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東京餃子通信・編集長が考える、日本独自の進化を遂げた「焼き餃子」の未来

東京餃子通信・編集長が考える、日本独自の進化を遂げた「焼き餃子」の未来

皆さん、こんにちは! 「東京餃子通信」という餃子ブログの編集長・塚田亮一です。餃子が好き過ぎて、食べ歩きにお取り寄せ、手作りと、ほぼ毎日のように餃子を食べる生活をしています。

ちなみに、本業は食品関連や飲食関連とは全く異なる仕事をしています。言わば、「趣味が餃子」なんです。

今回は、そんな私が餃子好きになったきっかけや、おすすめのご当地餃子を紹介すると共に、日本の餃子が「GYOZA」として世界に広がりつつあるというお話をさせていただきたいと思います。

きっかけは、家族みんなで作る餃子

物心がついた頃には、すでに餃子好きな子供だった私。実家では母親が餃子をよく作ってくれて、私も弟も餃子作りに参加していました。家族みんなで餃子を包み、ホットプレートを囲んでたくさんの餃子を食べるという家族団らんの時間が楽しかったのを今でも覚えています。

実際に、餃子の本場と言われる中国で、餃子は「人と人の交流を促す食べ物」だと言われます。確かに、餃子の「餃」は「食」べて「交」わるって書きますよね。

こうして餃子好きとして育った私ですが、特にどの餃子が良いといったこだわりはなく、家で手作りしたりお店で注文したりと、餃子を普通に楽しむ日々を過ごしていました。

おいしい上に、お財布にも優しくて健康的 餃子食べ歩きの魅力

転機は、今から約10年前の2009年ごろ。餃子を食べてはTwitterに「餃子なう」と投稿していた私は、同じく餃子好きな方からイチオシの餃子店を教えてもらうようになりました。実際にお店へ足を運んで、これまで食べたことがなかったようなおいしさや、豊富なバリーエーションに衝撃を受けることもしばしば。さまざまな店を渡り歩いていくうちに、一気に「餃子食べ歩き」の魅力に引き込まれてしまいました。

そして、いざ食べ歩きを始めてみると、餃子が食べ歩きに適した要素を兼ね備えていることに気づきました。

【その1】お手軽価格でお財布に優しい
【その2】栄養バランスが良くて身体に優しい
【その3】「嫌い」という人が少ないので、友人を誘いやすい
【その4】具材や調理方法で変化があるため、探求しがいがある

かれこれ10年以上、餃子の食べ歩きをしていますが、資金繰りに苦しむことはないですし、健康診断の結果もほとんどAです。さらには、餃子を通じて数多くの“餃友”と出会うことができました。

そして、餃子専門店はもちろんのこと、さまざまなお店に魅力的な餃子があるのだと気づきました。町の中華店やラーメン店に加え、居酒屋やスナックのほか、パン屋や甘味処といった意外な場所でも餃子と出会いました。

他にも、地方ごとに独自の食べ方があることを学んだり、これまでの餃子の概念を崩すような驚きの餃子を出すお店を見つけたり……。食べれば食べるほど餃子の奥深さを知り、ますますハマっていったのです。

約10年間の食べ歩きで発見した、魅力的な餃子を紹介!

ここからは、より餃子の魅力を知ってもらうために、全国の餃子食べ歩きで出会った魅力あふれる逸品をいくつかご紹介したいと思います。

その土地ならではのご当地餃子たち

中国から伝わった餃子。日本全国へ広がったのは戦後のことで、主に焼き餃子として親しまれてきました。そして普及の過程で、その土地で手に入りやすい食材や特徴的なつけダレが使われるなど、各地で独自の餃子文化が生まれたのです。

餃子文化は全国各地で脈々と受け継がれ、最近は「ご当地餃子」として注目を集めています。中でも有名なのは、「餃子の町」としても知られる栃木県宇都宮市の「宇都宮餃子」。しかし、他にも魅力的なご当地餃子がたくさんあります。

ゆでもやしと一緒に食べる浜松餃子

総務省が発表した2018年度の家計調査で、宇都宮を押さえて年間の餃子消費量1位になった静岡県浜松市。「浜松餃子」の特徴は、何と言ってもキャベツです。全国有数のキャベツの産地・渥美半島に隣接している立地を生かし、餡(あん)には良質なキャベツがたっぷり使われています。キャベツの甘味に豚肉のうま味とごま油の香りが加わり、さっぱりしているのに満足感の強い風味が楽しめます。

浜松餃子
「石松餃子」10個600円

もう一つの特徴が、お皿に丸く盛り付けられた餃子の中央にある、ゆでもやし。浜松餃子の老舗店「石松餃子」が始めたとされるこのゆでもやしは、箸休めの効果もあって人気を呼び、浜松全土に広がりました。

特徴は味噌ダレ!食べ比べも楽しい神戸餃子

餡ではなく、タレに特徴があるご当地餃子もあります。神戸・南京町は日本三大中華街の1つであることから、老舗の中華料理店がたくさんあり、実は餃子の町としても有名なのです。

元祖餃子苑
「元祖ぎょうざ苑」6個430円

神戸餃子の特徴といえば、味噌ダレ。神戸の老舗餃子店「元祖ぎょうざ苑」の初代店主が、焼き餃子には黒酢よりも味噌の方が合うということで提供し始めたのがきっかけです。その後、味噌ダレは神戸餃子における定番として普及し、今ではお店ごとにさまざまな味噌ダレが用意されています。各店舗の味噌ダレを食べ比べるというのも楽しいですよ。

お酒が進む! 大阪・北新地のひとくち餃子

大阪には、歓楽街・北新地で人気のご当地餃子があります。特徴は、そのサイズ。通常の餃子と比べると1/3ぐらいしかない超ミニミニサイズなので、通称「ひとくち餃子」とも呼ばれます。

天平
「天平」20個1,500円

1955年創業の「天平」が始めたひとくち餃子は、女性でも化粧を汚さずに一口で食べられます。北新地で飲みに行く前後に訪れたり、お土産として持って行ったりするのにも重宝されました。薄皮をパリパリッと焼いた食感や、唐辛子のピリッとした辛味で、お酒もどんどん進みます。ぜひ、お酒と合わせてみてください。

スパゲッティにヒントを得た、北九州発祥の鉄なべ餃子

今や全国区の人気を誇る、鉄なべ餃子。最近では居酒屋チェーン店などでも食べられるようになりました。博多生まれというイメージが強いですが、実は隣の北九州八幡地区で生まれたご当地餃子なのです。

やまとぎょうざ
「やまとぎょうざ 本店鉄なべ」10個540円

今の鉄なべ餃子の原型は、1958年創業「やまとぎょうざ 本店鉄なべ」の店主が、鉄板に盛られたスパゲッティにヒントを得て思いついたそう。いつまでもアツアツの状態で食べられることから一躍人気となり、同店の元従業員が博多で独立したのをきっかけに、博多周辺でも食べられるようになりました。アツアツの餃子を柚子コショウでさっぱり食べるのがオススメの食べ方です。

これまで出会った驚きの餃子たち

約10年の餃子食べ歩きで、数えられないほどの種類を食べてきたのですが、その中でも特に印象に残った驚きの餃子を紹介したいと思います。

珉珉「焼餃子」(6個540円)

私が餃子の食べ歩きをし始めた頃から通い始め、今でも最も頻度高く食べている餃子の一つが、東京・赤坂「珉珉」の焼き餃子です。昔ながらのオーソドックスな焼き餃子のスタイルを守りながら、餡にかなり強めの風味付けをしており、とてもジューシーに仕上げています。

珉珉

食べ方にも特徴があり、一般的な餃子で使われる醤油やラー油は一切不要。代わりに、お酢にたっぷりの粗挽きコショウを振りかけた酢コショウを使っていただきます。今ではすっかり”市民権”を得た酢コショウも、実は珉珉から生まれた食べ方なのです。

なお、珉珉は、渋谷で営業していた今はなき老舗餃子店「珉珉羊肉館」の数少ない直系のれん分け店舗です。珉珉羊肉館は、一説によると日本の焼き餃子の元祖店とも言われています。

泰興楼 八重洲本店「焼餃子」(4個760円)

味だけでなく、餃子のサイズに驚かされることもあります。東京・八重洲で70年近い歴史をもつ「泰興楼(たいこうろう)」の餃子は、通称「バナナ餃子」と呼ばれるジャンボサイズの餃子です。長さはなんと約12cm。重量も通常の餃子に比べて3〜4倍ぐらいあります。

バナナ餃子

手延べのモチモチッとした皮に、上質な豚ヒレ肉とキャベツなどの野菜を使った餡がたっぷりと詰まっています。ジューシーですが、しつこい脂っぽさがないので、ジャンボサイズの餃子でもパクパクと食べられます。「C八醤」という同店オリジナルの辛味調味料をつけて食べるのがオススメです。

ホワイト餃子 野田本店「焼餃子」(10個480円)

調理方法に特徴のある餃子に出会ったこともありました。千葉・野田にある「ホワイト餃子」は、全国各地にあるホワイト餃子グループの総本山。石川・金沢の「第7ギョーザの店」や神奈川・相模原の「相模原萬金」といった人気餃子店も、実はホワイト餃子グループなのです。

相模原萬金

ホワイト餃子では、黄金色で俵型をした、揚げまんじゅうのような焼き餃子を食べることができます。調理方法は、餃子をゆでた後、沸騰したお湯がまだ残っている状態で餃子が見えなくなるぐらいの油を鍋に投入し、揚げ焼きするというもの。皮にはフランスパンにも使われる準強力粉を使っているので、サクサクッとした軽い食感が楽しめます。

甘めに仕上げた餡の味付けにも特徴があり、一般的な焼き餃子とは全く異なった魅力を持つ餃子です。あまりにアツアツに仕上がっているので、うかつに頬張らずに、皮に穴をあけて熱い水蒸気を少し抜いてから食べましょう。

WARASHIBE GYOZA「元祖鉄板餃子フォンデュ」(2人前2,040円)

最後に紹介するのは、驚きのアレンジ餃子です。私が最も驚いたのが、東京・神田にある「WARASHIBE GYOZA」の元祖鉄板餃子フォンデュ。少し前に一世を風靡したチーズダッカルビから発想を得たそうです。

元祖鉄板餃子フォンデュ

鉄板の上でアツアツに溶けたチェダーチーズを餃子に絡めながら食べるという、濃厚過ぎるアレンジ餃子を堪能できます。味付けもコチジャンやBBQソースを使うなど、ジャンクな感じに攻めていて面白いですよ。

みんなで食べる餃子が、一番おいしい

餃子の食べ歩きを続けていると、「一番おいしい餃子を教えてほしい」という質問を受けて、回答に困ることがあります。というのも、餃子は今やバリエーションも豊富になり、お店によって具材も焼き方も価格帯も千差万別になっています。味の好みや食べるシチュエーションによって、ベストな選択肢は常に変わると思うのです。

その中で自分の体験を振り返ってみると、家族みんなで作って食べた餃子だったり、友人たちと餃子談義をしながらつついた餃子だったりが、楽しくておいしかった餃子として記憶に残っています。あらためて餃子の魅力は「食べて交わること」なんだなぁと思いますね。

中国から伝わり、日本で独自進化を進めてきた焼き餃子は、最近「GYOZA」として世界から注目を集めています。日本食を代表するすき焼きも天ぷらもラーメンも、もとは海外から伝わって日本で独自の進化を遂げてきましたが、焼き餃子も同じ道を歩み始めたと感じています。

2020年の東京オリンピックをきっかけに、多くの訪日外国人観光客が世界中から訪れます。私は、これをきっかけにGYOZAファンが世界中に一気に増えると予想しています。実際、2017年に味の素冷凍食品が東京・赤坂にオープンした、GYOZAを世界に伝えるための旗艦店「GYOZA.IT」は、連日多くの外国人客で賑わっています。これから世界中に餃友ができるかもしれないと思うと、ワクワクしてきますよね。日本の餃子経済も、ますます発展していくことが期待できます。

そして、これからも進化していくであろう日本独自の餃子。食べ歩きするも良し、自宅で餃子パーティをやるも良し。気になる餃子情報を見つけたら、家族や友人を誘って餃子の会を開催してみてはいかがでしょうか。

執筆者のプロフィール
塚田亮一
塚田亮一

2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」の編集長。「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。これまで食べ歩いた餃子店の数は1000店以上。長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。

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編集:はてな編集部