予算一人2,500円から! 豪華なにぎり鮨を「家」で楽しもう

予算一人2,500円から! 豪華なにぎり鮨を「家」で楽しもう

こんにちは。ぶち猫と申します。料理と写真を趣味に、猫2匹と暮らしています。

わたしは食べることが大好きで、外食しておいしかったものを真似して、自宅で作ってみたりもしています。もちろん、すべてお店と同じようにはできませんが、工夫しておいしく調理できたときの達成感はなかなかのもので、もう一度外食するよりはリーズナブルなところも気に入っています。

今回は、外食するよりリーズナブルに楽しめるという観点から、自宅で作るにぎり鮨(ずし)をご紹介します。にぎり鮨というと、熟練のワザで素人には真似できないイメージですが、今は便利な道具もあり、工夫次第でかなりそれらしく仕立てることができます。特に、カウンターのみの高級なお店にはなかなか行けないけれど、回転寿司では物足りない! という方に、ちょっとした贅沢としてぜひ挑戦していただきたい。

にぎり鮨の必須アイテムと、あると楽しい道具


自宅でにぎり鮨を楽しむ際の必須アイテム、それはにぎり鮨の型。最近は100円均一でも取り扱っています。写真はエンボス加工がされた「とびだせ!おすし」という商品。これがあれば、一番難しい工程をショートカットして、手軽に鮨を握ることができます。使い方はのちほど詳しく説明します。

曙産業 いちどに10貫できる とびだせ! おすし CH-2011
出版社/メーカー:akebono sangyo発売日:2014/11/05メディア:ホーム&キッチン
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その他、あると楽しい鮨の道具といえば、おろし金。わさび用に鮫皮おろしがあると盛り上がりますね。巻物用には竹製の巻きす。さらに、完成した鮨に醤油を塗るための小さなハケ(100円均一で購入)や、ネタを炙(あぶ)るための調理用バーナーがあると、ちょっとした鮨職人気分が楽しめます。


握った鮨に薬味を添えるという楽しみ方もあります。外せないのは、 ワサビとガリ。余裕があれば、青魚用のショウガ、塩と合わせるためのスダチ、細かく刻んだアサツキ木の芽(山椒の葉)なども用意できるといいですね。

シャリ(酢飯)を準備しよう


道具が揃ったら、次はシャリ(酢飯)を準備しましょう。

すし酢は既製品で問題ありませんが、余裕があれば自家製も楽しいものです。作り方は、米酢1カップ(200cc)に対して、砂糖1/3カップ塩小さじ2を混ぜ合わせるだけ。長期保存(冷蔵庫で2~3ヶ月)できるので、食べたいときにすぐ酢飯が作れるほか、塩もみした野菜と合わせて酢の物にしたり、大根おろしと和えて甘酢おろしを作ったり、ドレッシングのベースにしたりと何かと便利に使えます。


米は水少なめで炊き、長めに蒸らして水分を飛ばします。炊き上がったご飯はボウル(すし桶があればベター)に移し、しゃもじに伝わせるようにしてすし酢(ご飯2合に対して、すし酢55cc)を回しかけます。

ボウルの底にすし酢が溜まるので、大きく天地を返すように、切るような手つきでご飯とすし酢を混ぜ合わせます。米粒の表面がつやつやして、人肌まで冷めたら出来上がり。握るまでの間、濡らして固く絞った手ぬぐいで覆って常温に置きます。

ネタを準備して実際に握ってみよう


シャリの準備ができたら、いよいよ鮨を握ってみましょう。用意するものは、にぎり鮨の型、シャリ、ワサビ、作業用のトレー(お皿)、手酢(すし酢を水で3倍に薄めたもの)と手ぬぐい(ふきん)です。

まず、にぎり鮨の型にシャリを詰め、付属のふたで軽く押して成形します。このとき、シャリをぎゅうぎゅう詰めたり、上から強く押したりしないのがポイント。この段階では写真のように米粒の間に空気が含まれている状態で十分です。また、シャリの量を少なめにすると今風な小さめの握りになります。今回は型の2/3くらいの量にしました。


鮨を握るときに欠かせないのが「手酢」です。シャリは粘り気があってくっつきやすいので、鮨を握る前に毎回、手酢を手のひら全体に薄く伸ばします。また、作業用のトレーなどは手酢に浸してよく絞った手ぬぐい(写真右)で湿らせます。こうすると、手やトレーに米粒が付くことなく、スムーズに作業できます。


型で抜いたシャリをトレーに並べ、いよいよ握りです。まず、手酢で両手のひらを湿らせたのち、右手で型抜きしたシャリを一つ取り、人差し指から小指までの四本の指で軽く握るようにして形を整えます。


形を整えたシャリを右手の指の付け根に仮置きしたまま、右手の指先でネタを取り、左手の指でネタの裏側にわさびを塗ります。


左手でネタをつまんでシャリの上にのせ、右手の指の付け根に置いた鮨を、左手の中指と人差し指で上からそっと押さえて形を整えます。


鮨を横に倒しながら左手に持ち替えて、今度は右手の中指と人差し指で上からそっと抑えて形を整えます。


最後に、ネタを上にして、右手の親指と人差指で側面を軽く押さえて整えたら出来上がり。全体を通して表面をそっと押さえるくらいにとどめ、強く握らないのがポイントです。最初に型を使ってシャリの形を整えているので、仕上げの握りの段階では軽く押さえるだけで大丈夫なのです。


仕上げに小さなハケを使って醤油を塗ると、一気に本格的な雰囲気になって鮨職人ごっこが捗(はかど)るのでおすすめです。


完成です。慣れれば1貫あたり1分もかかりません。もちろん、型で抜いたシャリにネタをのせるだけでもにぎり鮨風にはなるのですが、この一手間で高級なにぎり鮨風に格上げできます。また、握る作業自体がおもしろいので、友人同士で集まってにぎり鮨パーティーをしたり、一人で休日に自主トレをしてもよいでしょう。

いろいろな寿司ネタを握ってみよう


ここからは応用編。シャリの握り方をマスターしたら、今度はいろいろなネタをアレンジしてみましょう。

鰯(いわし)の握りと炙り


鰯は手開きして、身を半分に切ります。青魚の匂いが気になるという方には、切り身を米酢で洗う方法がおすすめ。米酢を入れたバットに鰯の切り身を両面1秒ずつ漬けて、すぐに水分を拭き取ります。酢の匂いはほとんど感じないのですが、臭みが消えてすっきりした口当たりになります。


右が米酢で下処理した鰯の握り。中央に切れ目を入れて握り、ハケで醤油を塗ってからショウガと刻んだアサツキをあしらいました。左は、鰯の表面を調理用バーナーで炙ってから握ったもの。醤油の代わりに岩塩をふって木の芽を添えました。焼き目の香ばしさが加わって、また別のおいしさが味わえます。

同じアレンジが楽しめる魚:鯵(あじ)などの青魚全般

のどぐろの握りと昆布締め


のどぐろの切り身は、一部を昆布締めにしました。調理酒で戻した昆布で塩をふった魚の切り身をおおい、全体をラップでぴっちり包んで冷蔵庫で半日以上寝かせて作ります。塩の脱水作用で水分が抜けて切り身自体の旨味が凝縮されるほか、昆布の香りと旨味が添加されおいしくなります。

サク(切り身)から鮨ネタを作る場合は、包丁(柳刃包丁など、細長い包丁があるとベター)を寝かせて薄めにそぎ切りします。斜めに入れた包丁を、最後の数ミリのところでまな板に向かって垂直になるように立てると切り口がきれいになります。


右がノーマルなのどぐろの握り。左が昆布締めしたのどぐろの握り。どちらも醤油の代わりに岩塩を振り、スダチを絞って仕上げました。白身の握りを塩とスダチで食べると、繊細な味わいが存分に味わえとてもよいです。ふつうの握りはフレッシュなおいしさ、昆布締めのほうはねっとりと凝縮されたおいしさが味わえ、食べ比べるのも楽しい。

同じアレンジが楽しめる魚:鯛(たい)、平目などの白身魚

しめ鯖(さば)握りと炙り


定番のしめ鯖は、スタンダートなものに加え、皮目を中心に軽く炙ったものを用意しました。香ばしい匂いが食欲をそそります。


左の普通のしめ鯖は、醤油を塗って仕上げました。右は、表面を炙ってから握り、岩塩とすだちを振っています。脂がのったしめ鯖はそのままでも十分においしいのですが、表面を炙ると焼き鯖的なおいしさも加わって、また違ったよさがあります。

同じアレンジが楽しめる魚:鯵(あじ)などの青魚全般

金目鯛の炙り


金目鯛は、その特徴的な赤い皮目を活かすため、握る前に皮目だけを調理用バーナーで軽く炙りました。他に皮目だけ湯引きするという方法もあります。


身からにじむ脂と炙りの風味とのバランスを考え、味付けは岩塩とスダチでさっぱりと。とろける白身と香ばしい皮目の組み合わせがなんとも贅沢な一品です。

同じアレンジが楽しめる魚:のどぐろなど脂が多い白身魚

中トロの握り


中トロを握るときのコツは切り方です。筋(白く見える部分)が硬いので口に当たらないよう、写真のように筋を断ち切る角度でそぎ切りにします。ただし、このように切るとバラけやすくなるので、握るときは注意しましょう。


基本の握り方そのままで完成です。口の中でとろけるおいしさは説明不要ですね。お店だと注文するのに勇気が必要ですが、家で作るならリーズナブルな値段で堪能できます。

同じアレンジが楽しめる魚:大トロ、マグロの赤身

車海老の握り


伝統的な江戸前鮨につきものなのが、鮮やかな朱色をした車海老の握り。これも、車海老さえ入手できれば家で作ることができます。


丸まらないように串打ちをした車海老を、塩を入れた熱湯で茹でるのが色を鮮やかにするコツ。車海老を入れた湯が再沸騰したら30秒~1分ほどで取り出して氷につけて冷やします。冷めたら殻をいて、腹側から開いて、尻尾を切りそろえれば下ごしらえは完了。


基本の通りに握り、醤油を塗れば完成! 目で見て美しく、食べておいしい一品です。

玉子の握り


鮨といえば欠かせないのが、玉子の握り。今回は、市販の玉子焼きを好みの厚さに切ってネタにします。


握り方は他のネタと同じですが、最後に細く切った海苔を中央付近に巻きます。ワサビを入れるかどうかはお好みで。わたしは多めに入れて、甘さと辛さの両極を楽しむ派です。

同じアレンジが楽しめる魚:数の子、穴子など

軍艦だって作れちゃいます


高級なネタといえば、いくらや雲丹(ウニ)などの魚卵。にぎり鮨の型を使えば、いくらや雲丹の軍艦も簡単に作れちゃいます。まずは、握りと同じようにシャリを型で抜きます。


上にワサビをのせ、細く切った海苔(半切の海苔を縦に四等分したサイズ)を巻きつけて土台にします。巻き終わりには、米粒を一つ付けてとめます。


海苔とシャリの間に雲丹やいくらを入れれば、完成です。雲丹にはハケで醤油を塗ります。あっという間にとろけるおいしさが出来上がってしまいます。


自宅でなら、雲丹といくらを半分ずつのせるという悪魔合体も思いのまま。好きなものを好きなだけのせて食べていいのです。


最近は、海苔の風味が雲丹の味わいの妨げになるといって、雲丹を軍艦にしないお店も。型で抜いたシャリに海苔を巻かずに雲丹をのせれば、雲丹握りに仕立てられます。

さらに、海苔があったほうがいいのかどうかを実際に食べ比べて確かめてみるといった不遜な試みも思いのまま。自宅鮨ならば、あなたの秘めたる鮨欲を存分に実現することができるのです。

同じアレンジが楽しめる魚:ネギトロ

余ったネタは巻物に


一通り握りを楽しんだあと、ネタが余ったら巻物にして楽しみましょう。半分に切った海苔に余ったシャリをのせてワサビを塗り、ネタをのせて巻きすで巻くだけです。今回は、ひきわり納豆、中トロの切れ端、雲丹、細く切ったたくあん、ゴマ、刻みアサツキをのせました。


巻きすを引き締めながら巻いていきます。


切れ味のよい包丁で四等分に切ったものがこちら。漬物が入ると、口がさっぱりして締めによいですね。


自宅鮨なので、巻物の上にあふれるほどいくらをのせる、といったことも思いのままです。誰にも遠慮する必要はありません。やりたいようにやってしまいましょう。

今回の予算と低予算で収めるコツについて


最後に現実に戻り、予算の話をします。生食できる魚介類の値段は、季節や購入する場所などにより大きく変動するので一概にはいえないのですが、今回のように雲丹、トロ、いくら、車海老などの高級食材を取り揃えた場合の予算は、3~4人分で1万円、1人あたり2,500円~3,000円くらいになると思います。だいたい、回転寿司でお腹いっぱい食べるくらいの予算ですね。


なお、魚を丸ごとやサクで購入すると一種類あたりの分量が多くなりがちになるほか、予算もふくらみがち。いろいろな種類のネタを本格的に楽しみたいのであれば、ある程度の人数を集めるほうが結果的に材料費を抑えられます。そのような観点から、4~8人くらいでにぎり鮨パーティーをすると効率がよさそうです。

「少人数でリーズナブルに楽しみたい!」という場合は、パック売りをしているお刺身の詰め合わせが便利です。切り方がにぎり鮨用ではないので少々工夫が必要ですが、少人数分のネタが多種類手に入るので、一人あたり1,000円~の予算で自宅鮨を実現できると思います。

みなさんも、自宅でにぎり鮨を始めてみませんか?

ぶち猫二匹と暮らしています。趣味は料理、お菓子作りと写真。主に食べ物にまつわるあれこれをブログに綴ったりもしています。

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