朝・昼・晩、1日の予算5,000円で楽しむ。大好きな「金沢」の美味しいもの

朝・昼・晩、1日の予算5,000円で楽しむ。大好きな「金沢」の美味しいもの

「鎌倉」と「仙台」に続いて最終回となる今回は「金沢」。初めて金沢へ行ったのは大学生の時、授業の帰りに突然思いついて友人と勢いだけで目的もなく鈍行列車に乗車した。米原経由で到着。初めて見た「ひがし茶屋街」の風景に興奮しながら、旅ってこんなに楽しいものなんだと知った。

その後は会社員になって何度か出張に行く機会があった。行く度に優しい先輩から美味しいもの、お店をたくさん教わった想い入れのある街でもある。とはいっても、実際に住んでいたわけではないので、今回は今でも金沢へ行く度に訪れる居酒屋のSさんに相談に乗ってもらいながら、朝~夜1日の予算5,000円で楽しめる金沢の美味しいものを考えてみた。

この記事で「今度ためしにこのお店へ行ってみよう」そんなふうに思ってくれる人が1人でもいてくれたら嬉しい。

金沢に到着

久しぶりに金沢にやってきた。東京に比べて肌寒いけれどこの感じが懐かしい。

よし、まずは朝食。金沢駅前でレンタサイクル「まちのり」((各観光スポットの近くに駐輪場があってどこでも乗り降りできる。これが慣れるとすごく便利。金沢市内は自転車があると非常に観光しやすいと思う。))を借りて、川が流れる金沢らしい通りを気持ちよく走る。

朝食 「ひらみぱん (HIRAMIPAN)」 モーニングセット 1,296円

今回朝食にすすめてもらったのが「ひらみぱん」。お店の中に入ると朝9時でほぼ満席。

1日の予算を考えると「モーニングセット」は料金的にちょっと高いかな……。パンと1ドリンクをお願いしようかと考えていたら、「クロックマダム、おすすめですよ」と感じの良い店員さんに声を掛けられた。そのひと言で、頼んでみることにした。

こじんまりとしていて雰囲気もよくてホッとする。店内の小物一つ一つが可愛い。

「クロックマダム」は、パンにハムとチーズをはさんで焼いたクロックムッシュに、さらに目玉焼きを乗せたものだそう。こちらが約10分ほどで席に運ばれてきた、そのクロックマダムだ。

ナイフとフォークでひと口大に切る。食べてみると……その美味しさに感動。外はカリッとしっかりしているのに、中はふわふわ。トーストとトーストの間には柔らかい鶏肉と濃厚なチーズが挟まっている。ひと口ひと口が幸せだ。

ここだというタイミングで黄身をくずせば“とろ~っ”と、黄身がパン生地に染み込んでいく。もう最高に美味い。サラダもみずみずしくて、朝から幸せだ。ここに珈琲か紅茶がつく。

運ばれてきた時はなかなかのボリュームに「朝から食べ切れるかな」と思ったりもしたけれど、想像以上に美味しくてあっという間に完食。また、「本日のタルト」をはじめ、店内で売っているパンもどれも美味しくて思わずお土産に買いたくなるほど。お店の方の対応も丁寧で嬉しかった。

昼食の前に 近江町市場「いっぷくや」 金沢おでん 660円

続いて「近江町市場」へ寄ってみた。

お寿司屋さん、海鮮丼屋さん((市場内の「いきいき亭」は人気店でいつも混んでいるけれど、時間があればいつも通ってしまうくらいに好きだ。))といった海鮮を楽しめるお店もいいけれど、朝食後だったので軽く何かつまもうと市場内をぶらぶらした。近江町コロッケやどじょう蒲焼、「何にしようかな~」と思っていたところで目についたのが「金沢おでん」のお店いっぷくやさん。

おでん、いいかもしれない……とのぞいてみる。

独特な具材が特徴の金沢おでん。今回は人気と伺った「あかまき」「車麩」「ばい貝」を注文してみた。この3つで660円。本来は天狗舞や吉田蔵といった日本酒((ここ最近気に入ってる石川のお酒の中でも、特に「You Yoshidagura 純米生原酒」は素晴らしい。))と一緒にいってしまいたいところだけれど、今回は予算の都合で我慢……。

柔らかいのにちょっとした固さもあって食感が非常に不思議な「あかまき」。

それから次に頂いた「車麩」がすっごく気に入ってしまった。見るからにおでんの出汁をたっぷり吸っていて、口の中に入れるとジュワッっと溢れる旨味、美味しさ……。ああ、これはたまらないぞ。まるで肉を食べているかと思うくらいに食べごたえもあって、冬に食べたらきっと体の芯からあたたまりそうな一品。お好みで辛子を。

バイ貝も身が大きくて噛めば口の中に貝の香りと旨味がじわじわと……。貝のおでんってのもありだなあ。

昼食 「ちょう吉」 親子丼 800円

近江町市場を後にして古い街並みが残る「ひがし茶屋街」へ。

広々としたメインの通りももちろんいいけれど、こんなふうにちょっと脇道入った辺りの雰囲気が自分は大好きでついつい目的なく長居したくなる。静かで、しんとしていて……川のせせらぎの音、風の音、虫の音、普段気にしないような音を感じることができる。

今回は大好きな金木犀の香りが小道に香っていて……さらに幸せ。そんな小道を探検するように歩いて、気になったお茶屋さんやお土産屋さん、ギャラリーをふらふら巡るのが楽しい。

歩いていたらお腹が空いてきた。ということで昼食はおすすめしてもらった茶屋街の中にあるちょう吉へ。「夜は焼き鳥屋さんのこのお店が昼限定で提供する『親子丼』が本当に美味しいんです」と聞いていて楽しみにしていたお店だ。

丼と漬け物とお味噌汁というシンプルさが素敵。お値段も800円とリーズナブル。

蓋をあけると黄色く輝く美しい親子丼が……。

食べてみるととまるで卵かけご飯のようにさらっとしている。そんな中で卵の味わいが濃厚でめちゃくちゃ美味い。この親子丼はすごいなあ。九条ねぎはシャキシャキと食感を感じられる新鮮さ。

鶏肉は炭火の香ばしさが鼻を抜ける。そして、大きくて柔らかい。朝食でクロックマダムを、市場でおでんを食べたのにどんどんすすむ。こんな美味い親子丼は初めてかもしれない。するするとすすみ、卵と鶏の旨味、そして美味しさが堪らなく、止まらなくなりそう……。

店内は「く」の字のカウンターとお座敷があり、歴史感じる店内の様子もひがし茶屋街ならでは。ずっといたくなるようなお店だ。

おやつ 「中田屋 東山茶屋街店」 チーズケーキ 378円

デザートを食べよう、と次に向かったのは同じく茶屋街にあるきんつばで有名な「中田屋 東山茶屋街店」。

頂いたのはきんつばではなく、イートインのお店限定で食べることができるという貴重な「チーズケーキ」。地元の人に「美味しいのでぜひ!」と聞けば行かないわけにはいかない。まず見た目が可愛らしい。

チーズケーキは甘すぎず、上品。しっとりして濃厚なチーズの風味が予想以上に小豆と合う。和と洋がうまく組み合わさっているなあ。

2階のフロアは先ほどの「ちょう吉」と同様に、落ち着いた雰囲気の内装で、友人とゆっくりケーキやお茶を楽しむにはぴったり。観光で歩き疲れたときに、ちょっと一息つくこともできる。

***

お腹いっぱいになり、夕食までは観光名所をぶらぶら見て回った。まず向かったのは「兼六園」。金沢を代表する観光名所だ。冬に見た雪化粧の庭園も素晴らしかったけれど、秋の兼六園もよい。広い庭の中を一人歩いて、ぼーーっとするだけでも非日常感を味わうことができて癒やされる。

十分に兼六園を楽しんだら個人的に好きな「百万石通り」を歩く。

そして向かった先は「金沢21世紀美術館」。有料の「展示会ゾーン」はもちろん、無料の「交流ゾーン」も見どころいっぱい。建物自体も美しくて、ふらっと寄るだけでも楽しめるお気に入りのスポットだ。

夕食 「金沢まいもん寿司 金沢駅店」 6貫 1,836円

美術館の後に香林坊や片町といった繁華街を歩き、東京に帰る前に最後に向かったのは金沢駅前の「金沢まいもん寿司」。やはり金沢へ来たら「寿司」を食べないと、と思う。

この金沢まいもん寿司は自分が出張で初めて来た時に、先輩から「寿司食べようよ」と連れて行ってもらったお店。「なんだこの美味しさは……」と感動して、今でも金沢に行ったら混んでいても絶対に行くところだ。

今回最初に頼んだのは「いわし」。

次に「しめさば」。今まで食べてきたものとはちょっと違って……しめすぎていないというか、さばそのものの味が感じられる握り。ああ、美味すぎる。

そして「白海老」。海老の甘さと口の中でほろりとくずれる柔らかい酢飯のハーモニーというか、組み合わせ。金沢まいもん寿司の軽い握り具合も大好きだ。生産地として有名な金沢らしい「金箔」がキラキラと輝く様子はまるで宝石のよう。

適度に炙られた「カマス」も最高。

「かわはぎ」も素晴らしい。身の上に乗っかった肝と紅葉おろし。特に肝のとろっとした濃厚な旨味は本当にすごくて……。食べた瞬間に強烈に美味くて、思わずおかわりしたくなるくらいの衝撃があった。白海老と同様、見た目も美しい。これは行く度に必ず頼みたいなあ。

そして、最高だったのはやはり「のどぐろ」。

「幻の魚」や「白身のトロ」と言われるのどぐろは、やはり食べてみると「ああ、これは人気になるはずだ……。美味すぎる」と納得できてしまう。このお店では岩塩で食べさせてくれるので、濃厚なのどぐろそのままの味を楽しめる。美味さが口の中一杯に溢れる。これは絶対に頼んでおこう。隣にいた海外から来た女性も「ノドグロ、ノドグロ!」と何度もお代わりしていた。美味いものって国境を超えるんだろう。

この6品では少ないと思ったが意外とお腹にもたまる。合計1,836円。

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地元の人に相談しながら考えた「朝~晩1日、予算5,000円」で楽しめる金沢の美味しいものを紹介してみた。本当は2泊くらいして、能登を楽しむのがおすすめなので、あくまで参考までに。ちなみに予算にこだわらなければ、石川の地酒もたっぷり飲みたい……。素晴らしい居酒屋もたくさんある街だ。

これから冬になれば「香箱ガニ」や「鰤しゃぶ(本場は富山の氷見だけれど)」など、他にも美味しいものがたくさん食べられるようになる。温泉も気持ちいいので、温泉と美味い魚を堪能するためにこの冬は金沢に出掛けてみてはどうだろう? きっと楽しいはず。自分ももう既にまた行きたいなあ……。

【今回1日の食事に使った合計金額:4,970円】
※本記事に記載のものは2016年10月1日時点の情報です
※予算5,000円に含まれるものは食事代(全て税込金額)のみです

編集者&ライター。1987年神奈川県生まれ。ブログ「ウォーキング✕美味しいもの」では日々見つけた美味しいものや歩いた街について書いてます。

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