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究極の「たまごサンド」に出会って、僕にとっての“おいしい味”と“コスパ”は何かを考えてみた

究極の「たまごサンド」に出会って、僕にとっての“おいしい味”と“コスパ”は何かを考えてみた

はじめまして! たまごサンド好きが高じて「日本卵サンド協会」を立ち上げ、2017年からたまごサンド中心のブログを運営している、たま男と申します。普段は大阪大学の大学院で研究に励む日々を送っています。

なぜ、たまごサンドなのか。それはもう答えようがありません。だって「たまごサンドが好き」という、それ以上でもそれ以下でもないのですから。しかし、伝えたいことはあります。それは「たまごサンドから広がる世界」があるということ。今回の記事で、それを少しでも感じていただけたら幸いです。

あと、もう一つよく聞かれる質問。それは「日本卵サンド協会ってなんぞや!」というもの。2017年に立ち上げて以降、非営利で活動している協会で、誰でも入会できます。ただ「たまごサンド好きであること」が入会の必須条件となっているので、よろしくお願いいたします。

子供のころから無意識に好きだった

僕のたまごサンド好きの始まりは、中学生時代までさかのぼります。中学生の頃、僕はバスケットボール部に所属していました。

普段はあまり買い食いができなかったので、試合のときに食べるパンなどは慎重に選んでいました。その中でも特に買っていたのは、当時ローソンで販売されていた、100円程度の惣菜パン。そこには「たまごロール」も含まれていました。振り返ってみれば、このたまごロールが、僕のたまごサンド好きの始まりだったように感じます。

そして高校生になり、学校の食堂でよく買っていたのは、たまごサラダとフィッシュフライのハーフアンドハーフ。1つのコッペパンで別々の味が楽しめる上に、ボリュームも申し分なし。あれはおいしかったな〜。

同じ頃、スイーツ作りにもハマりました。部活が休みだった日に、急にお腹がいっぱいになるほどケーキが食べたくなり、何を思ったのか材料を買ってモンブランを手作りしたことがきっかけです。

手作りモンブランの画像

ケーキを手作りするのは、これが初めて。レシピはネットで探したものを参考にしました。出来上がりは自分でも満足で、ケーキって自分でもこんなにおいしく作れるのか! と、料理の楽しさをこのとき初めて知ったのです。それからは工夫を重ねながら、スイーツを中心としたさまざまな料理を作っていきました。

2018年に作ったイチゴのケーキ
2018年に作ったイチゴのケーキ

2018年に作った「シャルロットポワール」という梨のケーキ
2018年に作った「シャルロットポワール」という梨のケーキ

そして高校3年生になり、受験勉強に励むようになった頃。勉強のお供として、たまごサンドを含むさまざまなサンドイッチを作って食べていました。

しかし、毎日のように作っていくうちに「もっとおいしいたまごサンドを作りたい!」という気持ちが湧き始めます。

このとき僕が作っていたたまごサンドの具材は、潰したゆで卵をマヨネーズで和えるだけのシンプルなものでした。そこにカラシを入れたり、塩コショウで味を整えたり、さらに牛乳や酢、砂糖を加えたり……。こうすると、朝に作って昼に食べるときでも、ふんわりとした食感を楽しめるのだと気づきました。試行錯誤を繰り返して、自分なりのオリジナルレシピを確立することができたのです。

今でもたまごサンドを作るときは、このレシピで作ることが多いです。その度に受験のときを思い出して、頑張ることができるんですよね。

オリジナルレシピで作ったたまごサンドの数々1
オリジナルレシピで作ったたまごサンドの数々2
オリジナルレシピで作ったたまごサンドの数々

勉強、趣味、料理……僕が真剣になっているもの全てに共通していることは、「どこまでも突き詰められる」ということ。僕は昔から、この突き詰める作業がとても好きなのです。

涙が出るほど感激 大阪の喫茶店で究極のたまごサンドと出会う

何気なくたまごサンドをよく食べていた僕ですが、最初から好きだと自覚していたのではなく、ほぼ無意識で選んでいたように思います。

そんな僕が「たまごサンドが好きだ」とはっきり自覚するようになったのは、大学生になってから。晴れて理系の大学に進学した僕は、バイトなどで自由に使えるお金が増え、食べ歩きを趣味として楽しむようになりました。ケーキ、パンケーキ、ラーメン、居酒屋料理……いろいろなジャンルの料理を食べました。

こうして食べ歩きを楽しんでいた2015年2月、僕は大阪府堺市にある喫茶店「ラック」を訪れました。店内に広がるのは、コーヒーの匂いと、トーストや卵の焼ける香り。それに加えて、フライパンでじゅわっと焼き上げる音や、ラジオから流れる音も心地よく響いていました。

ラックのたまごサンド
ラックのたまごサンド

このときに食べたたまごサンドの味は、今でも鮮明に覚えています。大げさに思うかもしれませんが、本当に涙が出るほど感激しました。さらに、これらをお店のママさん(僕はこう呼んでいます)が目の前で作ってくれるというライブ感。僕は、料理とは味覚だけでなく、五感で楽しむのだというのを初めて体験しました。

シンプルな材料で作られているにもかかわらず、予想を遥かに超えておいしかったラックさんのたまごサンド。味の掛け算で生み出されたとも言えるこの一品に惹かれた僕は、以前から好きだったたまごサンドの向こうに、奥深い世界が広がっていることを知ったのです。

好きになったらとことん! たまごサンドを突き詰める活動

ラックさんのたまごサンドを食べてから、たまごサンドには大きく「厚焼き玉子タイプ」「マヨネーズ入りのたまごサラダタイプ」の2種類があることに気が付きました。

僕はゆで卵を使った「マヨネーズ入りのたまごサラダタイプ」しか作ったことがなかったので、自分の知らないたまごサンドが存在することにまず驚きました。なので、ラックさんで提供される「厚焼き玉子タイプ」を研究しつつ、我ながら最高だと思っていたオリジナルレシピも改良を重ねていくことにしました。どうすればラックのたまごサンドの味を再現できるか、突き詰めてみたくなったのです。

しかし、何度繰り返しても再現することはできませんでした。あのたまごサンドは、ラックのママさんが作るからこそ、そしてあのラックという空間で食べるからこそ生み出されるものなのだと、身を以て知りました。

また、自分で作るだけでなく、他店のたまごサンドの味も徐々に気になり始めました。地元の大阪だけでなく、京都や名古屋にも、たまごサンドを食べるためだけに足を運びました。現在(2019年3月)は就職活動で東京へ行くことが多いのですが、その中で僕の息抜きとなっているのが、東京のお店を巡って食べるたまごサンドです。

こうした活動を続けるうちに、僕が「たまごサンドに求めるもの」は何か、というのがだんだん分かり始めてきました。これはすなわち、自分が思う「おいしいたまごサンド」はこういうものだ、という定義にもつながります。

僕がたまごサンドに求めるものは、2つあります。これは、どれもラックのたまごサンドに出会ってから学んだことです。

1つ目は、たまごとパンが主役になっているということ。つまり、調味料……特にマヨネーズやうま味調味料は、あくまでもサブであってほしいということです。たまごサンドの個性を出すという意味でも、たまごやパンにこだわりのあるお店のたまごサンドが個人的には好きです。

もう1つは、しっかりと丁寧に、真心を込めて作られているということ。これはたまごサンドに限らず、全ての料理にも通じることですね。自分で編み出したオリジナルレシピで作るものよりも、誰かが心を込めて作ってくれたものの方が、おいしく感じることがあります。これには、一生勝てないかもしれません。

“コスパ”が高い、大阪のおすすめたまごサンド3つ

おいしいたまごサンドを自分の中で定義できたところで、各地のたまごサンドを食べ歩いた日本卵サンド協会の会長として、たまごサンドにおける「コストパフォーマンス(コスパ)」を考えてみました。でも、コスパという言葉は難しいですね。商品それぞれに相場がありますし、人の価値観によっても変わってくると思うので。

指標として「安さ」があるかと思いますが、僕としては「安さ」をあまりウリにしたくありません。お店の方が気持ちを込めて作った商品に対して、ただ単に「安い」だけでおすすめすることに、申し訳なさを感じてしまうのです。

確かに、たまごサンドは他の料理に比べると安く設定されています。しかし僕としては、おすすめするのであれば、「安い」だけでなく、「安い上に味も良い」たまごサンドを紹介したい。そこで、ここでは「コスパが高いたまごサンド」を「安くて味も良く、満足できる」と定義し、独断と偏見で僕がおすすめしたいメニューを紹介しようと思います。

本当は全国各地にあるお店を紹介したいところですが、その中でも、僕の地元でありよく足を運んでいる大阪の3店舗を厳選してみました。

【1】ラックの「玉子サンド」

【1】ラックの「玉子サンド」

まずは、なんと言っても僕が衝撃を受けたラックのたまごサンド。個人的に、このお店はたまごサンドの聖地だと思っています。

カレーライスや焼きそばといったシンプルなメニューの中に、僕がおすすめしたい「玉子サンド」(450円)があります。

厚焼き玉子

量や見た目、丁寧に巻かれた厚焼き玉子、全体的な味のバランス……初めて食べたとき、今までに出会ったことがないこれらのクオリティーの高さに感動しました。はっきり言って、いい意味で価格に見合っていない。

たまごサンド

注文を受けた後、卵を割り、厚焼き玉子を作り始めるママさん。このとき、たまごサンドの曲が僕の中で鳴り響きます。ふわ〜〜〜っと店内に広がる卵の焼けるいい香りに触れると、ラックに来たんだな……と体で感じることができ、感激を覚えます。

出来上がるまでの間にいれていただくコーヒーの香りも、また至高。そして、数分後に提供されるたまごサンド。お皿に盛り付けられた様子は、まさにたまごサンドの花畑です。

厚焼き玉子

食パンは、厳選されたお店で仕入れられたもの。温かくてほわほわで、もっちりとした食感を堪能できます。そんな食パンに塗られているのは、多過ぎず少な過ぎない絶妙な量のマヨネーズ。そして、きっちり巻かれた厚焼き玉子ときゅうりをサンドすることで、味の掛け算が完成します。口にしたときに広がるのは、厚焼き玉子のうまみ……これがとってもとってもジューシー!

ラックさんのたまごサンドは、卵の味を生かしているのが特徴です。水分を入れすぎることなくしっかりと巻かれた厚焼き玉子のおいしさは、他のお店では味わえません。

【2】ぶんかやの「たまご」

【2】ぶんかやの「たまご」

大阪市阿倍野区の「ぶんかや」は、ご夫婦で営まれているサンドイッチ専門店です。ぶんかやさんで外せない商品、それが「たまご」(162円)。対面販売なので、ショーケースに並べられているさまざまなサンドイッチの中から、好きな商品を注文します。地元の方々で賑わう人気店のため、お昼時には完売していることも。

自家製パン

この「たまご」をおすすめする理由は、ぶんかやさんの自家製パンで、たまごサラダをたっぷりとはさんでいるというところ。そこにプラスされる、ご夫婦のまごころ。100円台で購入できるお手頃さに、申し訳ないとさえ思ってしまう。

具材となっているたまごサラダは、マヨネーズを控えめにしつつ、塩コショウできっちりと味付けがされています。白身がごろっごろとしていて、食感がまた素晴らしい。こんなにおいしいたまごサラダを自家製パンではさんでしまうのですから、おいしいに決まっています。

自家製パンは、山型食パンならではの気泡が粗めに入っていて、ふわふわしています。味がシンプルで、食感は軽やか。たまごサラダのおいしさを最大限に生かす立役者という言葉を具現化すると、それはぶんかやさんの食パンに間違いありません。もう一度言いますけど、この価格でいただくのは申し訳ないです。

【3】YC 梅田店の「オムレツサンド」

【3】YC 梅田店の「オムレツサンド」

YC 梅田店は、JR線高架下に位置する新梅田食道街の中にあります。山本珈琲店という、コーヒーがおいしい喫茶店の直営店としても有名です。お店の近くにはもう一つの直営店「ニューY・C」もありますが、今回は個人的に内装が好みのYC 梅田店を取り上げます。

オムレツサンド

こちらのお店でおすすめしたいのは、「オムレツサンド」のドリンクセット(950円)です。単品での販売もありますが、あえてドリンクセットを紹介したいと思います。山本珈琲店さんのドリンクがセットになっているのですが、苦手でなければ、ここはやっぱりコーヒーは頼んでいただきたいです。

オムレツサンドイッチの画像

店内の内装は、照明の色から装飾品に至るまで、とてもラグジュアリー。ここにオムレツサンドという古き良き一品が加わることで、思わず「せわしない梅田にいること」を忘れてしまいます。YCさんが作り上げているゆったりとした空間を、心ゆくまで堪能できるのです。

オムレツサンドとおいしいコーヒー

そんな素敵な店内でいただくオムレツサンド。もう、この時点で言いたいです。このオムレツサンドとおいしいコーヒーを、1,000円で食べられるなんてあり得ません。オムレツの焼き加減も絶妙で、デミグラスソースはたまらないおいしさです。これまで紹介した中では高めの価格ですが、それ以上の価値を感じること間違いなし。

メニューには「はっきり言って洋食屋さんを超えました」と書かれていますが、この言葉に偽りは全くないと言えるでしょう。たまごサンドにケチャップを使用しているお店はよく見掛けますが、どうしても香辛料と砂糖の甘さが先行したケチャップの味に支配されてしまいがちです。ですが、YCさんのオムレツサンドで使われているのは、コクの深いデミグラスソース。そのソースとふわふわのオムレツという組み合わせは、間違いないおいしさです。

本当においしいたまごサンドを伝えていきたい

僕にとって、たまごサンドは「街にあふれる芸術」です。その芸術を提供してくれる場所、つまり喫茶店やパン屋は美術館と言えます。この芸術品を、最高の美術館で、たった数百円で堪能することができるなんて!

近頃は、インスタ映えなどを狙って見た目が第一、味はその次……というたまごサンドが散見されます。インスタ映えを否定する気はありませんが、たまごサンドが大好きな者としては「本当においしいたまごサンド」のことを皆さまに知っていただきたい、という気持ちがあります。これからも日本卵サンド協会の会長として、多くの人に「本当においしいたまごサンドとは何か」を伝えてきたい……と思いながら、日々たまごサンドを楽しんでいます。


※ 記事中の情報は、全て2019年3月時点のものです

執筆者のプロフィール
日本卵サンド協会会長 たま男
日本卵サンド協会会長 たま男

大阪大学大学院在学中の、たまごサンド大好き人。たまごサンドが好きすぎて、2015年に日本卵サンド協会を設立。勉強・趣味・食の全てを突き詰めていった結果、矛先がたまごサンドに向いてしまいました

編集:はてな編集部