住宅ローンの繰り上げ返済は本当にお得?効果的な利用法やタイミングを解説

住宅ローンの繰り上げ返済は本当にお得?効果的な利用法やタイミングを解説

住宅ローンはできるだけ早く完済したいものですよね。そのために、繰り上げ返済を利用したいと考えている方は多いはず。けれど、繰り上げ返済をすると本当にお得を実感できるのでしょうか?

この記事では、住宅ローンの繰り上げ返済について解説。効果的な利用法やタイミングなどについて、わかりやすくお伝えしていきます。

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住宅ローンの繰り上げ返済とは?

住宅ローンを利用する方のほとんどが「少しでも繰り上げ返済をして早く返済を終わらせよう」と考えているかもしれません。しかし、そもそも住宅ローンの繰り上げ返済とはどういうものなのか、正しい意味をごぞんじでしょうか?

まずは、住宅ローンの繰り上げ返済が指す意味を説明します。

まとまったお金を前倒しで返済すること

住宅ローンの繰り上げ返済とは、住宅ローンの契約時に決められた支払い方法やタイミング以外で返済をおこなうことです。

繰り上げ返済したお金はすべて元金に充当されます。そのため、繰り上げ返済のお金が増えるほど、将来支払う利息を減らしたり返済期間を短くしたりすることができます。

借入れ金額が高額になりやすい住宅ローンでは、ローンの全額を返済する繰り上げ完済を選ぶ方はほとんどいません。そのため、この記事における繰り上げ返済は、ローンの一部を返済する一部繰り上げ返済を前提とします。

住宅ローンの繰り上げ返済には2種類あり

住宅ローンの繰り上げ返済には、返済期間短縮型と返済額軽減型の2種類の方法があります。それぞれに期待される効果が異なるので、どちらの方法を選ぶか、あらかじめ検討するのがおすすめです。

それでは、住宅ローンを繰り上げ返済するときの2種類の方法について、確認しておきましょう。

返済期間短縮型

返済期間短縮型は、毎月の返済額はそのままに、借入れ期間を短くする方法。住宅ローンを少しでも早く完済したい方におすすめです。

そして、返済期間短縮型は借入れ期間を短くするだけがメリットではありません。

借入れ期間が短くなるということは、将来支払う予定の利息の削減もできるということ。たとえば、返済期間が30年の場合、繰り上げ返済で返済期間を3年短縮すると、結果として3年分の利息も払わなくて済むのです。

そのため、返済期間短縮型にすると、トータルの返済額を大幅に圧縮できる可能性があります。

返済額軽減型

返済額軽減型は、借入れ期間はそのままに、毎月の返済額を軽減する方法。家計にかかるローンの負担を軽くしたい方におすすめです。

住宅ローンでは、毎月の返済額を一定にできる元利均等返済を選ぶ方がほとんど。返済期間中はずっと返済額が変わらないので返済計画は立てやすいものの、家計の状況によっては支払いが大変になることもあるでしょう。

子どもの教育費などでお金のかかる時期には、返済額軽減型を上手に活用するといいですね。

住宅ローンの繰り上げ返済はここまでお得!シミュレーションで確認!

住宅ローンの繰り上げ返済をするには、ある程度まとまったお金が必要。それなりの出費がある以上、効果をしっかりと実感したいですよね。

そこで、住宅ローンの繰り上げ返済は本当にお得なのか、具体的なシミュレーションから確認していきましょう。

シミュレーションの条件(※)
  • 住宅ローンの借入れ金額は3,000万円
  • 住宅ローンの借入れは35年の固定金利1.5%(元利均等)
  • 毎月の返済額は91,855円(ボーナス払いなし)
  • 繰り上げ返済は住宅ローン返済開始から5年後に300万円
(※)本シミュレーション結果は参考値になります。目安としてご利用ください

返済期間短縮型の繰り上げ返済シミュレーション

返済期間短縮型を選んだ場合、毎月の返済額は現状と同じで91,855円のままです。

その代わり、繰り上げ返済した300万円がローン元金から差し引かれ、残りの返済期間は25年11カ月に。つまり4年1カ月の期間短縮につながります。

すると、予定よりも早く完済できるだけではなく、本来なら支払う予定だった4年1カ月分の利息も支払わなくて済むのです。その総額はなんと1,556,488円!

約156万円もの支払いから解放されるとなると、返済期間短縮型による繰り上げ返済の効果はかなりのものといえるでしょう。

返済額軽減型の繰り上げ返済シミュレーション

返済額軽減型を選んだ場合、残りの返済期間は現状と同じで35年のままです。

その代わり、繰り上げ返済した300万円の分、毎月の支払い額が軽減されます。その結果、繰り上げ返済は81,478円となり、月当たり10,377円の軽減につながります。

返済期間が変わらない返済額軽減型は、毎月利息の支払いを続ける分、利息の圧縮効果はそれほど大きくありません。とはいえ、繰り上げ返済しない場合と比べると、トータルで725,093円もの利息を削減できます。

返済期間短縮型と返済額軽減型、どちらにメリットがある?

返済期間短縮型と返済額軽減型のシミュレーション結果(※)は以下のとおりです。

返済期間短縮型と返済額軽減型
繰り上げ返済の種類 返済期間短縮型 返済額軽減型 繰り上げ返済しない
残りの返済期間 25年11カ月(4年1カ月の軽減)
35年 35年
毎月の返済額 91,855円 81,478円(10,377円の軽減)
91,855円
利息軽減額 1,556,488円 725,093円
(※)本シミュレーション結果は参考値になります。目安としてご利用ください

このシミュレーション結果からわかる、返済期間短縮型と返済額軽減型のそれぞれのメリットについて、さらに詳しくお伝えしていきましょう。

返済期間短縮型は利息を大きく軽減できるのがメリット

返済期間短縮型は、300万円のお金を投じることで約156万円もの支払い軽減につながりました。このシミュレーションから、返済期間短縮型は利息軽減効果が大きいとわかります。

また、返済期間を短縮できることから、リタイア後のライフプランを立てやすくなることも大きなメリットといえるでしょう。

返済額軽減型は毎月の返済額を抑えられるのがメリット

返済額軽減型は、繰り上げ返済をした直後から毎月の返済額を減らせます。繰り上げ返済による効果をすぐに実感できるので、やりがいを感じやすい方法といえます。

300万円の繰り上げ返済額に対して、毎月約1万円の返済額軽減はそれほど大きな効果とは感じられないかもしれません。けれど、毎月の負担を抑えつつ、約73万円分の利息を圧縮できるため、家計に大きく役立つはずです。

それぞれのデメリットにも注意を

将来的なメリットの多い返済期間短縮型ですが、繰り上げ返済をしても毎月の返済額は変わらず、すぐには効果を実感できないのがネックです。

一方の返済額軽減型は利息軽減効果がやや少ないのがデメリット。上のシミュレーションなら、返済期間短縮型に比べると約83万円も軽減される利息が少なくなります。

コストだけで考えると大きな利息軽減効果の得られる返済期間短縮型が魅力でしょう。しかし、シミュレーションから、返済額軽減型でもそれなりの利息を軽減できることを見逃してはいけません。

どちらの方法を選ぶかは、そのときの家計状況から判断することが大切です。

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住宅ローン控除のほうがお得になるケース

住宅ローン控除とは、新居への入居から10年間(※)で最大400万円(もしくは500万円)の税金が控除される制度。マイホームを購入する方のほとんどが利用する大型の節税制度ですが、繰り上げ返済との併用には注意が必要といわれています。

そこで、住宅ローンより住宅ローン控除のほうがお得になるケースを解説します。

(※)住宅ローン控除の控除期間は、適用消費税率が10%かつ令和元年10月1日から令和2年12月31日までに入居した場合は13年間となります

住宅ローンの借入れ金額が大きい場合や金利が低い場合

住宅ローン控除は、年末時点の住宅ローン残高の1%相当を所得税などから控除する制度。言い換えると、住宅ローン残高が大きいほど節税効果が高くなるのです。

ただし、宅ローン残高の上限は4,000万円(一部住宅は5,000万円)と決まっているので、上限を超える金額については繰り上げ返済をしても制度に影響しません。

借入れ金額が4,000万円(あるいは5,000万円)に満たないときには、住宅ローン控除を終えたあと、11年目以降に繰り上げ返済を始めるのがおすすめ。10年である程度まとまった返済資金を貯めておくといいですね。

ただし、住宅ローン控除の税額控除率は1%。1%以上の金利で住宅ローンを組んでいる場合、住宅ローン控除額よりも繰り上げ返済による利息軽減効果のほうが高くなります。

繰り上げ返済と住宅ローン控除の比較シミュレーション

先ほどのシミュレーションと同条件(借入れ金額3,000万円/35年固定金利)で、繰り上げ返済(返済期間短縮型)住宅ローン控除を比較してみましょう。5年目から300万円の繰り上げ返済をする場合と10年間繰り上げ返済をせずに住宅ローン控除をフル活用した場合をシミュレーション(※)します。

住宅ローン金利によっても結果に差が出るため、1.5%金利0.5%金利でそれぞれ表にまとめました。

住宅ローン金利1.5%の場合
繰り上げ返済の有無 5年目に300万円の繰り上げ返済 繰り上げ返済なし(住宅ローン控除をフル活用)
住宅ローン控除による節税額 246.7万円 262.1万円
利息軽減額 157.2万円 119.2万円
合計金額 403.9万円 381.3万
住宅ローン金利0.5%の場合
繰り上げ返済の有無 5年目に300万円の繰り上げ返済 繰り上げ返済なし(住宅ローン控除をフル活用)
住宅ローン控除による節税額 241.3万円 256.0万円
利息軽減額 45.0万円 35.2万円
合計金額 286.3万円 291.2万円
(※)本シミュレーション結果は参考値になります。目安としてご利用ください

上の表からわかるとおり、住宅ローンの金利が1.5%のときには、繰り上げ返済をしたときのほうが削減できるコストが約22.6万円も高くなります。

一方で、金利が低くなると、わずかながら、住宅ローン控除をフル活用するほうにメリットがあるようです。

繰り上げ返済のタイミングはいつ?

家計の状況や住宅ローン控除の内容などにより、住宅ローンの繰り上げ返済におけるベストタイミングは異なります。シミュレーションも大切ですが、基本的な見極め方を知っておくと、タイミングを見誤りにくくなるはずです。

そこで、住宅ローンの繰り上げ返済をするべきタイミングについてお伝えします。

利息を減らしたいなら早めのタイミングが肝心

住宅ローン控除の期間を考慮する必要があるとはいえ、繰り上げ控除は早いタイミングでおこなうほど利息軽減効果を高めることができます。

多くの方が利用する元利均等返済では、当初は金利の割合が高いものの、返済が進むうちに元金の割合が高まります。繰り上げ返済は元金に充当されるため、タイミングが遅れるほど利息への影響が低くなるのです。

5年目と15年目の利息軽減額の比較
繰り上げ返済のタイミング 5年目に300万円を返済 15年目に300万円を返済
利息軽減額 1,556,488円 938,846円
軽減される返済期間 4年1カ月 3年6カ月

上記は、先ほどまでと同様、借入れ金額3,000万円で35年固定金利1.5%の住宅ローンを利用している場合のシミュレーションの目安です。

繰り上げ返済の額は同じ300万円であるにもかかわらず、返済が5年目か15年目かの違いによって、圧縮できる利息には約62万円もの差が出てしまいます。

トータルで考えると住宅ローン控除終了後のタイミングがベスト

できるだけ早いタイミングで繰り上げ返済をすることが、住宅ローンによるコストを削減する最善の道です。とはいえ、住宅ローン控除はかなり大きな節税制度で、利用しない手はありません!

借入れ額が住宅ローン控除の上限を超えないのであれば、最長10年の控除期間はしっかり節税をおこなうのがおすすめ。住宅ローン控除を終えると同時にすみやかに繰り上げ返済をおこなえば、住宅ローンによる負担を効果的に削減できるでしょう。

繰り上げ返済をしたほうがいいケース、しないほうがいいケース

繰り上げ返済という言葉ばかりがひとり歩きをしてしまい、「住宅ローンをするなら繰り上げ返済は必須」と考えてしまう方もいるようです。しかし、繰り上げ返済はしないほうがいい場合もあります。

そこで、住宅ローンの繰り上げ返済をするべきかどうか、根本的な選択のポイントについてもお伝えしておきましょう。

繰り上げ返済をしたほうがいいケース

金利の高い住宅ローンを利用しているなら、繰り上げ返済による利息軽減効果を実感しやすいはずです。繰り上げ返済は元金に充当されるので、支払う金利を効果的に減らせるのです。

ただし、繰り上げ返済をするかどうかは、住宅ローン控除とのバランスを見極めることも大切です。また、教育費などの負担増、余裕資金の有無など、家計全体から判断することも忘れてはいけません。

繰り上げ返済をしないほうがいいケース

最近は1万円以上といった少額からの繰り上げ返済を受け付ける金融機関も増えています。とはいえ、一般に、繰り上げ返済にはまとまった資金が必要ですよね。

病気やケガ、冠婚葬祭など予定外の出費で家計が圧迫されないよう、繰り上げ返済は計画的に実行することが前提です。余裕資金がないときはムリせずに別の機会へ見送る決断も大切です。

住宅ローン控除を利用していると、気づかないうちに控除の恩恵に慣れてしまっている可能性も。控除による減税効果がなくなったときのことも考慮しておきましょう。

日本では当面のあいだ、低金利が続くことも予想されます。住宅ローン金利が低い場合は、繰り上げ返済にそこまで焦る必要はありません。

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住宅ローンの繰り上げ返済まとめ

住宅ローンは、繰り上げ返済を効果的に利用することによって、コストを大幅に削減することが可能です。家計の状況や住宅ローン控除などを考慮しつつ、2種類の繰り上げ返済から最適な方法を選ぶようにして下さい。

マイホームを購入する時期は、教育費の負担が増える時期とも重なります。繰り上げ返済で貯蓄が不足することがないように、繰り上げ返済は計画的におこなうようにしましょう。

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