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地政学リスクって?どんな影響があるの??

地政学リスクって?どんな影響があるの??

最近、物騒な話題に事欠かなくなってきていますね。
シリアやら北朝鮮やら、ミサイルやらテロやら…そんなニュースを見ていると、よく「地政学リスクの高まりによって…」とニュースキャスターさんが言っているのを耳にしませんか?

1.はじめに

投資におけるリスクにはいろいろありますが、今回はそんな気になる地政学リスクについてみていきましょう!

2.地政学リスクとは??

そもそも地政学リスクとは、どのようなリスクなのでしょうか?
野村証券のHPでは、


ある特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張の高まりが、地理的な位置関係により、その特定地域の経済、もしくは世界経済全体の先行きを不透明にするリスクのこと。地政学的リスクが高まれば、地域紛争やテロへの懸念などにより、原油価格など商品市況の高騰、為替通貨の乱高下を招き、企業の投資活動や個人の消費者心理に悪影響を与える可能性がある。

と、定義されています。

要するに、国同士の政治的な対立などで戦争になりかねない状態になった時、「今後の経済は大丈夫なのか?」といった不安のことを指します。

日本自体は憲法9条や非核三原則などによって、他国に比べれば戦争の脅威は少ないかもしれません。しかし、現在は対岸の火事だと楽観視できない状態にあります。

その理由として、多くの企業は「国外」に工場や支社等を持っていることが挙げられます。

「そんなの大企業だけでしょ?」と思われるかもしれませんが、その大企業から仕事を引き受ける中小企業がいるからこそ、日本の経済が回っているのです。

例えばトヨタですと、推定1万社を超える企業が関係しているといわれています。従業員とその家族を含めれば、とんでもない数の人が関係しているといえるでしょう。

もし、そのトヨタの海外拠点がテロに巻き込まれたら、影響は計り知れません。

そのため、地球の裏側で起こっていることだとしても、決して他人事にとらえてはならない時代なのです。

現在の地政学リスク

2016~2017年でいえば、大きく2種類の地政学リスクが懸念されています。一つがISなどのシリア情勢です。
 
ヨーロッパを中心に世界各地でテロ事件を起こしている過激派組織として知らない人はいないでしょう。

二つ目が北朝鮮とアメリカの対立です。ここからは、この二つがどのように相場に影響を与えるのかを考えてみましょう(国際関係論のレポートではないので、細かいところは省略しますので、ご承知ください)。

トランプ大統領

ISvsアメリカ、そして北朝鮮VSアメリカのどちらの関係についても、トランプ大統領になってから大きく取り上げられるようになりました。
 
(もちろん、過去の経緯があっての現在ですが)トランプ大統領の前任であるオバマ前大統領はノーベル平和賞を受賞したことでも知られていますが、トランプ大統領は全く正反対の人物です。その政治方針が良いか悪いかという議論ではありません。

トランプ大統領就任後、対ISに関しては徹底抗戦を宣言し、2017年4月6日にシリアにあるISの拠点に60発のミサイルを撃ち込みました。そしてその一週間後には、核兵器を除く爆弾の中で最も強力とされるミサイルも投下しました。

一方アジアでは、北朝鮮による断続的な核実験に対して、アメリカが軍事介入も辞さないという姿勢を強固にしています。

そんな世界情勢が、どのように株式相場に影響を与えるのか考えていきます。先ほどの野村證券のHPをもとに考えると、原油と為替がキーワードのようです。

原油と、原油が与える影響とは?

まず原油に関してです。原油とは、その名の通り石油や軽油、ガソリンに加工される前の油です。

原油はバレルという単位で取引されています。
バレルは「樽」という意味で、約159リットルです。

現代の社会にとって原油は経済活動の源となっています。かつては石炭が動力の主流でしたが、20世紀になって石油がその地位を奪うこととなりました。太平洋戦争も、石油を求めて日本がアジアに進出し始めたことが発端といわれています。
 
「石油を牛耳る者が、世界を制する」といっても過言ではないでしょう。

それほどオイルは経済活動に欠かせないものとなっています。
ですので、石油の価格は世界経済に大きな影響を与えます。
そして、現在の株式市場においては、原油は高いほうが良いとされています。

「え?ガソリンも灯油も安いほうがよくない?」と思う方は鋭いです。
消費者からすると、原油は安いほうが、ガソリンも飛行機も安くなるため、ハッピーなのですし、日本は石油輸入国ですから安いほうが、得するはずです。

しかし、「原油が高いほうが良い」というのはどういうことなのでしょうか。実は、日本の株式市場の約7割は外国人投資家が占めています。そして、その中の多くは中東のオイルマネーなのです。

消費者からすれば安いほうがいいですが、売る側からすると高いほうが利益が上がります。
 
つまり、原油が上がれば上がるほど、石油王が儲かり、それが株に流れるという構図になっています。とはいえ、高すぎると経済活動に支障が出てきます。

高くて物が買えないという事態になります。かつてのオイルショックのように。
 
もし地政学リスクが高まり、それが戦争へと発展すれば、通常では考えられない量の原油が消費され、異常に高騰する可能性が考えられます。

また、流通網が機能しなくなり、輸入・輸出ができなくなる可能性も考えられます。経済の潤滑油である原油の流通が滞ると、世界への影響は計り知れなくなります。

為替

次に、為替についてです。
 
「円安・円高」とよく耳にはするものの、実際問題その為替がどのように経済へ影響するのでしょうか?まず円高とは、1ドル=100円だった為替が95円、90円となっていくことになります。
 
円高は日本の企業にとってはマイナス要因となっています。反対に、円安は1ドル=100円が105円、110円となっていくことですが、プラス要因と言われています。

日本の企業の多くは、海外に輸出をしている企業が大きいのはご存じだと思います。例えば、トヨタが海外で4万ドルで売ったとします。

1ドル100円の時は400万円の売上となりますが、110円になれば440万円になり、90円になれば360万円になりますので、円安のほうが同じ数売ったとしてもより多くの売上が上がることになります。
 
ですので、基本的には日本にとっては円安のほうがメリットが大きいのです。

では、地政学リスクが高まった時に為替はどうなるのでしょうか。日本の通貨「円」は、「安全資産」と言われています。
 
地政学リスクに限らず、世界中でリスクがはびこってきた時には、世界の通貨であるドルが売られ、円が買われることによって円高となる傾向になります。

そのため、もし今以上に地政学リスクが高まり、仮に戦争へと発展した際には円高になる可能性が高いと思われます。
円高になった場合、企業の業績へ直撃するため、日本の株式相場にはマイナスの要因となるでしょう。

最も直接的な影響

何よりも地政学リスクが懸念される点は、その地域でビジネスを展開している企業が継続的にその地で事業を続けていくことが不可能になるかもしれないということです。
 
そうなれば、「原油価格がどうなるのか」とか、「為替が円高になるのか」といったレベルの問題ではなくなってきます。当然ながら、企業の存続にも関わってくるでしょう。

3.地政学リスクの今後の展望

自国の領土や産業に直接打撃を与える戦争は、経済活動を鈍らせます。しかし歴史的に見れば、戦争が経済に良い影響を与える事例があるのもまた事実です。
 
例えば、太平洋戦争後の日本の復興には朝鮮戦争による特需が一役買ったのは教科書にも載っています。

では、今後の地政学リスクはどうなっていくのでしょうか?まずは北朝鮮ですが、本当に核ミサイルを打ってくるのでしょうか。

現在、北朝鮮は核開発によって多くの国からすでに制裁を受けています。軍事的な制裁ではありませんが、すでに敵とみなされています。
 
この状態で仮に日本でもアメリカでも本土に打てば、軍事的な制裁を受けるでしょうし、防衛システムがある以上、着弾する恐れはないと思われます。

その点については、北朝鮮側も理解しているはずです。そのため、実際に対北朝鮮の軍事衝突は起きないと予想します。

世界に視野を広げれば、ISのほうがリスクとしては高いといえるでしょう。ですので、先日トランプ大統領がシリアに爆撃したのはそういった判断によるものだったのかもしれません。

ISは今後どうなるかわかりませんが、2016年は最終的に株価は上がりました。ブレグジットや大統領選挙、ISによるテロ事件などの様々なイベントがあったにも関わらず、株価が上昇したのです。

ですので、世界的な戦争でも起こらない限りは現在の地政学リスクはマイナス要因にはならないでしょう。
 
むしろ、そういったイベントで下がった時こそが買い場なのではないでしょうか?

4.まとめ

今回は地政学リスクとその影響について書いてみました。
ここまでの話をまとめると、今世界や市場を脅かしている地政学リスクは大きな軍事衝突には発展しないでしょう。

しかし、実際にはならなくても可能性がある限り、為替、原油、世界経済への思惑は動きます。
 
楽観視するのはよくないかもしれませんが、悲観的になりすぎる必要もないのではないでしょうか。

著者:翔勳

現役証券マン。まだひよっこですが、ややこしい投資の情報をわかりやすい記事にまとめさせていただきます。

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