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小遣い制サラリーマンが「サウナ」で"ととのう"とき

小遣い制サラリーマンが「サウナ」で"ととのう"とき

千葉県市川市にある「カプセルホテルレインボー本八幡店」の高温サウナ室。最上段は時に120 ℃に達する

はじめまして、こんにちは。サウナが好きな、ふちうサウナ(id:tsumetaimizuburo)と申します。性別は男、年齢は不惑の一歩手前。息子2人の教育費の積み立てと住宅ローンの返済を生きがいとする、典型的なサラリーマンです。

そんな私ですが、何年たっても増額する気配のない貴重な小遣いの中から、毎月平均で半額ほどはサウナ施設通いに投資しています。急なお誘いによりやむなくアルコールを投入してしまった日(お酒を飲んでのサウナは絶対にNG!)以外は、ほぼ毎日、仕事帰りにとりあえず1杯ならぬ「とりあえずサウナ」です。

その日の黒い感情なども熱いサウナで汗にして出し切り、キンキンに冷えた水風呂で冷静さを取り戻し、一息入れて明日へと気持ちを切り替えることによって、日々を生き抜いています。要するに心身のコンディションを整える方法として、私はサウナを活用しています。

ただでさえ熱いサウナ室内で、タオルを振ってさらに熱い風を送る熱波師。どこのサウナにもいるわけではありません




最近、有名人がサウナ好きを告白するなど、サウナブームがきている! といわれています。そして、頻繁にサウナに通う人たちは「サウナー」と呼ばれるようにもなりました。サウナが好きであれば何の資格もいらず、自ら名乗れるものです。一門制度もなければ、鬼コーチの鉄拳制裁に耐える必要もありません。なので、私も自分のことをサウナーだと思っています



とにかく、サウナが好きなんです。



今日は私がサウナーとしてどのようにサウナと付き合っているのか、サウナのどこに魅力を感じて通い続けているのか、そんなお話をさせていただきます。よろしくどうぞ、お付き合いください。

今夜はととのえにいこう 私がサウナに向かう時

話を聞かない上司。もっと話を聞かない部下。終わらない残業。上がらない給料。気づいたら後輩に出世レースを先行されている自分。サラリーマンというのは、どうしてこうも大変な毎日を送らなければいけないのでしょうか。

いつものように会議で集中砲火を受けた後、涙を拭いながら、まず水分を取ります。流した涙の水分を取り戻そうというわけでもないのですが、500mlのペットボトルをグビッと1本飲み干します。飲み物はスポーツドリンクか、お茶、もしくは水がオススメです。この水分補給が後に生きてくるんです。

終業後はサウナに直行します。摂氏100度のサウナ室に身を落ち着ければ、いつの間にか涙は蒸発し、吹き出す汗は止まりません。サウナで気持ち良くたくさんの汗をかくためには、事前の水分補給が不可欠。なので、私はいつも「サウナに行こう」と思い立ったタイミングで水分を取っているのです。

ふと周りを見渡すと、自分だけではなく、少々うつむいたフォームで腰をかけながら、年齢や立場に関係なく、素っ裸で汗を流す男たちの姿があります。ここでは人間に上も下もなく、発注者も受注者も存在しないのです。

時には、弱ったサラリーマンにさらに熱い風をぶつけてとどめを刺そうとする、熱波師というイベントキャラクターまで現れたりしますから、この光景は案外滑稽です。さっきまでささくれ立っていた己の心も、この時点でだいぶ柔らかくなっています。

浴室内に設置された休憩用の椅子。
サウナ→水風呂の後に座ると全身が脱力する感覚に





芯まで熱くなった体を冷え冷えの水風呂に沈めると、心の耳から「ジュワッ」という音が聞こえてきます。大概のサウナ施設では水風呂は「チラー」という機械で冷やしていて、水道水よりも低い水温になっています。



少し休もうと休憩用の椅子で斜め上を見上げているうちに、「まあ今日は仕方がないか……」という気分になってきました。



それどころか、だんだんと「次の企画書はどうしてやろうか……」「俺の人生そんなに悪くもないか……」「まあ明日は頑張ろう」「生きてりゃきっといいことある」「お土産でも買って帰ろう!」という気持ちになってきます。



こうして、爽快感とともに前向きで幸せな感覚が現れたら、今日のサウナは成功です。この状態をサウナーたちは「ととのう」と表現します。



この感覚に助けられながら、私はつまずいて倒れてもサウナで立ち上がり、生き延びてきたのです。別に好き好んで倒れているわけではなくて、最初から楽しくサウナに入れればそれに越したことはないんですけどね。



というわけで、大量の汗をかくのでサウナに入る前後は十分な水分補給を。皆さんへのお願いです。

きっかけは「汚れを落としたかったから」 サウナとの出会い

サウナと出会ったのは、今から20年前。当時の私は、毎週6日間、鮮魚店で夜明け前から働いていました。山積みにされた発泡スチロールの箱から氷とともにおさめられた魚を取り出して、捌いて、パック詰めにする仕事でした。

新鮮な魚のぬめりが手に残り、捌いた魚の鮮血が飛び、自分の体には生臭さが……。まだまだ若く純真無垢だった私は、仕事が終わればさっさと街に繰り出したかったのですが、このままでは体の臭いが気になります。男として体臭で女の子に嫌われてしまうのは屈辱です。そんなことは絶対に許されない。



当時住んでいたアパートの家賃は2万6,000円。いわゆる安アパートで、水圧の弱いシャワーではどれだけ浴びてもぬめりが落ちた気がしません。小さな浴槽に手足を縮めて浸かっても、臭いが消えているのかどうか自信は持てません。



そこで思いついたのがサウナでした。単純に体をきれいにするというより、汗の力で汚れを毛穴から外に押し出そうという作戦です。単純な発想でしたがこれは大正解で、臭いが消えることはもちろん、鼻の頭の角質まですっきりと押し出してくれました。その後も「まあ肌つやはいいよね」と褒められるほど、私を作り上げる基礎になったのです。

山梨県都留市にある「泰安温泉」。
銭湯だが追加料金無しでサウナにも入れる





そして、サウナで体が熱くなれば、反動で体はクールダウンを求めます。頭のてっぺんまで水風呂に身を沈めた時の、一気に全身を冷却する爽快感もたまりません。住居の近くに朝の9時から晩まで営業しているサウナがあったことも幸運でした。ちなみにそこは山梨県都留市にある「泰安温泉」という銭湯で、400円でサウナの利用も可能です。単純に汚れを落とすだけではなく、しっかりと汗をかき、水風呂でクールダウンすることが当たり前になると、早い朝もすっきりとした気分で目覚められるというのを発見したのもこの頃です。



こうして爽快感に包まれた「肌つやだけはいい男」は、夜の街へと消える前に、サウナに入ることが習慣になったのです。

サウナを忘れた20代、サウナに立ち返った30代

その後、鮮魚店員から、細身のストライプスーツに先っちょトンガリ靴の外資系バリバリビジネスマンに属性を変えた私(ほとんど嘘です)は、あちこち飛び回る忙しい毎日を送ることになりました。20代は若さに任せてほとんどの時間を労働に費やし、サウナを忘れた生活をしていました。


ありがちな展開ですが、そんな無理が続くはずもなく、30代に入って仕事・家事・育児を求められるようになると、蓄積された疲労が一気に噴き出しました。



浅い眠り、抜けない疲労、どんどん濃くなる目の下のクマ。健康診断では当たり前のように「要再検査」の判定を突きつけられてしまいます。特につらかったのが、睡眠の質の悪化です。頭が回らなくなり、体を動かすことが億劫(おっくう)になると、できることが少なくなって生活の質が悪化します。

サウナの室温や湿度は施設によって異なる。
好みのサウナを探すのもまた楽しみのひとつ





この状態で、この先も生きていけるのだろうか。子供の成長した姿はどうしても見たいし、「肌つやだけはいい」と私を信じてくれた妻をこんなに早く1人にするわけにもいきません。



生活を守りながら、これからは自分のことも大切にしていかなければならないという、両立が求められる状況。短時間で心身がリフレッシュできる方法を模索し、立ち返ったのがあの「気持ち良く夜の街に繰り出すために通ったサウナ」でした。



そう、熱い思い出であるサウナとの再会です。こうして、再びサウナは私の日常に組み込まれることとなりました。

試合観戦も旅行も 日常に溶け込むサウナ

サウナ通いを生活リズムに取り込んでしまえば、サウナ室で過ごす時間が日常そのものになります。サウナ室のテレビでも、大相撲を観て見知らぬサウナーと盛り上がれば、そこは立派な桟敷席。「このイニングが終わるまで」と決めて高校野球を観戦するのも、また楽しいものです。


私は、こうしてサウナ室内でスポーツ観戦することを「サウニック・ビューイング」と呼んでいます。ホームランが出れば歓声が湧き、横綱が土俵を割ったらそろってため息です。サウナの熱気とスポーツの熱気の共有、お客さん同士いつの間にか一体感が出るのが面白いところです。

見ただけで爽快?「カプセルホテルレインボー本八幡店」のエーゲ海風水風呂


家族旅行の時は、宿泊先にサウナ付きのホテルを選べばノーサウナデーを作らずに済みます。夫のサウナ通いを小遣いの範囲なら、と渋々認めている妻が、この時ばかりは夜中にこっそり部屋を抜け出してサウナに入ってきたと自慢するのも面白いです。

っていうか、お前も本当はサウナ好きだろ。そもそもサウナ付きのホテル選んだのお前だろ。

「(国民的アイドルグループの)I葉君もサウナ好きなんだって!」という妻。私が夫ですいませんでしたとしか言いようがありません。私の良さは肌つやだけなので。

大切なのはお金と時間 サウナと仲良く付き合うために

サウナを活力にして生きていく中で、忘れてはいけないのがお金の話です。サウナ施設も多種多様なので非常にざっくりですが、半日程度ゆっくり過ごそうと思えば2,000円程度、食事をすればさらにお金はかかります。


小遣いの範囲内で生きている男ですから、毎度これだけ支払っていたらあっという間に財布は空っぽです。できるだけ安価にサウナを楽しむ工夫が必要です。


多くのサウナ施設では、通常料金のほかに早朝割引を設定しています。朝早く安くサウナに入って一日を気持ちよくスタート、という発想は非の打ちどころがありません。


10回来訪で11回目が無料になるスタンプカードがあれば、活用するのはもちろんのこと、バースデー割引や、地域割引(10月は○○にお住まいの方を割引! というような内容)を設定しているサウナ施設もあります。各自サウナーの戦略性が問われてきます。

カプセルホテルレインボー新小岩店の20代までを対象にした割引サービス。未来のサウナー育成にも余念がない




突然Twitterで「このツイートを見た人は本日割引!」と割引サービスを始めるサウナ施設もあったりしますので、SNSの活用も必須です。料金の安い銭湯サウナの利用、さらにサウナの付いたジムの会員になるのも一考でしょう。



サウナ10分+水風呂1分、前後の着替えや体を洗う時間を合わせても20分あればなんとかなりますし、定額会員になれば短時間の利用にも抵抗はありません。残業帰りに少しでも汗を流すことができれば、翌日の目覚めもだいぶ変わります。



そして、考え得る究極は……自宅へのサウナ設置でしょうか。自らがオーナーになって好みのサウナ施設をつくってしまうのもありかもしれません。みんな、宝くじ売り場へ走ろう。



私はサウナーではありますが、全てにおいてサウナを最優先しているわけではありません。生活のためには働かなければなりませんし、家族との時間も大事にしています。サウナは本来、気力と体力を満たした上で暮らしを充実させる基盤づくりのための手段なのです。



私はこれまでも、そしてこれからも、人生を豊かにするためにお金と時間を工夫してサウナを楽しんでいきます。

サウナでスポーツ観戦、それは「サウニック・ビューイング」


サウナに興味を持った方へ 私のおすすめサウナ

さて、せっかくサウナに関してつべこべ言う機会をいただいた以上、私の「おすすめサウナ」に触れないわけにはいきません。もちろん、サウナはいろいろ、好みもいろいろなのは承知の上です。ここでは、私がよく足を運ぶサウナを紹介させていただきます。


私は京王線ユーザーなので、最寄りの笹塚駅にあるマルシンスパ(東京都渋谷区)と、その京王線から直通する都営新宿線の果てにあるレインボー本八幡店(千葉県市川市)にはよく行きます。この2つの特徴は、サウナ室の温度が比較的高めに設定されているところです。



休日に都内のサウナに向かうときは、ニューウイング (東京都墨田区)やサウナセンター(東京都台東区)、レインボー新小岩店(東京都葛飾区)あたりに出向きます。これらの施設は、サウナと水風呂の充実はもちろん、休憩スペースも広々としているのが特徴です。狭い我が家でゴロゴロしているよりもはるかにリラックスしながら体力の回復を図ることができます。



あとは、金曜日の夜……特に混雑する帰宅ラッシュの電車で帰りたくない時は、ザ・ベッド &スパ所沢(埼玉県所沢市)へ立ち寄るという選択肢も浮上します。所沢からだと、プロ野球が終了する時間帯と重ならなければ、多摩の住民も空いた上り電車で帰れるのがありがたいところです。



お隣の神奈川まで足を伸ばせば、横浜駅直結でサウナ室の窓から夜景が楽しめるスカイスパ、10度を切る冷たい水風呂でサウナ界隈では有名なヨコヤマ・ユーランド鶴見、個性の強過ぎる熱波師軍団とイベントが充実のおふろの国(3施設とも神奈川県横浜市)なども。



さらに北へ南へ足を運べば……もう書ききれません。キリがありません。それほどサウナの世界は広いのです。

これからもサウナ

冒頭でも書いたように、今はサウナブームであるといわれています。たまにサウナ施設の方と世間話などすると、お客さんが増えている実感を持っているところが多いようです。

健康、美容、そして手軽な気分転換の方法としてサウナがうまく時代にはまったという部分もあるでしょう。私もそこにうまく組み込まれた人間です。場所や料金、さらにはサウナ室や水風呂の温度など玄人好みの情報までフォローしたwebサービス(サウナイキタイサウナタイムなど)の充実も、ブームの助けになっているのは間違いありません。

サウナ施設は多くが24時間稼働している。
いつでも熱いサウナを提供してくれるスタッフさんには心から感謝





もちろん店舗も努力しています。私も同じ働く人間としてつい目がいってしまいます。利用しやすく、楽しく汗を流せるサウナの実現や、常連さんを大事にしながら新たなお客さんを呼び込むための工夫など、サウナブームは勝手にやってきたものではないと私は主張したいのです。



サウナブームには、ブームを呼び込むだけの下地作りをした現場の努力があったのです。だからこそ、このサウナブームについて、私は一過性では終わらないと確信しています。そういえば、ブームと言われだしてからもう2年くらいたってる気がしますしね。



現場の努力に応えて、サウナーたちはどんどんサウナを楽しんでいきましょう。私も楽しみながら活力を得る場としてサウナに通い続けていきます。サウナは未知の世界なのにこの記事を読んでくれた方、サウナに行ってみたいと思ってしまった時点でサウナーに片足突っ込んでますよ。その勢いでサウナに出かけたら、あなたも今日からサウナーです。



みんな、サウナ室で会おうぜ! そしてくれぐれも、水分補給を忘れずに。

執筆者のプロフィール
ふちうサウナ
ふちうサウナ

サウナと水風呂とオリックス・バファローズを愛する6歳&1歳児の父親。「世界のサウナを巡る旅」か「オリックス・バファローズ日本一」、どちらかでいいから実現してくれることを願っている。

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※掲載写真は、全て施設の許可を得て撮影しています

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