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ようこそ、3時間だけトリップできる夢の世界へ! 宝塚歌劇へのお誘い

ようこそ、3時間だけトリップできる夢の世界へ! 宝塚歌劇へのお誘い

日比谷の再開発で劇場前は遊歩道に。「東京ミッドタウン日比谷」もできてエリア全体が盛り上がっていてうきうき

太いアイラインに真っ赤な唇の派手なメイク。きらびやかな大階段。背中に背負う大きな羽。"男役"の女性が男性をも演じる舞台。

宝塚歌劇を観たことがなくても、その独特な世界のイメージは、誰しもなんとなくあると思います(思えばそれってすごいですよね)。

身近というわけでなくても「1回くらい観てみたいな」「でもハードル高そう……」なんて人も多いのではないでしょうか。私も、数年前までその一人でした。
私は、東京在住の宝塚ファン6年生です。もう出会って6年か! と思いますが、周囲を見渡すと「親子三代でファンです」なんて人もいるので、まだまだ気持ちはビギナーです。
宝塚を好きになってから知ったのは、一歩入ればものすごく優しい世界だということでした。思ったより怖くないし、思ったよりお金はかからないし、思ったより入門しやすい、のです。せっかく日本に生まれたのですから、男女問わず年齢問わず、ぜひ一度(あわよくば一度と言わず何度も)生で観てほしい……!
ようこそ、3時間だけトリップできる夢の世界へ!


ミーハーな気持ちで扉を叩いた

私が宝塚を観始めたのは2012年の始め。100周年イヤーを数年後に控え「今好きになっておけばお祭りを楽しめるんじゃ!?」というミーハーな気持ちで、何も分からないまま日比谷にある東京宝塚劇場に足を踏み入れました。

ハマる前、私の宝塚へのイメージは最初に書いたような「派手なメイク」「派手な大階段」「派手な羽」くらい。最初の観劇体験は、そのきらびやかな世界を裏切らない、劇場ロビーの赤絨毯から始まってめちゃくちゃテンションが上がったのを覚えています。

ダンスも歌も高クオリティ、まるで二次元のように美しい紳士たち(分かっています、実際は女性だということは)、スーツや軍服や燕尾服のオンパレード、童話の世界にいるお姫様のようにスイートなお嬢さんたち、夢のようにふわふわなスカート!お話は……正直びっくりするような急展開を見せることもありましたが、それをねじふせる力が宝塚にはありました(そうとしか言えません)。

「ぶっちゃけ全然顔の区別つかないよ!」といわゆる“ヅカメイク”の写真での皆さんを見ただけでは思っていたのですが、いざ舞台で見ると結構違う! お芝居の役も手伝って「この人、なんか好き」が見つかります。(もっとも、この見方は私がもともとアイドルファンだったからかも。好きな人を見つけようと思わなくても、キラキラな世界を浴びるだけで楽しいですよ!)

約2カ月おきに演目が変わり、常に新しいものが提供されているのも新鮮です。宝塚歌劇のよさの一つは、劇場に来れば必ず何かがやっているその安心感だと思います。平日仕事帰りにボロボロの格好で美のエネルギーを充電しに行っても、土日に友達同士で洒落込んで出掛けてもいい。

夢の世界の扉はここにあったのか!またあの3時間を“浴びたい”。この人も観たい、あの人も観たい、を繰り返しているうちに、いつしか日比谷に通うようになっていました。

宝塚歌劇ってどんな組織?

まずは、宝塚歌劇団とはなんぞや?の説明を簡単に。

宝塚歌劇団の誕生は1914年。今年(2018年)で104年目となる伝統ある歌劇団です。特徴は皆さんご存知、女性だけで構成されていること! 少年も、美青年も、老紳士も全て女性が演じます。



歌劇、という固い言葉は若干とっつきにくいかもしれませんが、漫画やアニメ、ゲームなどを原作にしたものも少なくありません。



最近では漫画『ポーの一族』の再現度が話題を呼びましたし、誰もが知る『ベルサイユのばら』も漫画原作ですね。過去には『るろうに剣心』『ルパン三世』『はいからさんが通る』『逆転裁判』『戦国BASARA』などが題材になったことも。思ったより自由でしょ!

初めて宝塚歌劇を観るなら、自分にとって身近なストーリーの演目を選ぶのも一つの選択肢かもしれません。





宝塚歌劇団は花組月組雪組星組宙(そら)組の5組と、いずれの組にも所属していない専科で構成されており、兵庫・宝塚の宝塚大劇場と東京・日比谷の東京宝塚劇場を中心に日々公演をおこなっています。



例えば兵庫・宝塚で2月9日(金)~3月12日(日)まで公演された月組『カンパニー -努力、情熱、そして仲間たち-』は、3月30日(金)~5月6日(日)には東京・日比谷でも公演します。



他にも全国ツアーや地方公演の機会も多々。全国の市民会館などでも観ることができます。



「5つの組は何が違うの?」これもよく聞かれる質問です。ざっくり言うと、個性があります。それぞれの組にファンがいます。



サッカーや野球のプロチームのように明確にライバル関係なわけではありません。あえて例えるならば、高校の部活や委員会のような感じでしょうか。サッカー部、バスケ部、バレー部、吹奏楽部、生徒会……なんとなく集団の雰囲気があり、それぞれの目標に邁進している、ような。



宝塚歌劇では各組に「トップスター」と呼ばれる毎公演で主演を務める「顔」となる人がおり、組の雰囲気はその人によって左右されます。各組の全体的な特徴としては、以下のようなことを挙げられることが多いです。

花組 1921年発足。「男役の宝庫」と呼ばれる組で、宝塚で最も歴史の古い組
月組 花組と同時発足した組。芝居への評価が高い組とも言われる
雪組 1924年新設。日本物の作品に定評がある
星組 1933年に新設。エネルギッシュな演技をするスターを多く輩出している
宙組 1998年に誕生。現代的でフレッシュなイメージがあり、迫力のあるコーラスも魅力

専科は組ではなく、各組の公演に特別出演します。一芸に秀でたスペシャリスト集団で、お芝居を支えます。
どの組が初心者向け、というわけではなくどの組もそれぞれよさがあります。何度か観ていると少しずつその違いがわかりますし、自分の中で好みも出てきて、それが楽しいのです……。

宝塚歌劇=お金がかかる?

さて、宝塚のイメージとして「お金がかかりそう」というのがあると思います。


確かに舞台の上ではフランス貴族やヨーロッパの上流階級ばかりですが、客席の私たちまで貴族である必要はありません! 本気で生徒さん(宝塚では役者さんのことをこう呼びます)を応援しはじめるとまた話は別ですが……。



最も座席数が多いS席のチケットは、東京宝塚劇場では8,800円、本拠地である兵庫・宝塚大劇場では8,300円(執筆時の価格です)。この値段をどう感じるかは人それぞれだと思いますが、全2幕約3時間*1、空間の雰囲気を含めてたっぷり楽しめると思うと、それなりにリーズナブルな体験だと個人的には思います。



前に友人を案内した時に「家賃のN分の1だね」と言われて、確かにそう考えると結構な比率だな……とハッとしました。でも、舞台はナマモノ。毎回少しずつ違っていて、それだけの発見や楽しさがあるからこそやめられないんですよね。



一番安い2階後列のB席になると、なんと3,500円です。座席数が少ないので狙って手に入れるのは逆に難しいですが、3,500円で3時間! 飲み会に行くより安いじゃん!!

当日券(立見の場合もあります)の場合はさらに安く、1,000~2,000円代で購入できます。え、そんなに安いんだ? って感じですよね。映画を観るのと同じくらいになってきました。人気公演の場合は超早朝から争奪戦なので正直オススメはしにくいですが、平日公演などでチャレンジしてみてもいいかもしれません。

ハマればハマっただけ増えていく遠征費

「宝塚は意外にリーズナブル」は観劇だけにフォーカスすればそうなのですが、ファンになると「遠征」への投資が大きくなってきます。本拠地であり聖地、兵庫県宝塚市の宝塚大劇場周辺はファンの間で通称「ムラ」と呼ばれています。

私はこのところ「ムラ遠征」は年間数回程度ですが、時間とお金があったら無限に行きたい。



街全体が宝塚歌劇を中心にしたテーマパークのようで、初めて阪急・宝塚駅に降り立った時は「ついにきた……」と興奮を覚えました。いまも毎回行く度にドキドキします。なんでしょう、あの高揚感は!

「東京にも劇場があるのになぜ遠征?」とたまに聞かれるのですが、本公演と呼ばれる大劇場の公演は先に宝塚大劇場でお披露目し、しばらくたって東京にやってくるのです。



「早く観たい」はオタクの本能。要するに、待ちきれないので行くのです。



なぜなら、そこに好きな子がいるから!理由はそれで十分。新幹線を使ってたった3時間? 往復3万円? 近い! 安い! 全然平気です!!

加えて東京公演よりは比較的チケットが取りやすいというメリットもあります。平日の激務にあまりに疲れ果て、「チケットないけどなんとかなるだろう」と土曜の朝に新幹線に飛び乗ったことも何度かあります。もちろん、月曜日には超元気に復活。完全に心の治療です。医療費。

日帰りプランはこんな感じ

最近は関西圏のホテルは高騰気味なので、日帰りで行くことも少なくありません。朝5時半に起きて、7時台に品川から新幹線に乗り、11時開演までにたどりつく……。仕事だったらつらすぎる早起きも、びっくりするくらい爽やかに目覚められます。乗り遅れるのが不安で寝られない時もありますが。
私の場合、日帰りツアーの標準的な料金プランはこんな感じです。

新幹線代(品川〜新大阪 往復) 28,900円
電車代(新大阪〜宝塚 往復)(もちろん阪急を使わせていただきます) 560円
公演チケット(S席) 8,300円
グッズ代(プログラム、ブロマイド写真など) 3,000円
ランチ代 1,500円
合計 42,260円

こうあらためて並べてみると結構使ってますね。初めて気付いてしまいました。このプランに加えて、昼夜の公演を続けて見ることもありますし(+チケット代)、遠征仲間や関西のヅカオタ(宝塚ファンの通称)と食事をすることもありますし(+飲み会代)、宿泊するならその分かかるし(+ホテル代)、チャンスがあれば好きな生徒さんの「お茶会」(私設ファンクラブが主催する、生徒さん個々人のファンイベント。金額はファンクラブによって異なります)にも行きたいし……。幸せなことに、上乗せするポイントはいくつもあります。私は思い立った時にパッと飛び乗りたいのと家からのアクセスの問題で新幹線派ですが、東京〜大阪間は飛行機派の人も(羽田〜伊丹)。お金はかかりますが、時間短縮になります。加えて、飛行機は割引が多いので、前々から予約しておくと新幹線より安い時もあるようです。というわけで、ヅカオタ業の中で遠征費および遠征時間は超重要。新幹線車内で効率よく時間を使う方法を会得し、新大阪の駅に降りてすぐにスムーズに右寄りでエスカレーターに乗れるようになった時、ヅカオタとして一つ階段をのぼったことを感じました……。

オタクの心に寄り添うグッズ展開

宝塚って本当に親切! と思う一つにグッズ展開の充実っぷりがあります。

公演パンフレットは充実のボリューム、舞台写真もさまざまなカットが販売されます。個人的にうれしいのはパンフレットと別に発売される写真集! 好きだったあの衣装、この衣装を余韻に浸りながらたっぷり堪能できます。



他のジャンルのファンの人に驚かれること1位は、公演中にDVDが発売することでしょうか。アイドルコンサートであれば、千秋楽から数カ月待たされるのが普通だと思います。場合によっては、そもそも映像化される保証すらない……。



が、宝塚の場合、公演終了間近の時期であれば、観劇したあとそのまま帰り際にDVDが買えるのです。熱が冷める前に「買います!」ができるのはすごく親切ですよね!(※演目によっては著作権の関係で発売されないものもあります)



DVDは生徒さんのお名前テロップもたくさん入っているので「あの人なんて名前だったんだろう?」の答え合わせにもおすすめです。

1回観てみたい! なあなたのために

最後に、結局チケットはどうやって買えるの?について。


最近はどの公演もチケット難と言っていいレベルで、前日ふらっとオンラインで買う、なんてことはかなり難しい現状です。



宝塚歌劇のオンラインチケットは、ネットで買ってプリンタで出力していくだけでOK、発券手続きも手数料もいらないすご~~く便利なツールなんですけど、そもそも最近はチケットが残ってない!涙

一番シンプルなものは、プレイガイドでの先行抽選。ぴあ、イープラス、ローチケなど各種サイトでおこなわれています。誰でも申し込めますが、応募期間が公演期間よりもかなり前なので、え、気付いたら終わってた! となりがちです(よくなる)。気になる公演がある人はアラートしておくといいかもしれません。



次にあげるならクレジットカード先行。VISA、JCB、セゾン・UC、エポスカードなどが一部公演を貸し切り、利用者向けにチケット優待をおこなっています。体感的に当たりやすい気がします……!

華やかな赤絨毯と階段、そしてシャンデリア! 劇場の雰囲気も大好き


しかし、本当にオススメはお近くのヅカオタに声を掛けること!!



「宝塚観てみたいなあ~~」とチラチラ目配せしていたら、前のめりで「行こう、いつ空いてる?」と力強く返してくれるはずです。



貴重なお金と時間を使って、指定された場所に時間通りに足を運ぶ。無料でいつでもどこでも楽しめるたくさんの娯楽があふれる中で、わざわざ観劇に至るまでのハードルってぶっちゃけ超高いですよね。だからこそ、少しでも興味を持ってくれた人には楽しく幸福な経験をしてほしい!とあれこれと手を差し伸べてくれるはずです。



実際私も、最初に劇場に赴く時は事前に友人に「トップスターさんはこういう人でね」「今回の演目の見どころは……」「あなたはこの人を好きになりそうな気がする!」といろいろ教えてもらいました。



誰かが目をキラキラさせて幸せそうに話していると、それだけでその対象への好感度ってぐんぐん上がりますよね。



そうやって少し予習をすれば舞台が見やすくなりますし、終わったあとに「確かにあの男役さん素敵だった!」「あのお衣装がかわいかった」なんて感想を伝えれば、きっと次に進むべき道が示されるはずです(DVDが無言で差し出されるとかね)。

世界の解像度が上がっていく

誰か一人好きな生徒さんや、好きな組を見つけると、どんどん世界が広がっていって本当に楽しいです。最初は見分けがつかなかった顔と名前が分かってきたり、「若手のあの子、すっごくいい役がついた!」と成長を喜べたり、「この役、今までと雰囲気違うけど超超好き…♡」と何度も観た人の新しい側面を知ったり。


劇場に行くと、おばあちゃま世代が多いのにも私はとても元気づけられます。宝塚は、一生モノの趣味。少女のようにきゃっきゃしながら、楽しそうに趣味を謳歌している姿、本当に素敵です。



追いかけようと思えばいくらでものめり込めるし、ライトに楽しもうと思えば気になる公演だけたま~に観劇するだけでも、その3時間で幸せなリターンが返ってくるのが優しいなと思います。



今は大好きな生徒さんがいるので、ヅカオタ生活を満喫しています。とはいえ、趣味も興味もどんどん変わっていくと思いますし、ずっと今と同じ熱量で好きではないでしょう。



それでも、これからの人生で「元気ないから宝塚観に行こ」という選択肢を持っているのは、毎日生きていく上で本当に心強いな、と思うのです。

執筆者のプロフィール
もぐもぐ
もぐもぐ

平成元年生まれ、インターネット育ち。アイドル、宝塚、2.5次元舞台、エンタメ全般が大好き。だいたい毎日幸せです。オタク女子集団「劇団雌猫」で同人誌「悪友」シリーズ、「浪費図鑑」(小学館)を発売中。

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*1:宝塚大劇場公演、東京宝塚劇場公演の上演時間は、休憩を含めて約3時間で行われることが多い