CMでやっている「過払い金」って何?

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過払い金って知っていますか?
一時期多くの消費者金融が過払い金返還請求を起こされ、社会的な問題に発展したので記憶に残っている方は少なくないでしょう。

そこで質問です。
過払い金が発生するのは消費者金融だけだと思っていませんでしたか?

おそらく、当時のニュースなどでクローズアップされたのが消費者金融ばかりだったため、そう思っている方は少なくないでしょう。
しかし、過払い金が発生するのは消費者金融ばかりではなく、クレジット会社や大手デパートカードなどのカード会社も含まれています。

最近は法律事務所による過払い金請求のCMが流れているので、まだそんな請求やっているのかと思っている方もいるでしょうが、もしかしたら他人ごとではないかもしれません。
実際にテレビ番組でこの過払い金問題が取り上げられ、下記のような実情を公表していました。

・依頼者4万9千人に平均93万円の過払い金が見つかった。
・過払い金返還によって約半数の借金が0円になった。
・対象者の約70%が過払い金に気づいていない。

この事実を目のあたりにして驚かれる方は意外と多いでしょう。
今、「自分も、もしかしたら」と思った方はいるのでは?

そこで今回は、過払い金に関してよく理解してもらうため、「過払い金とは何か?」、「どういった理由でそんなものが発生したのか」、「どうやって過払い金として認められたか」、その疑問をわかりやすく説明しましょう。

過払い金とは?

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過払い金を簡単に説明すると、払い過ぎた利息のことです。
2010年までの5年以上前に消費者金融やクレジット会社、大手デパートカード等で借入をした経験がある方全員が過払い金の対象となります。

それでは何で過払い金なんてものが発生したのでしょうか?
これは、各業者が利息制限法で定められている上限を超えた金利で利息請求を行っていたからです。

「法律を破ったならそれって犯罪じゃ?」と思う方は多いでしょう。
しかし、その当時は「法律違反であって法律違反ではない」というあやふやな状態にありました。

実際、過払い金が発生している業者はどこも名の通ったところも多く含まれています。
そんな大手の金融業者が、犯罪と分かっていて堂々と違法金利で貸付するわけがありません。

当時は利息制限法で定められている上限金利を超えた利息請求をしても違法とならない理由があったのです。
それでは、次はそのあやふやな状態を生み出した原因について説明していきます。

出資法と利息制限法

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当時の貸金業者が消費者に貸し付けを行う際に金利設定で遵守しなければならない法律は下記の2つがありました。

・出資法
・利息制限法

出資法は刑法で利息制限法は民法と、法律の性質は違っていますが、この2つの法律が共存していたことがあやふやな状態を生み出します。
実はこれら法律に定められている上限金利は下記のように全く違います。

・出資法   29.2%
・利息制限法 貸付額によって15、18、20%の3段階

民法の利息制限法では上限金利が最大で20%に設定されているのですが、刑法の出資法においては29.2%までの金利設定が可能となっています。

ここで問題となってくるのが、利息制限法内で定める金利を超えた設定をして民法では違法となっても、29.2%を超えなければ刑法では違法でない点です。

これって違法なのでしょうか?それとも違法じゃないのでしょうか?
じつは、これは民法と刑法という法律の性質が大きく関係していきます。

刑法は犯罪を罰するために作られた法律です。
よって刑法に違反すれば、自ずと国家権力が発動されて犯人は処罰されます。

しかし、民法は私生活上のルールを定めたもので違反しても民事不介入を原則に国家権力は発動されません。
当事者同士が話し合って問題解決しなさいということですね。
よって、決定を国家権力に求めるには当事者が裁判所に訴訟を起こすしか手はありません。

ここで問題になってくるのが、当時の消費者の法定金利に対する知識です。
質問ですが、あなたは現在の利息制限法の上限金利を知っていますか?

きちんと把握している方は少数でしょうし、利息制限法の存在すら知らなかったという人の方が多いでしょう。
決してばかにしているわけではありません。
普通に生活していればこんな知識は必要ありませんから、知っていなくても当然なのです。

おそらく当時の消費者もそうだったでしょう。
18%を超える金利で利息を請求されても、それがおかしいなんて考えず、銀行より高いと感じるくらいだったでしょう。
よって、消費者は訴訟を起こすこともなく高い利息を支払い続けていたのです。

しかも、当時の貸金業者は利息制限法を超える金利の貸し付けが貸金業法によって認められていました。
これを「みなし弁済」というのですが、下記の条件付きで出資法の上限金利内での金利設定が可能でした。

・消費者が利息として認識して任意で返済している

貸付する時に業者が「利息制限法を超えた金利になりますが、かまいませんか?」なんて聞くはずありませんし、もちろん消費者の方も知ってるはずがないので、両者間でそのような賃借契約が成立していたのです。

こうして、貸金業者は「グレーゾーン金利」とも呼ばれる18%超え~29.2%以下の高額金利を堂々と設定し続けました。

それでは、法律をも味方につけたこのグレーゾーン金利が、どうして現在の消費者有利の立場に変わったのでしょう。
次はその経緯について説明しましょう。

最高裁判所による判決と法改正

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貸金業法に定められたみなし弁済は、消費者を守る利息制限法を全く無視する法律だったため、一部の消費者の間では強い反発もあり、度々裁判で争われることになります。

しかし、裁判所がみなし弁済の適用自体を全面的に否定するほどの判定を下さなかったため、
長らくグレーゾーン金利がなくなることはありませんでした。

ところが、平成18年1月に最高裁判所が下した判決が引き金となって局面は大きく変わります。

この判決は実質的にみなし弁済を完全否定するほどのもので、今までの判決にはみられませんでした。
この判決の内容は、みなし弁済の条件である「支払いの任意性」はみなし弁済においてほとんどありえないというものです。

この判決によって、みなし弁済で利息制限法の上限金利を超える利息を請求していた貸金業者は違法というレッテルを張られることになりました。
また、これを期にして貸金業法を始めとして、出資法と利息制限法の改正の動きが見られるようになりました。

貸金業法

平成22年に完全施行された貸金業法は、下記のように改正されました。

・みなし弁済撤廃
・グレーゾーン金利撤廃と行政処分対象への変更
・総量規制の制定(年収の3分の2以上の貸付禁止)

出資法

同22年に改正された出資法は下記のとおりです。

・上限金利が20%に変更

利息制限法

同22年に改正された利息制限法は下記のとおりです。

・上限金利が貸付額により15%、18%に変更

以上のように、最高裁判所の判決を期に始まった法改正が平成22年に完全施行されたことにより、現在では「グレーゾーン金利で請求されていた利息は本来支払う必要がないもの」と法律で認められ、過払い金請求は消費者の権利と認められるようになりました。
以上、過払い金が発生してから現在に至る経緯です。

過払い金返還請求は貸金業者との話し合いとなり、最悪の場合、訴訟に至るケースもあります。
よって、専門的知識が必要となってくる上、話し合いを有利に進めるためにも専門家の力が必要になってくるでしょう。

もちろん成功報酬という名目で費用は掛かってきますが、ほとんどの場合、100%に近い返還金と過払い金に対する利息返還が可能です。
これらの返還金で今の借金が帳消しになるケースも少なくありません。

無料相談をしている司法書士や弁護士も多いので、心当たりのある方は一度相談してみることをおすすめします。