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「金銭感覚なくなってからが本当の趣味」――想像の斜め上すぎるバンギャのお金の使い道

「金銭感覚なくなってからが本当の趣味」――想像の斜め上すぎるバンギャのお金の使い道

はじめまして、非常勤ライターのひにしあい(@sunwest1)と申します。

いきなり本題に入ると、私はヴィジュアル系(以下V系)バンドを20年近くこよなく愛し続けています。

90年代V系を愛するバンギャを集めたイベントを開催したり、ヘドバンやV系の歌詞について調査したり、ゴスロリで記事に出たりするオバンギャとして活動しています。

・用語解説【1】バンギャ……主にヴィジュアル系バンドのファンを指すときに使用される「バンギャル」の略称。ほか、「ギャ」と略すこともある。バンギャルの男性版として「ギャ男(ぎゃお)」と呼ばれることも。

・用語解説【2】ゴスロリ……ゴシック・アンド・ロリータの略称。ロリータ・ファッションの種類の一つとされ、黒をメインカラーとしている。

・用語解説【3】オバンギャ……特定のヴィジュアル系バンドのファン歴が長いバンギャ、またはヴィジュアル系というジャンル自体を長年愛しているバンギャを指すことが多い。いにしえのバンギャ。自虐的な意味でオバンギャを自称する人もいるがオバンギャはマイナスな意味合いで使われることも少なくないため、他人に対して使用するのは避けたほうがベター。

今回のテーマはざっくりいうと「バンギャとお金」なのですが、最初に申しておきますと

全国ツアーの遠征費やチケット代で年間何百万円かかる!

みたいな内容ではありません。

この記事では、一般の方やアイドル、V系以外のアーティストのガチのファンの方から見ても「え?」と思われるような、想像の斜め上をいくバンギャのお金の使い道エピソードを紹介します。

この記事で感じてほしいのは「バンギャの熱量ハンパねぇ……」ってことだけです!

それではバンギャの散財エピソード、どんどんまいります!

FC旅行(ファンクラブ旅行)は夢のイベント

私がバンギャになりたての14歳のころ、行きたくて行きたくて仕方がなかったもの、それがFC(ファンクラブ)旅行です。学生ではなかなか参加できない金額ということも多いので、「大人になってやっと行けた……」と感慨深げに語るバンギャに幾度となく出会いました。
FC旅行とは、文字通りファンクラブ会員のみが申し込める旅行です。行き先が海外ということも珍しくないため、参加者は社会人である場合が多く若年層のファンにはなかなか手の届かない存在です。仮に行き先がグアムだったとして、FC旅行1回で数回分グアムへ行ける価格になっているなど、通常のパック旅行とは比べ物にならない価格ということも……。でも、大好きなバンドのメンバーと一緒に旅行ができ、参加者限定のアコースティックライブが開催されたり、メンバーが部屋まで起こしにきたり、メンバーが作る焼きそばを食べたり、一人ひとりハグしてくれたりと、夢のようなひとときが繰り広げられます。

47都道府県を回らないと撮れないチェキや分割されている映像のためインスト行脚

ライブ遠征だけではなくインスト行脚もバンギャにとっては大事なイベント。「47都道府県すべてのインストに参加すると、特別なチェキを好きなバンドのメンバーと撮ることができる」といったとあるV系バンドのインストがあり、そのためだけに全国行脚する猛者も存在しました(特別なチェキって、一体何なんだ……)。メンバー全員とチェキが1枚ずつ撮れる、お目当てのメンバーからハグをしてもらえる、チェキだけでなくサイン入りTシャツがもらえるなど、インストでの特典はバンドによっても変わります。

・用語解説【4】インスト……「インストアイベント」の略。主にCDショップのイベントスペースで、シングルやアルバムの発売前後に開催されるライブや特典会などのイベント。特典会に参加するためには対象CDの購入が必須、というケースが多い。ライカエジソンジールリンクといった、ヴィジュアル系専門店で開催されることも多く、開催店ごとに特典が異なったりする。バンギャの世界ではオフボーカル楽曲の「インストゥルメンタル」を意味する言葉として使用されることはあまりない。

また、バンギャの友人に教えてもらった経験談として

「『各地のインストで映像がもらえてその映像を全部つなげると1本分の映像が完成する!』っていう特典があったんだけどさ、その映像は16分割されていてね、1ヶ所でも行けないと歯抜け映像になっちゃう! ってことで結局全部回ったよね。結構大変だったわ(笑)」と大笑いしながら語っていました。

……たしかに16分割は何かエグみがすごい! でも結局集めちゃう気持ちはわかる!

2席●万円のチケットが激戦区

これはV系バンド以外でも実施されていると思いますが、「2~3時間の公演で前列の席が10万円」といったチケットが公式に販売されることがあります。単純に前の方の席が用意されているだけでなく、VIP専用入り口から優先入場ができたり、長蛇の列に並ばずともグッズを優先的に購入できたり、開演前のリハーサル鑑賞に参加ができたり、アフターパーティーに参加できるなど、さまざまな特典があるため、がんばってこちらを購入するバンギャもいます。昔に比べるとチケット単価も上がっているのですが、比較的ファンの年齢層が高めのV系バンドではこの「高額の良席チケット」が近年増えている傾向にあると思います。

最近ですと、老舗のV系バンド2組が出演するライブのファンクラブ会員限定VIPチケットが、6万円と8万円という価格で発表されて(それぞれVIP専用入場口やオリジナルお土産付きといった特典があります)、このバンドがど真ん中世代の30~40代のバンギャ達を大いにざわつかせました。

握手会の伝説! 握手2周目でメンバーが望んだ〇〇をプレゼント

とあるV系バンドメンバーの握手会のエピソードを紹介します。握手会の1周目でファンが「今何が欲しいですか?」と聞いた際、冗談で「掃除機」と答えたメンバー。それに対してこのファンの方、2周目の握手に並ぶ前に家電量販店へ走り掃除機を買い、次の握手のタイミングでプレゼントをしたそうです。

フットワークの軽さとかもういろいろやばい。

・用語解説【5】握手会……バンドメンバーと握手ができるイベント。CDなどの購入特典として握手券がもらえることが多い。複数回バンドメンバーと握手するために「2周目」「3周目」と握手の待機列をループすることも。

メンバーモデルの楽器、無条件で買いがち

メンバープロデュースの楽器(シグネチャーモデルともいう)をたとえその楽器が弾けないとしても、とても欲しくなってしまう時期がバンギャにはあります(人によります)。

この件についてバンギャの友人に聞いてみたところ、

「中学生のときに小学生から貯めたお年玉の10万円で好きなメンバーモデルのドラムセットを購入したんだけどね、当たり前だけど初心者だから……『いきなりツーバスは踏めない』っていう問題にすぐぶち当たったよね(笑)」

という回答が寄せられました。

たしかに、いきなりツーバス(ドラムのセッティングの一つで、バスドラムを2つ置くこと。初心者にはハードルが高いセッティングの仕方)は踏めないし、そもそもドラム担当の麺が好きだからってドラムセット買っちゃう中学生とか結構正気の沙汰ではない気がします……。ほかのバンギャ友達も「メンバーモデルのギター、弾けないけど購入したことあるよ! しかも何本か持ってる!」との声があがったので、やっぱりバンギャはメンバーモデルの楽器、無条件で買いがちな模様でした(確認しましたが、友人たちは未だにギターも弾けないしドラムも叩けない)。

・用語解説【6】麺……ヴィジュアル系バンドのメンバーを指すときに使用される言葉。

500円ガチャガチャのために棒金を作りに走る

ツアーグッズなどでオリジナルグッズが入ったガチャガチャがよくあるのですが、何回もガチャガチャをするために500円玉の棒金(レジなどにある束になっている硬貨のこと)を作りにいき、棒金を握りしめてガチャガチャに並ぶ光景が見られます。

「もうね、ほんとすぐに棒金作りに走るから!」と友人バンギャも語っていました。

好きなメンバーの実家の美容院に遠方からわざわざ通う

あるV系バンドのメンバーのご実家が美容院を経営されていて、熱狂的なファンの一部は遠方から特急や新幹線、飛行機ではるばる実家の美容院に通うそうです。もうそのモチベーションのすべては「親族と仲良くなることで嬉しさを感じる」に尽きます。ただ、このバンドの場合、

「美容師でもあるメンバーの母親が地元のライブではお手製弁当を売る」

というのも恒例になっており、ファンにとってはそのお弁当を買い、好きなメンバーも食べていたであろう「おふくろの味」を食べ、最高な気分に浸るのもまた一興なのだそうです。

もう、喜びのレベルがすごすぎる。

好きなV系バンドが観光大使になった自治体へふるさと納税を行う

好きなV系バンドが観光大使になった自治体へふるさと納税を行う「そんなものは特にない。だって、観光大使になった彼らのために私ができることは納税くらいしかないと思ったから」と真顔で返されたことがあります。

そう、「何かもらえるから、何かをする」なんてモチベーションではもはやないんです。もう深すぎるバンド愛。まさか愛が高まり過ぎてふるさと納税に至っているだなんて、想像の斜め上すぎるし、肝心のバンドメンバーたちの予想すら超えている気がします。

もうほんとすごいや……バンギャ……!

最後に。バンギャとお金とは?

こんなにお金を使って、節約とか老後のお金とか考えないのか……という疑問を持たれるのが普通だと思います。
友人のバンギャは、

「金銭感覚なくなってからが趣味でしょ」

こう言い切ってました。

ただ、「ひたすらお金を使ったほうがいいのか?」と聞かれれば、決してそういうわけではないと思います。お金の使い方は個人の自由で、自分のできる範囲で応援することが一番だし、音源ギャと呼ばれるような、自宅で音源のみを楽しむことも応援の仕方のひとつです。

もはや真理の域ではありますが、愛ゆえに自分の収入をやりくりして、応援できる幅を増やすことが人生の喜びになっている。そんなバンギャもいます。

だから今回紹介したような斜め上なお金の使い方をすることも個人の自由であり、他人から見たら意味がわからないお金の使い方をしているかもしれませんが、自分が納得して、楽しむためにお金を使っているということが大事なのだと思います。

バンギャの中には遠征やチケット代以外にも棒金作ったり、ふるさと納税したり、分割されまくった映像を求めてインスト巡ったりと、想像以上にいろんなところでものすごい経済をまわしている人もいるので、どこかでバンギャを見かけたら、ちょっと見た目は怖いかもだけど温かく見守ってくれれば嬉しく思います。

執筆者のプロフィール
ひにしあい
ひにしあい

女子ならではのあるあるを試し続けている人。元バンギャ。基本的に日本酒とウイスキーに溺れながら生きている。本業はSEO。

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