつての日本の高度経済成長期に相当する局面にある国々があり、魅力的な投資機会を提供しています。

投資の収益機会は、資金不足の市場ほどたくさん存在するので、高成長ゆえに慢性的に資金不足の新興国には、それだけ(理論上の)リターンは高くなります。

資金不足な国ほど収益性が高くなるという理屈は、債券市場でも同様です。むしろ、金利という分かりやすい指標がある分、債券市場ベースで考えた方が理解しやすいかもしれません。

日本やEUのように成長期間が少なく金余りの市場では、短期金利がマイナス圏になっています。一方で資金需要が強い米国では、ゆっくり利上げを進めています。さらに新興国では10%近い金利も珍しくありません(本来的にはインフレを考慮した後の実質金利が重要ですが、その辺の議論は論旨に影響を与えないので省略しています)

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②分散効果を享受できる

上記で説明した海外投資での高い収益性は魅力的ですが、仮にそれが無かったとしても海外資産への投資は行うべきです。リターン水準が日本の資産と海外の資産が同様だったとして、それでも海外に投資する理由は何でしょうか。

その理由はリスクを日本だけに集中させないためです。トヨタ株とキヤノン株に投資して分散投資したとしても、その意味合いは小さいでしょう。両社とも生産基盤を日本に多く抱えていて、為替の変動には同様のリスクを受けるためです。

一部の固有リスクは分散できるものの、共通の性質(この場合は為替変動リスク)を持つことによるリスクヘッジは十分ではないです。トヨタ株とキヤノン株に、ファーストリテイリングやニトリなど内需株を加え、日本国債などを加えれば改善はするものの、日本に資産を集中させているリスクを解消するには至りません。

例えば、日本が輸入に頼っている原油価格が極端に急騰(適度な上昇はリスク選好の回復で株価上昇につながるケースもある)した場合、国内が大混乱に陥って(日本の交易条件が極端に悪化して)日本株は大きなダメージを受けるでしょう。日本株だけの分散投資では、十分ではないのです。

上記のポートフォリオに、資源国の豪州株インデックスや、資源企業が大きなシェアを占めている英国株インデックスなどを加えるとします。そうすることにより原油高をプラスにかえて、日本株のダメージを補ってくれることが想定できます。

今回の例は原油価格の急上昇でしたが、こうしたリスク要因はたくさんあります。幅広くいろいろな国に投資することがあなたの資産を守ることにつながります。トランプ次期大統領が日本企業の利益を一部、米国企業に移しかえるような政策をとったとしても、米国株を持っていれば安心ですよね。

こうした分散の話をするとプラスとマイナスで、結局手元に残る利益がなくなるのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、株式も債券も長期ではプラスのリターンの性質をもっています。そのプラスのリターンは通常、無リスク金利*5よりも高いです。

複数の資産を組み合わせると……

ここまでで挙げた例を教科書的にまとめるなら、複数の資産に投資したポートフォリオを作った場合、以下の性質を持つと言われています。

リターン(収益率)は個別資産の(加重)平均値になるリスク(標準偏差)は個別資産の(加重)平均値未満になる

リターンが平均になりリスクが平均値未満になるのであれば、リスク対比でみたリターンは改善しますよね。これが分散投資の効果です。

複数の資産を組み合わせたとき、リスクはその加重平均値を下回ると説明しましたが、どの程度下回るのかは、それぞれの資産の相関係数が低いほどリスクの減少が大きくなります。仮に相関係数がマイナス1の資産同士を組み合わせれば、リスクはゼロになります。こうなるとリスクなしでリターンのみを享受することができます。

相関係数がマイナス1ということは完全に逆の動きをする資産ということです。こんな組み合わせがあったとしたら完全な裁定機会*6ということで、おいしいフリーランチが存在していることになります。

実際にそんな機会は存在しませんが、相関係数が低い資産同士の組み合わせが有効なことは分かっていただけると思います。海外資産に投資する必要性は、日本の資産に対して相関係数が低い資産にも投資し、高い分散効果を得るためと言えます。

*1:不動産投資信託

*2:「オマハの賢人」と称される著名な投資家ウォーレン・バフェット

*3:世界最大の持ち株会社。英語表記:Berkshire Hathaway Inc.

*4:同じようなリターンやリスク特性を持つ投資対象の資産種類

*5:理論的にリスクがゼロか、極小の無リスク資産から得られる利回り

*6:複数の市場や商品の価格差を利用して利益を得る取引の機会

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