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社会保険の保険料のからくりを教えます

公的制度 社会保険

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平成29年までの間、給与から引かれる健康保険料・厚生年金保険料が改定されます。

実際には、会社から事前に保険料の控除額が変更になる旨の通知や案内が出るなどしています。

保険料は少しでも押さえたいと思うのが、皆さんの本音だと思います。

今回は、この「保険料」について詳しく見ていきます。

 

保険料の基準になるものは?

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生命保険や損害保険の保険料は、保険の対象や保険契約をする人の年齢などを基準に保険料を決定するものです。

社会保険の保険料の場合は、年齢が基準となるものではありません。

では、保険料は何を基準に決められているのでしょうか?

 

保険料の基準になっているものは、ずばり「給与」や「賃金」などの報酬と呼ばれるものです。

これは、労災保険・雇用保険などの労働保険や健康保険や厚生年金保険などの社会保険の保険料のいずれの場合でも同様です。

(国民年金については、保険料額はあらかじめ法律で定められています。)

 

労働保険の保険料の仕組み

労働保険とは、労働災害補償保険(労災保険)及び雇用保険のことを指します。

労働保険は、「賃金総額」にそれぞれの保険料率を乗じた金額が保険料として給与から控除されますが、給与から実際に控除されているのは「雇用保険料」のみです。

労災保険料は「全額事業主負担」となるため、給与から労災保険料が控除されることはありません。

 

労働保険の保険料には大きく6種類の保険料があります。

 ①一般保険料(労災保険・雇用保険)

 会社に勤めている人などが支払っている保険料は、この「一般保険料」にあたります。

②第1種特別加入保険料(労災保険)

 中小事業主の方が労災保険に特別加入(本来は労災保険には加入できないですが、申請することで特別に加入することをいいます。)をしたときに、支払う保険料のことを指します。

③第2種特別加入保険料(労災保険)

 一人親方等(従業員を雇わず、1人で業務を請け負う形態をとっている事業主のこと)の方が労災保険に特別加入をしたときに支払う保険料のことを指します。

④第3種特別加入保険料(労災保険)

 海外派遣者が労災保険に特別加入したときに支払う保険料のことを指します。 

⑤印紙保険料(雇用保険)

 日雇労働被保険者と言われる人の保険料のことを指します。

⑥特例納付保険料(雇用保険)

 保険料の消滅時効である2年を経過後に一定の事業主が納付することができる保険料のことを指します。

 

雇用保険は、一部を折半負担する形で納付しています。

雇用保険の保険料は「一般保険料部分」と「雇用保険二事業部分(雇用を促進するための助成金制度などを行う事業のことを言います。)」に分かれています。

労働者は「一般保険料」の部分を折半負担しているため、雇用保険料については、年金や健康保険に比べると少ない金額が控除されていることになります。

 

健康保険の保険料の仕組み

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健康保険は、実は加入している運営団体によって、保険料が若干違うことがあります。

なぜ、違いが生じているかについて確認していきます。

 

健康保険は「協会けんぽ」と「組合健保」の2つの運営団体が存在します。

 

①協会けんぽ

協会けんぽは、正式には「全国健康保険協会」と言われるものになります。

元々は「旧社会保険庁」が運営を行っていたものでしたが、平成20年に社会保険庁が解体された際に「全国健康保険協会」が誕生しました。

 

協会けんぽの加入対象者は「全国にある、健康保険に加入義務がある事業所で勤めている人」となります。

そのため、保険料についても全国で一律に算定方法が統一されています。(保険料率「3%~13%の間」と法令上定められています。)

しかし、平均寿命や加入者数などを総合的に考慮して保険料率に調整がかかるため、保険料が高いところと低いところとが出ています。

②組合健保

組合健保とは「健康保険組合」が運営している健康保険制度です。

組合健保の場合に関しても、保険料については協会けんぽと同じように保険料率が法令上で定められています。

組合健保の場合はその所属している組合の中で適用される保険料率を規約で定めているので、組合ごとに保険料率が異なることがあります。

 

ちなみに、どちらの健康保険に加入しているかについては、保険証の下の部分の「保険者名称」と記載されている箇所に、加入している健康保険の団体が記載されています。

 

具体的な保険料の金額を算定する際の基準は「給料等」という点は同じです。

保険料を算定する際の保険料率には違いがありことは先ほど述べた通りですが、保険料を算定する際の基準となる金額(保険料率を乗ずる金額)はなんでしょうか?

 

協会けんぽも組合健保も共通しているのが「報酬」を基準としているという点です。

「報酬」とは、簡単に言うと「給料など」を言います。

この報酬を基準に保険料が決められているということになります。

もちろん、給料が高い人の方が、保険料を多く差し引かれることは言うまでもありません。

なお、「報酬」については、現在50段階に設定されています。

 

年金の保険料の仕組み

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年金の保険料については、国民年金と厚生年金保険とでは保険料の算定方法が大きく異なっています。

①.国民年金の保険料の仕組み 

国民年金の保険料は「第1号被保険者」が支払うものです。

国民年金の保険料は他の保険料とは異なり「法定水準額に保険料改定率を乗じることで算定している」ということです。

健康保険や労働保険などとは異なり、保険料の水準があらかじめ法令で定められているという点が大きく異なります。

 

具体的には、平成16年の保険料額(月額13,300円)を基準にして、毎年「280円」保険料が引き上げられていき、平成29年度からは「16,900円」で保険料額の水準が固定される形になっています。

 

保険料改定率とは、その年度の保険料額を正しい水準に調整するために乗ずる調整割合のことです。

これは、前年度の保険料改定率に「名目賃金変動率(物価変動率や実質的な賃金の変動率を考慮して算定した割合)」を乗じて求められているものになります。

そのため、前年に比べて、保険料が上がったり下がったりすることがあります。

②厚生年金保険の保険料の仕組み

厚生年金保険の保険料は健康保険料と同じく「報酬」を基準に算定されます。

厚生年金保険の保険料は、保険料率が段階的に引き上げられていく仕組みをとっており、被用者年金制度一元化が行われた関係で、共済制度に加入している人についても、将来的には保険料率が統一される仕組みになります。

 

現在、厚生年金保険の保険料算定の基準となる「報酬」は全部で30段階に設定がされており、現状の年収などをベースに、基準となる報酬が決まっています。

 

具体的には、従来の厚生年金保険に加入している人は「平成29年9月から」、公務員の人は「平成30年9月から」、私立学校の教職員については「平成39年9月から」同じ保険料率の水準(18.3%)に統一される形になります。

 

まとめ

・労働保険で給料から控除されているのは「雇用保険料」のみで、基本的に折半負担とされています。

・健康保険は協会けんぽと組合健保の2つが運営しており、保険料率の算定方法などはそれぞれで異なる点があります。

・健康保険の保険料率の算定の基準は「報酬」等です。

・年金の保険料は、国民年金は「保険料額の水準が決まっている」のに対して、厚生年金保険は「保険料率の水準が決まっている」部分が大きな違いとなっています。

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