目的別に分けるとうまくいく!貯金のモチベーションを上げる「資金の4分類法」とは?

お金というものはあればあるほど安心できるものです。しかし、「あれば安心だから」で資産の形成が出来る人というのは一体どれくらいいるのでしょうか?貯金するべきだとは頭でわかっていても、中々行動には移せない…そんな人もきっと多いはずです。生きていくのに必要な資金を4つに分け、それぞれに優先順位を付けることで、貯金へのモチベーションを上げることができます。

「目的なしの貯金」が出来る人は世帯を問わず少ない

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金融広報中央委員会が毎年行っている「家計の金融行動に関する世論調査」の平成27年版によると、何らかの金融資産を保有していると答えた人は、2人以上の世帯で69.1%、単身者世帯で52.4%という結果になりました。そのうち預貯金がある人の割合は2人以上世帯が81.4%、単身者世帯が97.1%、平均預貯金額はそれぞれ643万円と374万円でした(あくまで「平均」なので、「中央値」を取るとまた違う結果が出るでしょう)。

2人以上の世帯で預貯金額が多いのは、単身者に比べて中高年層の割合が多く、単身者世帯には貯蓄を始めて間もない若年層が多いものと推測できます。また、いずれの世帯とも株式や債券など、預貯金以外の金融商品を保有している人は一定の割合で存在しますが、特に貯蓄性のある生命保険(学資保険や養老保険など)に加入している割合の高さでは、両者に15ポイント以上の違いがありました(2人以上世帯52.0%、単身者世帯35.8%)。これは、扶養家族がいる世帯故のリスク管理意識の高さ、翻っては単身者世帯ならではの身軽さによるものでしょう。

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続けて、それぞれ「金融資産を保有している」と回答した世帯に向けて問われた「金融資産の保有目的」についての回答を見てみましょう(複数回答)。回答の多い順に見てみると、2人以上世帯が金融資産を保有する目的は「老後の生活資金に充てるため(66.5%)」「病気や不時の災害のときに備えるため(63.7%)」「こどもの教育資金にあてるため(29.4%)」となり、「特に目的はないが、あれば安心なので金融資産を保有している」と答えた人は22.5%にとどまりました。

一方、単身者世帯の金融資産の保有目的は多い順から「老後の生活資金に充てるため(53.2%)」「病気や不時の災害のときに備えるため(46.8%)」「とくに目的はないが、金融資産を保有していれば安心なため(31.9%)」という結果になりました。

この結果だけを見て「単身者世帯は2人以上世帯に比べて、無目的でも資産形成ができる!」という結論を導くのは勇み足です。そもそも金融資産を保有している割合は、2人以上世帯の方が高かったはずですよね。というわけで、全体における「特に目的なく資産形成が出来ている人」の割合は、それぞれの世帯別で見れば以下のようになります。

2人以上世帯:69.1%×22.5%≒15.5%
単身者世帯:52.4%×31.9%≒16.7%

いかがでしょう。1.2ポイントの差こそあれ、ほとんど同じという結果になりました。つまり、100世帯あればそのうち15世帯か16世帯は、単身者か家族と同居かに関わらず「特に目的なく、貯金などの金融資産を保有することができる」ということになります。これは裏を返せば、全体の約85%を占める多くの世帯にとって「無目的での資産形成は難しい」ということでもありますね。

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ここまで長々と、世論調査の結果を引用して書いてきましたが、「貯金のための貯金」がいかに難しいかは、多くの人が実感としてよくご存じだと思われます。目的のない貯金は、いわばゴールの見えないマラソン、頂上の見えない登山のようなもの。かと言って、「目指せ1000万円!」などとキリの良い目標額を設定してみても、その額に根拠がなければ撤回や挫折も早くなってきます。

行動経済学においては、人間は先延ばしにされた利益ほど実際より小さく感じてしまうということが分かっています。例えば「明日1万円もらえる」「1年後に10万円もらえる」のどちらかを選択しろと言われると、つい前者を選んでしまう人が多いのだそうです(これを「遅延割引」または「遅延報酬の価値割引」などといいます)。これに打ち勝ち、将来に向けて堅実に貯蓄していくために、必要なことは何でしょうか?

資金の持つそれぞれの性格を理解しよう

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月単位の家計のやりくりの手法として有名なものでは、「封筒などに小分けにして管理する」というものがあります。月初めに、食費はこれだけ、被服費はここから、などと費目別に封筒を作成する、あるいは週数で割った分のお金を小分けにして一週間に使える額をあらかじめ決めてしまうというものです。出費と貯蓄は一見正反対のようですが、どちらも家庭の経済活動には変わりありません。この手法を、貯蓄にも応用できるのではないでしょうか。

日本FP協会は、手持ちの資金を以下の4つに分けて考えることを提案しています。重要になるのは、「優先度の高さ」「期限の有無」です。

生活資金:生活費など、日常の消費に使うお金
使用予定資金:今後10年以内に使う予定のあるお金
余裕資金:10年以内には使う予定がないお金
緊急資金:不測の事態に備えるお金

このうち、1.の生活資金は生きていくうえで必要な流動的資金であり、4.の緊急資金は優先的に扱われるべき資金です。どんなに貯金がなくても、給料日後には「生活資金」が口座に入っていなければなりません。また、もし現在の貯金額がゼロであれば、まずは「緊急資金」を貯めることを目標にすればよいということになりますね。

緊急資金は生活費の3カ月~1年分程度が目安です。たとえば失業した場合、自己都合での退職から失業手当が受給できるまでには3カ月の猶予期間があるので、少なくともそれまでの生活費があれば安心ということですね。再就職までに少し時間がかかったとして、半年~1年分の蓄えがあればさらに安心というところでしょうか。

4分類のうちの残り2つは、マイホームや車の購入、結婚資金など特定の使用目的を10年以内に控えている「使用予定資金」、そしてこれら3種類のいずれにも該当しない「余裕資金」になります。特定の目的を持たない資産形成の場合は「使用予定資金」は除外していいので、「生活資金」と「緊急資金」を確保した残りのお金はすべて「余裕資金」に回していいということになりますね。

まずは「緊急資金」をスモールステップで増やすところから始めよう!

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例え、「将来のためだから、あればあるほど困らないし、貯金しないと…」というお説教を身近な年長者からいただこうと、「老後までに○○万円必要です!」という雑誌などの文言に危機感を煽られようと、自分自身が心底必要性を感じない限り、まとまった資産の形成は簡単ではありません。また、単身者であれば特に「貯蓄の目的がないのなら、今好きなように使った方がずっと有意義なはず!」などとあるだけ消費してしまい、後々悔やむことも…。

そんな方にこそおすすめなのが、これから貯金しようとするお金を全額「緊急資金」と決めてしまうことです。そして、初めは生活費の3カ月分を目標額にし、達成したら半年分、9カ月分、1年分…と、徐々に目標額を引き上げていきましょう。生活費の1年分が貯まるころには、すっかり貯金の感覚が身についているはずです。貯まった分はきっちり守りつつ、新たに余裕資金を形成して投資などに挑戦するもよし、今まで思いつかなかった使い道のために新たに貯金をするのもよし。そのまま、もう1年分の生活費に挑戦するのもいいかもしれません。いずれにせよ、目標額に到達したという達成感と、まとまった資金を形成できたという事実は、あなたに自信と新たな視点を与えてくれるはずです。 

まとめ

・「あれば安心」だけでは、人はなかなか貯金が出来ない
・生活資金→緊急資金→使用予定資金→余裕資金の順に資産形成をしよう
・まずは緊急資金をコツコツ増やし、貯金体質になろう